開門か非開門かを巡って約20年続いた法廷闘争は今回の決定で事実上決着、最高裁第3小法廷(長嶺安政裁判長)は1日付の決定で、小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べ、漁業者側を敗訴とした詳しい理由は示さなかった。裁判官5人全員一致の判断。(毎日新聞)
高裁で一度で確定した判決が覆ったことになる。いらちで超有名だった菅政権が最高裁を待たずに敗訴を受け入れたことが最大の失敗だった。どの補佐官が入れ知恵したのか不明だが、その浅はかな判断で住民はどれだけ苦しんだのだろう。
だったらどうすれば良かったのか。農水省が工事を止めればこんなことにはならなかった。人口が減少し離農者が増え荒れ地が全国に広がる中で、農水省の石頭役人はどうして止めなかったのかと思われるが、その役人たちに身近で接した経験から、事業の設計も積算もすべて下請けに丸投げして決裁をもらうだけの事務屋集団になっていることが要因である。
自分の頭で現地に足を運んでつぶさに体験したことがない役人が、上司の言われるままに事を運んでいるからである。日本中がそんな事業で成り立っていて、自給率が4割もない日本の台所事情が透けて見えてしまう。トマホークをどれだけ買おうが食料を止められたらお手上げである。米国の言いなりになって三度の餌をもらうしか生き延びることができないのが今の日本なのだ。
最高裁の5人はそんな事情も恐らく知りながら、「漁業者側を敗訴とした詳しい理由は示さなかった」のである。そして、「漁獲量は改善の傾向がみられる」という正当化の根拠には暫し開いた口が塞がらなかった。