昨日は、梅が咲く皇居東御苑から平川門を出て、そうだ、丸紅ギャラリーに寄ってから東京国立近代美術館へ行こう。
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「ふしみ御殿あつらへ」小袖裂と復元小袖-墨書から分かる桃山時代の小袖制作-。
会期は1月23日~2月22日。
会場の撮影は禁止。
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丸紅染織コレクションには桃山時代の希少な辻が花裂が2点あるという。
このうちの1点「染分練緯地島取り柳模様小袖裂」は「ふしみ御殿あつらへ」の墨書を有しているという。(画像はフライヤーより)。
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これは豊臣秀吉の側室の淀殿が着用した小袖の一部ではないかとされてきたが、近年疑問が呈されるようになったという。
その墨書の意味するところの再考が求められているという。
1999年には丸紅創立50周年記念事業のひとつとして、当時の染織技法・工程を学術的視点で解き明かし約3年かけて復元されたという。
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辻が花は、小袖が普及した室町時代から桃山時代にかけて風靡した文様染。
そして、後世から見ると突然という感じで消えた幻のような文様染。
辻が花の次に出てきたのは慶長小袖。
きっと今と同じで様々な理由から流行りが変わったのであろう。
たとえば、バブルの頃に流行ったフォルムのスーツなんぞは今では着られたものではなく、所持している人もほとんどいなくなったのと同じだと思う。
その一度消えて、しかも今のように画像が豊富に残っているわけでもなく、わずかに残されたボロ布といっていいような色褪せた裂から復元したのだから凄い。
復元された小袖は淀殿のお召し物ではないかもしれないし、大河ドラマとかに出てくる着物とはかなり違う雰囲気だけど、見ていると当時の人たちの美意識が浮かび上がってくるようだ。
案外とサイケだったりなんかして。
そういえば、辻が花が流行った時代はもとより、江戸時代だって浮世絵はあるけど、どんな声でどんな言葉を喋り、どんな匂い臭いがして、日常はどんな色の中で暮らしていたのかわからないのだな。
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