これはただのたわごとです。
やっぱり県内にいたんだ。
あれはもう十数年くらいも前になるだろうか。
市内のJRのとある駅。
そこを目指して客が来るような商業施設がない駅の日中は閑散としている。
改札を出たら、指名手配のポスターを眺めている男性がいた。
珍しいな。
指名手配のポスターなんて、オロナインのホーロー看板というか、私の子供の頃から変わってない指名手配犯もいるのだから、ほとんど映画や写真の風景素材。
後ろを通り過ぎようとしたら、背後の気配に反応するかのように、その男性がちらりとこちらを見た。
そして、スッとその場を離れて行った。
ほんとにほんの一瞬だったのだけど、へ?と思った。
いまの人、まさか、この指名手配の人じゃないか???
むろん全く似てない。
ポスターの写真は、黒髪ふさふさのロン毛の若者。
その男性は、しょぼくれたさえない初老。
だけど、たまたま私と同じくらいの身長だったせいか、その一瞬の目つきがポスターの若者と同じに見えたのだった。
これから潜伏の詳細がわかってくるだろうから、はたしていつから県内にいたのかはわからない。
それにしても、70歳ということは、二十歳くらいからずっと逃亡潜伏生活をしていたということだ。
なんで自首しなかったんだろ。
前科があるとなかなか色々と困難な人生となることもあるだろうけど、支援者の間を綱渡りしながら癌に斃れるまでの50年間ってなんだったのだろう。
今は65定年の会社だって珍しくない。
70まで普通のサラリーマンとして働き続ける人も多い。
それぞれの選択なのはわかっているけど、どれが幸せかなんてわかんないけど、なんとも複雑な気持ちになる。。。