気ままな旅

マイカーでの気ままな旅で、束縛された予定や時間にとらわれない、自由奔放な行動をとる旅の紹介です。

雪の日本最長路線バス街道を行く・・・・紀伊山地

2009-01-19 13:41:11 | 気ままな旅
 2009年1月2日(金)今年の正月は例年になく、妻と二人でひっそりとした正月を迎えている。
 当初の計画によると、元旦に静岡県浜松市に住む、妻の弟家族が総勢6名で訪れてくる予定であったが、急遽キャンセルになってしまった。
 6人を迎え入れる準備も整い、その矢先の出来事であった。
 その為に、元旦は、妻と二人で近くの神社と観音さまへ初詣に出かける。
 昨年の御礼と、本年の世相の安泰・健康を祈念する。
 2日は、予定が大幅に変更になったことから、妻と相談して、気ままな旅に出ることにした。
 行き先は、世界遺産にも登録され、雪のない紀伊半島の熊野本宮大社・熊野速玉神社・伊勢神宮などである。
 5日には、仕事の予定が入っており、今回は2泊3日の予定である。
 午前10時に自宅を出発、国道170号線から河内長野へ入り、そこから国道310号線に入る。
 山道の細い道路が多く峠にある金剛トンネルを抜けると、そこは奈良県五條市で、道なりに真っ直ぐに下って行くと自然と国道168号線へ入って行く。
 この国道168号線が路線バスとして、日本一長い路線で、通称十津川街道と呼ばれている道路である。(後で詳しく述べる)
          

          
         国道310号線金剛トンネルを過ぎた所から五條市内方面を見る 

 五條市内の国道168号線入口の電光掲示板には、「22時00分~6時00分まで、凍結の為通行止め」 と表字されている。
 雪がないと考えていたが、違っていたようだ。
 大丈夫かな! と一瞬思ったが、現在の時刻は丁度12:00頃で、問題はないと判断、そのまま通行して行った。

 この国道168号線は和歌山県新宮市を基点とし、奈良県十津川村を通り、大阪府枚方市を終点とする一般国道である。
 紀伊半島や奈良県南部の険しい山間部を縦断する為、所々で車が対面通行もできない狭路があり、渋滞する時もあるようだ。
 また、この道路は京阪神地区から新宮市へ抜ける最短ルートである為に、重要な道路として整備も急がれている。
 
 私も、五條市から十津川村まで、この道路を利用するのは初めてで、この道路に関する予備知識は全くもっていなかった。
 今日中には、紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産に登録され、熊野三山の一つである「熊野本宮大社」への初詣は済ましておきたいと思っていた。

 愛車エステイマは、曲がりくねった山間部の道路を、走行しながら高度を上げて行く。
 高度を上げていくに従って、山の頂上付近に見えていた雪が、しだいに目の前の山稜に見えてくるようになってくる。
 助手席のブラジル生まれの妻が、雪が珍しいのか、雪化粧した山稜をカメラにおさめようと、夢中になってシャッターボタンを押している。
 さらに愛車は高度を上げて行く。
 道路の両サイドは真っ白で、ヘヤピンカーブのある急坂の道路に差しかかってきた。
 冬用タイヤの着用規制も出されている。
 私の愛車は、毎年冬季になると冬用タイヤ(スタットレスタイヤ)に切り替える為、
 この程度の気象条件では、通行に支障が出る様なことはなかった。
 
           
  国道168号新天汁トンネル手前の店舗付近 雪化粧した国道168号線下永谷バス停付近 

 この下永谷バス停を過ぎて暫く行くと1174mの新天汁トンネルに差しかかる。
 国道168号線の中で、最も標高の高い地区で、1000m近い標高があるようだ。
 トンネルを抜けるとすぐに道の駅「吉野路大塔」があった、立ち寄ることにした。

          
              雪化粧した国道168号線 道の駅「吉野路大塔」

          
              「大塔コスミックパーク星のくに」 案内図 

 道の駅周辺には、郷土館、ロッジ「星のくに」・大塔温泉「星の湯」・星がいっぱいプラネタリウム館・主天文台・第2天文台、バーベキューハウス・ログキャビンなどの施設がある。

          
             道の駅周辺にある大塔コスミックパークの施設

          
            雪化粧した「維新胎動の地」像や石碑が立てられている

 大塔村には維新胎動の地として、南北朝時代に関わった大きな歴史があった。
 ◎南北朝時代
  鎌倉幕府追討を企てる「大塔宮護良親王」は、元弘元年(1331年=南北朝時代)元弘の乱が起こると、笠置山に参向して、父「後醍醐天皇」を助けたが、笠置山が陥落すると幕府軍の追捕を逃れて、十津川・吉野・熊野等々を転々と浪費して必死に反幕府勢力の糾合に努めた。
 この間、大塔村、辻堂・殿野に入り、土地の豪族「戸野兵衛」「竹原八郎」をはじめとする手厚い加護を受け、諸国に幕府追討の「令旨」を発し、ついに鎌倉幕府倒幕の偉業(建武の中興)を成し遂げた。

 ◎天誅組
  攘夷運動が激しさを増した江戸末期の文久三年(1863年)「中山忠光」「吉村寅太郎」ら反幕府勢力は「天誅組」を旗揚げし、激しい討幕運動を展開した。
 五條で決起し代官所を襲撃した後、交通の要地・物資集散地であった「天辻峠」に本陣を構えた。
 この地方きっての富豪であり、有力者であった「鶴屋冶兵衛」をはじめ、村人は居宅や人力を提供し、協力を惜しまなかった。
 しかし、幕府軍の追捕激しく志半ばにして夢破れたものの、「維新運動のさきがけ」として讃えられている。

          
            雪化粧している国道168号線の道路状況(大師温泉付近)

          
          国道168号線、大師温泉付近から真っ白に雪化粧した山稜

 雪の中で道の駅「吉野路大塔」周辺を散策した私たちは、今度は逆に峠を下る、国道168号線を南方面に走行して行った。
 この道路は通称十津川街道と呼ばれている。
 所々で道路が対面交通も出来ないほど、急に狭くなる個所を何箇所か過ぎて行く。
 雪化粧した山稜も南に下って行くに従って、雪が少なくなり、山の頂き近辺に見える程度に変わっている。
 愛車も谷瀬の吊橋近辺に近づき、案内の看板が掛けら、川沿いの道を通行して行くと、目の前に「谷瀬の吊橋」の全景が現れ、思わず愛車を停車させご覧のような写真を撮影する。
 
          
               十津川に架けられた「谷瀬の吊橋」の全景

          
          時々みぞれ交じりの強い寒風の吹く中、吊橋を歩く人たち 

           
           吊橋の幅板1mの細い通路   寒風の中、吊橋を歩く女性

 谷瀬の吊橋は 長さ=297m、高さ=54m、足元幅=1mの日本一長い吊橋として、全国に知られている。
 今日のような風の強い気象条件では、橋が揺れて歩きにくそうであるが、何人もの方が渡っている。
 私も天気がよければ渡りたいと思っていたが、熊野本宮大社に日没までには参拝したいと考えていて、今回は吊橋を渡ることは断念せざるを得なかった。
 吊橋の橋上からは、54mの下を流れる十津川の渓谷美や、揺れる吊橋を渡る事はスリル満点で、あるに違いない。 

          
    谷瀬の吊橋の細い通路、「一度に20人以上は渡れません」 の幕が掛けられている

 谷瀬の吊橋の観光を終え出発しょうとしたところ、前方から「八木駅行」の路線バスに出合った。
 このバスは、奈良県の近鉄八木駅から、五條バスセターを経由して、国道168号線を通り十津川村、熊野本宮大社、JR新宮駅までの168kmを6時間半で走行する路線バスである。
 通称「十津川くまの特急バス」と呼ばれ、バスマニアには人気の高い路線で、全国に知られている。
 高速道路を利用しない一般路線バスでは、この十津川くまの特急バスが、走行距離と走行時間で日本一を誇っている。

 このバスが通過した後、私達は十津川村中心部にある、道の駅「十津川郷」に向かった。
 
           
              R168号線沿いにある道の駅「十津川郷」

 ほどなくして十津川村中心部にある、道の駅「十津川郷」に到着する。
 道の駅には、足湯があり、数人の方が利用している。
 道の駅の隣には、十津川村役場庁舎がある、道路を挟んだ向いには、十津川歴史民族資料館があり、山村の生活についての資料などが展示されているようである。
 温泉地も近くにあり、秘境の地、十津川を観光面で行政と一体となって、打ち込んでいるように感じる。
 暫くした後、私たちは再び国道168号線を南下して行った。

           
            国道168号線の整備が進む、十津川村七色地区の道路橋

 十津川沿いに造られている国道168号線をさらに南下、新しく整備され供用されている区間などもあって、快適に通行して行く。
 道の駅「奥熊野古道ほんぐう」を過ぎて、暫く行くと世界遺産、熊野本宮大社に到着する。
 ガードマンの指示で、熊野川河川に造られた臨時駐車場に案内された。
 時間も午後3時で、上空は明るく、日没までには初詣や、本宮大社の見学も出来そうであった。
 左の方向には、大きな鳥居が立っているが、熊野本宮大社は、駐車場から300mほど真っ直ぐに行った所に正門があり、そこからが本宮大社で、多くの人たちが初詣に訪れ賑わっている。 

           
              多くの人たちが訪れ賑わう熊野本宮大社入口 

 私達は、カメラを提げながら、初詣の人たちで賑やう、熊野本宮大社正門を通り、石段を一歩一歩本殿に向かって行った。

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