世田谷のキャロットタワーにある世田谷区が設置した世田谷文化生活情報センター生活工房は、美術館でも博物館でも公民館でもないユニークな公共文化施設。
ここのギャラリーの展示も面白い。
20世紀の映像百科事典をひらく映像のフィールドワーク展vol.2
「ひもをうむ、あむ、くむ、むすぶ」。
会期は7月25日~10月22日。
第2次世界大戦敗戦間もないドイツの国立科学映像研究所で壮大なプロジェクトが始まったという。
「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ(ECフィルム)」。
世界中の知の記録を集積することを目指した映像による百科事典構想。
以降40年近くの歳月をかけて、様々な研究者やカメラマンが世界各地に派遣され、その地の暮らしや儀礼、動植物の生命活動をフィルムに収めた。
敗戦後のドイツと言えば莫大な補償金の支払いに喘いでいたのになんでこんなことを始めたのか私にはわからない。わからないけど、映像総数は3000タイトルにも及ぶという。
この展覧会は、ECフィルムの中から、績む、編む、組む、結ぶ、綯う、織るという「ひもづくり」にまつわる映像約50作品を上映する。
そして、映像を「みて」、草や古布など生活の中から素材を採集して「やってみる」。そして自分の「手から考える」ことを実践するワークショップもおこなうことで、映像をフィールドワークする。
そういえば・・・
なんで人類は紐を使い始めてたんだろ?
臭い!臭いよ!!と言いながら幼い子供がギャラリーを通り抜けていく。
お母さんは、草の臭いってそういうものなんだからと言いながら立ち止まることなく一緒に通り抜けていく。
なんかもったいない気もするけど、百科事典ってそういうもんだ。
でも、頭の片隅をほんの一瞬よぎっただけでも、必要な時に思い出すかもしれないのだ。
人類が電気なしでも大丈夫だった頃の最期の雄姿を。