母が和風ジャングルにしてしまった庭の整理が始まった。
実は、母は鉢植えを買ってきては枯れるとその鉢植えの土を庭に捨てていたのだ。しかも何十年にもわたって。面倒くさくなれば植木鉢ごと庭に放りだしていて、その植木鉢から根っこが生えて地面に固定状態のものすらあった。更には芽の出たジャガイモとかタマネギまで放置していて、なんだこれ?と思ったらジャガイモの花だったことすらあったのだ。
私はそれを知らなくて、親方にあのヘンな築山って?と聞いてしまったのだ。親方は憮然とした表情で植木鉢の土も積もればああなる!雑多に捨てるとああなる!!
その母ガーデン部分の土や木やなんやらを運び出してみたら・・・
3トンくらいの石が姿を現した。
西半分は座敷から見える枯山水だろ。
この石はたぶん親父(この庭を設計した親方のお父さん)は、茶の間から見える枯山水を狙ったんだと思う。
と親方。
あ・・・
この石の周りに石の池をつくって落ち着けば、というか、育てば眺めになるらしい。
思わずため息が出た。
手間的にも金銭的に残された自分の時間的にもとてもこの庭にそこまでは付き合ってはいられないと思う。
かといってこの庭の石を全部動かすとなると、いったいどのくらいのお金がかかるんだろ?
そういえば、親方の所と限らず長野と限らず地方都市の造園屋さんと話しをすると、今は庭をつくる仕事は激減し庭の撤去依頼ばかりという。
主な理由は駐車場。
どこの家も車は一人に一台。欲しいのは庭じゃなくて駐車場。
新規分譲はむろん、代々の家も代替わりになれば庭より駐車場の確保。
もうひとつは手入れの大変さ。庭というのは、どんな格式高い名庭園でも基本は雑草取り。お抱えの庭師がいるなんて家はそうそうない。大半は年に二回くらい造園屋さんに入ってもらって後は庭のオーナー自らがマメに管理せねばならない。
庭石を動かすのは大きなお金がかかるから、庭石だけはそのまま放置という家もかなりあるらしい。
自分でだってこの庭に展望を描けないのに批評なんぞできる筋合いではないんだけど、今後の日本の庭ってどうなっちゃうんだろ?
造園屋さんは造園の仕事が激減し街路の手入れが主な仕事になったり、エクステリア方面に活路を見出すようになりつつある。
若手は経験を積むチャンスがない。
そのうちに庭を造る技術そのものが失われていくのかもしれないなぁなんぞと思う。
庭も博物館にしか存在しなくなる日がくるのかな?
ま。
土が落ち着くのを待とう。