新装!中島賢介研究室

勤務大学における授業内容や雑談に関する説明などを中心に綴ります。よかったらお立ち寄りください。

環境と文学

2009-07-10 08:30:58 | 研究
 私の研究の中心となる視点に、「文学と環境」があります。以前、中村草田男の自然観に関する研究を発表しました。
その時には、思いつかなかったのですが、最近になって草田男が環境そのものを詠んでいる作品を思い出しました。

   夏の松籟環境以上の聲世に絶ゆ  『銀河依然』より(昭和26年)

 当時は、桑原武夫の『第二芸術論』などで、難解で独断に堕した句と評された作品の一つです。
 それもそのはず、この句を昭和26年の段階で詠んでいるわけですから、
「環境」という意識を持たなかった人には難解としか言いようのないものだったに違いありません。
 現在は、「環境、環境」と言われていますので、無理やり環境問題を考えざるを得なくなっています。
 しかし、環境問題というのは、本来人間の内面的なものと大きく結びついているのではないでしょうか。
 自分の内面的な不調和に気づかない限り、環境問題は解決しないと私は思います。
 そこに文学という視点から、切り込んでいきたいと考えています。