「クレアモントホテル」エリザベス・テイラー
映画を先に観て、の読書。
ソフトでかなり夢見がちな映画に対して。
あの、作家が?
まさか!!
だって、「エンジェル」書いた人でしょ?
忘れもしない、今だトラウマな短編「蠅取紙」。
容赦のない物語の、運び手である彼女。
それが、あんな優しき人々を描いたはずがないって!
との確信のもと、読み進める。
案の定~。
辛らつな描写が、あっちにもこっちにも。
でも、さすがにいい話な部分もちゃんと有った。
が、全体的には夢を見させない、現実的な展開。
映画の優しさを期待すると、萎れてしまいそう。
夫に先立たれたパルフリー夫人は、
自立すべく娘と離れて、長期滞在ホテルへチェックイン。
ホテルでは、同じく老後を過ごす長期滞在客が、今日もメニューに愚痴をこぼす。
お互いにそれぞれの性格にどうにか対応しながら、楽しみを見つけようとする人々。
そんなある日、パルフリー夫人は歩道で転んだところを青年に助けられる。
こうして作家志望のビンボーな若者との交流が始まるが…
余生をホテルで送る人々の孤独と人間関係。
これといって何も起こらない退屈さ。
食べて寝て、お喋りをする。
しかし、何かしら予定なり楽しみなりが無いと味気ない。
優しくされないから、優しくできない。
他人に厳しくなるばかり。
飲んで喋って紛らわせる派。
世間を非難するか、自慢話をするか。
色々な歳のとり方、ちゅーか人格形成の仕方。
どうにかして時間を潰す人たち。
シビアな展開をドライな文章で綴った一冊。
映画版は、
老婦人の胸キュンを中心に、
クセは有っても、どこか憎めない人達の群像劇。
主演のジョーン・プロウライトがすでに優しい雰囲気。
どう見ても、愛嬌ある人なつこいおばあ様。
そ~し~て~。
ルパート・フレンド。
どこの貴公子じゃ?
もう、片足、ファンタジーに突っ込んでます。
ロンドン中探しても、こんな若者居ないだろー。
ギターを爪弾きながら、懐メロ歌う姿のメルヘンぶり。
見てるこっちが赤面ですがな。
原作はさて置き、柔軟剤仕上げな映画。
『クレアモントホテル』(2005年米/英)
監督:ダン・アイアランド、原作:エリザベス・テイラー、脚本:ルース・サックス、音楽:スティーヴン・バートン
出演:ジョーン・プロウライト、ルパート・フレンド、アンナ・マッセイ、ロバート・ラング、ゾーイ・タッパー、クレア・ヒギンズ