ボーイング787の機内に煙が発生し、緊急着陸した事故は、最新鋭の旅客機としての信頼を失墜させかねない事態だ。
B787を活用して日本の航空会社が広げようとしていた国内外の路線戦略への影響のほか、部品を供給している日本メーカーのブランドにも傷がつく恐れがある。 B787の緊急着陸事故で、全日空、日本航空が事業戦略の修正を迫られる可能性が出てきた。世界に先行して導入し、不具合が相次いだ中での重大事故だけに、原因究明を果たさない限り、運航の安全性が保証できず、17日以降も運航再開のめどが立たない。さらに原因が深刻だった場合には、全面的な経営の見直しにつながる懸念もある。
「待ちに待った飛行機」(植木義晴・日航社長)というB787を、航空各社が積極導入したのは、従来型機より性能が大きく向上したからだ。B787は機体のサイズが比較的小さいものの、飛べる距離は長い。例えば、B767では米西海岸までが精いっぱいだが、B787ならば米東海岸まで直行便が運航できる。しかも燃費効率はB767に比べ、約2割改善。事業の収益性を高めたい航空各社は、この機体を使うことで、従来採算が取れなかった海外の地方都市などへの進出さえ可能になる。
B787は現在、全日空が17機、日航が7機をそれぞれ保有。全日空は国内12路線、海外4路線で使用し日航は欧米線を中心に海外6路線で運航している。 米ボーイングによると、世界で運航されるB787のうち、約半数が日本の航空2社で使用。最新鋭機という珍しさもあって「同じ路線でも、B787とは別の機種を使う場合では搭乗率が10%高い」(全日空)といい、利用客増の呼び水効果も発揮している。
しかし、16日は全日空機の緊急着陸事故で、日航機を含めてB787を使用する全便が運休する事態に。経営効率化を進めている全日空には「予備機など飛行機の余裕はそれほどない」ため、B787全面運航停止で16日は計39便の欠航を余儀なくされた。安全性の確認には、国土交通省の判断を待たねばならない。少なくとも数日間の運航停止は続くという見方も多く収益の押し下げにつながる。
全日空の伊東信一郎社長は事故後も、B787の今後の導入計画は「現時点では変更はない」と強調するが、日米の航空当局がB787の相次ぐトラブルの原因が設計上のミスなどと判断した場合、B787の運航は認められなくなり、導入計画も頓挫する。そうなると全日空、日航の経営への影響は必至。「夢の飛行機」(ドリームライナー)との愛称を冠した旅客機が“悪夢”をもたらしかねない。
これだけ事故が続くと設計上の問題に発展してくる可能性は高いし、しばらくB787を飛ばすことが出来ないと相当打撃になる。打撃は日本の製造業の信頼も損なわれるし、保有機数の多い全日空への打撃ははかり知れない。格安航空会社にも影響が出そうである。
B787は、従来とは違い日本では最初に導入され、飛ばしながら手直しがされて、実績を積んでものを導入してものを変えた結果がこのよになっている。
アメリカ連邦航空局は不具合いの箇所が改善されるまで飛行禁止、日本でも国土航空省が同様の飛行禁止命令を出した。これでしばらく飛行は出来ない。
※日本の製造業も以前ほどのすばらしさがなくなって来ている、理由はベテラン職人がリタイアして、後継者の不足と人材育成能力がも落ちてきていることである。日本経済に打撃になる可能性もある。
◎ 安倍政権の緊急経済対策も昔なら企業がうまくやってくれたが今の企業ではうまくやれないので期待通りにはならないと思う。
【用語解説】ボーイング787 米ボーイングが開発した最新の中型双発ジェット旅客機。全日空が世界に先駆けて導入した8型は全長約57メートル、全幅約60メートル。炭素繊維の複合材を使って軽量化、これまで大型機でしか飛べなかった長距離の欧米路線も就航可能になった。日本メーカーが機体の35%の部品製造を請け負う。1月現在、全日空は17機を保有、日本航空は7機を保有している。
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