木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

マンハッタン少年日記

2012-11-30 23:45:29 | 日記


【マンハッタン少年日記】ジム・キャロル

1963年、ニューヨーク。
アルコールにドラッグ、セックスとバスケットボール。
荒れに荒れた青春の日々。
しょ、少年日記なんだよねぇ?

詩人ジム・キャロルの13歳~16歳までの日記。
早熟な悪ガキは、その後ロック歌手としても活躍。

バスケのスター選手であるジム少年。
不良仲間とつるんでは、
セキ止めシロップをがぶ飲み。
マリワナや、錠剤やらを常習。
もちろん、世界の中心は女の子。
ジム少年の赤裸々なセックスライフ。
少女たちの奔放さに絶句。
(はい、確認。13歳とかなんだよねぇ?)

その後の地獄はヘロインと共にやってくる。
ドラッグを甘くみて、気軽に手を出してしまったが最後。
あれよあれよと、中毒に。
薬欲しさに、盗みを働き、挙句の果てに売春までする始末。
愛人のマダムにお小遣いを貰い、
地下鉄のトイレで男娼行為。
ホテルにだって付いて行ってしまう。
(はい、確認。この時15歳とか16歳)

根城はゴミだらけ。
使いまわしの汚い注射器。
見ただけでゾッとするほどなのに、我慢できずに使ってしまう。
コントロール不能の恐怖。
落ちるとこまで落ちるジム少年。

しかして。
地獄はそれだけでは終わらない。
おぉNO!!
少年院での過酷な日々。
強姦、暴行、殺人、自殺。。。
あらゆる暴力が一挙に押し寄せる。

そして。
更なる悪夢。
禁断症状。。。


この50年代、60年代という時代の空気とは。
冷戦、核の恐怖の色の濃さ。

“七つから九つの頃、何か楽しみにしていることや、
やりたいことがあると、それがすむまで核戦争がおこりませんように!
と、いつも祈っていた。その祈りが、大きくなるにつれて、
お願いだから今やってることが終わるまで絶対にボタンを押さないで!という風になった。”
“でも、こういったことがすっかり過去のことになったわけではなく、
解決したわけでもない。何も変わってない。
ただ、ほんの少しだけ物事がわかるようになっただけさ。
核戦争の恐怖は政府の道具……効果満点だし、奴らは使い方を良く知っているよ。
ぼくだっていまだにこの道具で、自分の時間を計っている。”

ディカプー(ディカプリオ)主演の映画版。
むか~し観たけど、忘れちゃったな。
マーク・ウォールバーグも出演してたなぁ。。。
「バスケットボール・ダイアリーズ」(1995年)
ふうむ。
また観てみるかなぁ?

007カジノ・ロワイヤル

2012-11-24 17:45:37 | 日記


【007カジノ・ロワイヤル】イアン・フレミング

ドタバタギャグ映画「カジノロワイヤル」(1967年)。
観たのはいいが、チンプンカンプン。
ストーリーを追えないばかりか、登場人物も把握出来ず。。。
途切れ途切れの映像だけが記憶に残った謎の映画。

新ボンドバージョンの「カジノ・ロワイヤル」(2006年)
を観るにつけ、ちゃんとした話だったんだ~。
ストーリー存在してたんだ~。

じゃ、一体あれは何だったんだ?
更に謎が深まる67年版映画。

今回原作読んで、両方の映画がよく解るように。

ボンドとヴェスパーの関係も、
感情のひだが丁寧に、いくぶんゆったり描かれてて、なるほどね。
ボンドが善悪、仕事に対して疑問を感じたり。
けっこう悩み事が多いボンド。

しかも、ボンドってグレイがかった青い目してたんや。
と、初めて知る。

“「許してくれなきゃ困るが、わたしは飲んだり食ったりすることに、
ばからしいくらい喜びを感じるんだ」”とのこと。
許したげるがな。

新ボンドバージョンでは、拷問シーンにビビりましたけど。
実は原作に忠実。
シリーズの魅力の一つだったらしい。。。

で、改めて1967年版映画を鑑賞。
いかに脱線しているかが解り、前回よりも楽しめたのが驚き。

3人がかりで脚本、5人がかりで監督。
この悪夢を、若干の余裕を持ってクリア。
やっとこ、内容を人に説明出来る状態にまで進歩。
(そんな機会は、ほぼ無いと思うが。)
試験に出たら、70点ぐらいは採れそうだぜぃ。
(そんな機会は、どこにも無いと思うが。)
ギャグまで解説出来そうな予感。
(そんな機会は探しても無いと思うが。)

まぁ、一言で説明すると。
大量のボンド(と名乗るスパイ)を送り込み、
敵をかく乱しよう作戦。
ボンドの甥っ子(ウッディ・アレン)や、
娘のマタ・ボンド(そう、母はマタハリ)が出てきたり。
サービス満点。

投げやりな展開。
これ以上は無理って諦めたな、と確信できる編集。
なんせ、いきなり合流してる人とかおるし。
もちろん、なんの説明もないのさ。

ウルスラ・アンドレスがショーガール風衣装で会社にいるシーン。
“「会社でそんな格好を?」
「外で着たら目立つもの。」”
いやぁ、ごもっとも。

ウッディ・アレンが処刑されそうなシーン。
“「実は妊娠してるんだ。」”
なーいっス。(無いとナイスかけてるんだけど、気づいてくれた?)

デイビッド・ニーブンがさらりとギャグをかわす姿が嬉しい。
ピーター・セラーズの真面目顔でのテンション低めの演技が楽しい。
イギリス人のコメディセンスに敬服。
必要以上におどけないのが、すんばらしい。

これみよがしに大挙して登場する美女軍団も。
バート・バカラックの音楽も。
豪華出演陣+カメオ出演も。
実は何から何まで一流。
よくもここまでハジけたもんだ。
無茶苦茶ぶりが楽しい一作。
しかも何度観ても、覚えられないから、
何度でも楽しめるぞ、この映画。
(たぶん、ほめ言葉)



レジナルド・ぺリンの転落

2012-11-22 13:42:10 | 日記


『レジナルド・ぺリンの転落』デビッド・ノブズ

おっさん、しっかりしいや。
46歳、ミッドライフ・クライシスなレジナルド・ぺリン氏。

会社では、それなりの地位。
社長には我慢、部下は目障り、仕事には無関心。
とは言え、仕事もそつなくこなす日々。
社内演劇サークルでは主役もこなし、趣味も充実。
ちなみに最近気になるのは、秘書の膝小僧。

家庭にも不満は無し。
小奇麗なは通りに庭付きの家。
妻とは、特に会話も無いが、平穏な生活。
娘の夫の意見にはいちいち賛成しかねるも、関係は良好。
まだまだすね齧りな息子は役者修業中。
妻の弟には、頼りにされているというか、たかられている。

これもあれも、いつもと変わらない日々。
通勤電車もお約束の11分の遅れ。
そう、そんな悪い人生じゃない...
んだけど─

“なんとなく億劫でやる気がしない。ものごとに集中できない。
生きる喜びを感じない。しょっちゅう頭痛がする。
テレビで劇場中継を見ながらうとうとしてしまう。
以前のようにクロスワードを全部解くことができない。
朝、起きると口の中が嫌な味だ。
女のスポーツ選手が全裸で競技する姿をいつも想像してしまう……”

会社の内線では、
“ダムチョン・プラムのパイパイのミックチュ粉が届きまちぇんでしゅかー?
違うほうのニューポートへ行っちゃったでしゅかー?
だめでしゅねー、いけない子でしゅねー”
と応答したい欲求にかられたりする。

そして。
カバ呼ばわり、ハサミムシ発言、ライオンを挑発とエスカレート。
決断と決行。
ついに計画を実行するレジー。

後半はスコットランド・ヤードが出てきたりして、
ちょっとした冒険小説のよう。
先の読めるような、読めないような展開。
というのも、
後半で、断然レジーが好きになってくるので
(そう、前半のレジーにはあまり好感を持てない)
明るい結末を願いだすという読者願望が介入。

十月のエピソード、エピローグに至っては、
作者に好感を抱かずには居られない始末。
期待以上のラスト。
ノブズ氏に栄光あれ。

本国イギリスではTVシリーズも製作。
しかも、続編も何回にもわたって作られるという人気シリーズ。
続編も自伝も読みたいもんだ。

“自分がわからなくなったから別人になりたいんじゃない。
ぼくにとってアイデンティティの問題とは、
「自分が何者かわからない」ではない。
「自分が何者か、わかりすぎるくらいわかってしまっている」のが問題なのだ。
ぼくはレジナルド・アイオランシ・ペリンであり、
ぼけなすぺリンであり、玄関マットのぺリンだ。
ぼくはあほらしい、それゆえぼくは存在する。
ぼくは存在する、それゆえぼくはあほらしい。”

猿の惑星

2012-11-20 01:36:36 | 日記


『猿の惑星』ピエール・ブール

人類はいずこに?
そういや、
映画ばっか観て、原作読んだ事なかったな。

ゴリラ、オランウータン、チンパンジーの3種族が支配する星。
あれ?
キンシコウは?
テングザルは?
ワウワウテナガザルは?
(どっかにおるやろ。)

退化した原始人間の描写に手加減無し。
狂犬病か?
そう。なんか犬に近いんですけど。
あるいは。
ロボトミー。。。
いや、確かに脳の実験とかされるんだけど。
その前に、すでに。
術後?
う・ら・ら─

3種族のパワーバランスの描き方が‘あるある辞典’並み。
表向きは平等、実際は大人の事情。
ゴリラは威張り腐った、勤勉さに欠ける上流。
オランウータンは過去に固執する、ある意味宗教的な権威。
チンパンジーは、愉快なチンパン!
じゃなくて~。
好奇心と探求心に満ちた脳のやわらかいチンパンジー族。

主役のユリッス・メルーの屈辱と恥辱に満ちた日々。
なんせ、知能の無い生物という前提で扱われるわけ。
観察されながら、求愛行動するシーンは涙。
ニワトリか~い?
コントじゃ無いから、笑っちゃダメ!
この汚辱に、しばし立ち直れず。
相手がセクシー美女なんだから、それぐらい我慢おし。
って、そういう問題か?

メルーの良き理解者、メスのチンパンジー、ジラ。
やたら、顔を赤らめるのは、何かな?
自意識やら、羞恥心やら、謙遜やら色々。
進化した知的生物って事なんでしょうけど。
どの映画版を思い出しても、
その顔には赤くなる質感は無かったような…

オスのチンパンジー、コルネリウス。
生物学者である彼の考えや過去に対する説は、置いといて。
猿の台頭を証言させるシーンはマユツバ。
おやぁ?
残念。

「猿の惑星」(1968年)の鮮やかなラストとは、若干違うエンディング。
思えば映画シリーズも
「続・猿の惑星」(1970年)
「新・猿の惑星」(1971年)
あたりまでは、一本筋が通ってたのにな。
バカにされる事もある続編にも関わらず。
同じ価値観というか、スタンスが感じられたので。
大事な物は失ってないと思うが。
続く、
「猿の惑星・征服」(1972年)何やってるの?
「最後の猿の惑星」(1973年)違うと思う。

「PLANET OF THE APES 猿の惑星」(2001年)にいたっては、
思い出したくもない。
まぁ、宇宙飛行猿のエピソードは有りだと思ったけど。
この映画で買えるとこは、そこだけじゃ。

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(2011年)
真面目な映画だったよ。
ストーリー展開に無理も無かったし。
よく考えたもんだね。
今思えば、ちゃんと原作から広げてたわけだ。
猿、多いな、シスコ。。。
在サンフランシスコの猿の数を教えてくれ─
気になったのは、それぐらいか。

続編はいかに?
いつ頃から猿、服着るのかなー。
着るとしたら?
まさかアルマーニじゃなかろうな。
かといって、Tシャツ姿も見たくないぞ。
スヌープ・ドッグみたいな…やめとこ。
SFっぽいコスチューム系?
ダースべーダー?
マスクとったら、猿ってちょっと嫌だな。。。

フェアウェイの悩める警部

2012-11-17 17:55:31 | 日記


『フェアウェイの悩める警部』バリー・コーク
『P・G・ウッドハウスの笑うゴルファー』P・G・ウッドハウス

貧弱なゴルフの知識もなんのその。
楽しく読了出来る本、2冊。

ユーモア溢れる文体にニヤニヤしっぱなし。
この2冊を読んでいると、
‘ユーモア’とは、限りなく‘サービス精神’に近いという確信に至る。

『フェアウェイ~』の主人公ストローン警部。
ゴルフ好きで腕前も確か。
最近、12世紀を舞台にした小説を出版したところ、
なんとベストセラーに。
印税をつぎ込み購入した愛車マセラッティの目立つこと。

なんとなく、浮世離れした登場人物たち。
行き当たりばったりな事件。
捜査だって、手際が良いとは言えず。
グイグイと読ませるタイプのミステリとは違いますが。
のんびり構え、人物描写を楽しみつつチビリチビリと読む本。
欲を言えば、切れ味をもう一振り、と言ったところか。


ウッドハウスの燦然と耀くユーモア。
こみあげる笑いに体をヒクつかせつつ。

ゴルフをめぐる滑稽なラブストーリー6編を収録した短編集。
いやぁ、ハッキリ言って、話は全部同じパターン。
にも関わらず、楽しめてしまう妙技。
あぁ、ユーモアは偉大なり。

会話は漫才、文章はユーモラス。
実に魅力的な名前を登場人物に与えるセンス。
洗練された機知というより、
身近な感覚としてのユーモアが読者を作家に近づける。
上流を愛着をもって描く庶民派作家の才能に感謝。
そう、結局のところ。
誰も悪い気はしないのである。

女性キャラに関しては、
若かりし頃のコメディ作品のキャサリン・ヘップバーンや、
「或る夜の出来事」のクローデット・コルベール、
キャロル・ロンバートの姿が目に浮かぶ。
ってあくまでも個人的に。

オートバイ

2012-11-14 14:01:30 | 日記


『オートバイ』A.ピエール・ド・マンディアルグ

19歳の人妻と中年男との愛欲の日々。
若い娘が中年紳士に目をつけられ、肉欲に目覚めるお話。

気弱で優しい夫。
書店に来る得意客のセクハラオヤジ。
その積極性、力強さに手名付けられちゃうわけ。
求められる激しさに身をまかせる事に、クラクラしつつ。
ひたすら、肉体として存在する事実に快感を覚える始末。
恍惚として支配され、完全に服従する幸せ。
かなりのハマりっぷり。
そりゃ、オートバイ飛ばして国境越えて会いに行くわなぁ。

レベッカの一人称で綴るモノローグ小説。
ひた走る現在と回想シーンで描かれる肉体の歴史。
スピードに身をまかせ、愛人にされるがままにされる。
この二つの忘我の境地を、
ほど良く、めくるめく描く、名作。


に、対して。
「あの胸にもういちど」(1968年)
原作とは...まったく別もの。

マリアンヌ・フェイスフル。
お姫さまみたいだけどさ。
ロマンチックフェイスに黒革のバイクスーツ。
しかも。
スーツの下はセクシーボディの素っぱだか!←“テストに出ます”ぐらい重要
そりゃ、ズるいぜ。Baby。
妄想、そのまま、映像化しとるがな。
ただ、原作のイメージとかみ合わない無念さ。

脚本(特にモノローグ)のお粗末さと、演技力の拙さが憎い。
更に追いうちをかけるような編集の酷さ。
助けて。

しっか~し。
この映画の最大の弱点。
それは。
アラン・ドロン。
この原作無視の配役の残忍さ。
[ダニエル役はアラン・ドロン]
たった13文字の決定が全ての歯車を。。。
あのさ。
アラン・ドロンが店に入ってきたら、その時点で惚れてまうやろ。
どこへでも、付いて行くがな。
それじゃダメでしょー
物語の意味が無くなっとるやないですか。

監督はマリリン・モンローにご指名されるようなカメラの名手。
映像の巨匠ジャック・カーディフ氏。
朝もや、風景、人物の映像は見応え有るものの。
サイケな画面処理や、マリアンヌにやたらと嬉しそうな表情させるのが気になる。
どーなの?これ。

マリアンヌがアラン・ドロンの胸に身を投げ出し、
‘脱がせて’と言うシーンは胸が熱くなるし。
バイクスーツは脱がされるのと同じくらい、
ジッパーをあげる事がセクシーだと教えてくれます。
...ん?
なんかヌードシーン満載のアイドル映画になってないか?
まぁまぁ。
とりあえず、
マリアンヌ様、拝んどこ。

レス・リードの音楽がcool.。
サントラ欲しい~。

私としては。
バランス的には、
ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンスブールな感じに近いと想像するが。
若干の変更は必要か?

ブルース

2012-11-12 00:18:53 | 日記


『ブルース』リシャール・ボーランジェ

おぉ。魂の叫び!
赤裸々な告白。
そして、呼びかけるわけさ。
自分に、友に、女に、家族に、若者に!
あひるにも!(え?)

“~自分の才能も無視している。いや無視していた。なぜなら、才能は永遠だと思っていたからだ。しかし今は、人生に於いて僕にはもう才能がないのを知っている。”
(胸に突き刺さる、この告白。)

“日曜の夜はどこで飲み、どこで自分の話をすればいいのだろう?”
(この孤独。。。)

“人生よ、僕にいっぱい時間を残してくれ。”
(沈痛なる叫び。)

“~僕は自分が絶望していると思っていた。少し大人になった今は、それがただの失望だったことを知っている。~”
(せんぱ~い!)

“アルコールよ おまえと別れなければならない~ 
僕は決して退屈しのぎにおまえを飲まなかった 
いつも情熱にかられて飲んだ 
一挙に 
不愉快になるために 
あるいは上機嫌になるために~”
(カッコいいんスけど?)

“~幸せとはどんなものか語ってやらなければならない。つまりは、自分のために考え、自分のために何かを築く瞬間、それはビールが腸(はらわた)にしみるのと同じくらいすごい瞬間だ。~”
(師匠~!)

“~甘いヤツらや、ヒーローではないヤツらに会いに来な 
ヤツらはたぶん何もわかっちゃいなかったが 
このみじめったらしい顔の人生を心から愛している”


パンクなポエム交じり散文が炸裂。
こんな人だとは、思ってもみなかった─

リシャール・ボーランジェ
1942年フランス・ムラン生まれ。
俳優・脚本家・映画監督・歌手
「フランスの思い出」(1987年)にてセザール賞主演男優賞受賞。
出演作「ディーバ」(1981年)、「タンゴ」(1992年)、「伴奏者」(1992年)、「イヴォンヌの香り」(1994年)など。
『ブルース』を2006年に監督・主演で映画化

毒杯の囀(さえず)り

2012-11-11 11:00:27 | 日記


『毒杯の囀(さえず)り』『赤き死の訪れ』ポール・ドハティー

14世紀のロンドンが舞台のミステリーシリーズ。
検死官と、その書記をつとめる托鉢修道士が謎解きに挑む!
んだけど~。
ま、事件やら解決やらは、置いといて。

何が凄いって・・・
生活臭!
この生活臭の凄まじさがリアルに街を支えてるんですな。
(住みたくないけど。)
貧しい地区と裕福な地区。
黒ずみ濁ったテムズ川にかかるロンドン橋。
市場の肉処理の贓物や血の臭いに、
あらゆる生物(もちろん人間、というか特に人間)の排泄物の臭い。
全てが渾然一体となって襲いかかってくる・・・ひぃいいっ

で、そんな中、食事もするわけさ。
主に居酒屋やエール酒場で。
(コンビニもファミレスもスタバも無いもんで。)
相当な数の居酒屋が登場。
また、その描写の丁寧なこと!
もちろん必ずしも、清潔な店とは限りません。
ひぃいいっ

で、また、この検死官の酒豪ぶり、飲みっぷりが。。。
一日、なんリットル飲むんですか~?
朝から、白ワイン、クラレットにエールを飲み。
昼も夜もクラレットをがぶ飲み。
行く先々で、呑めるだけ呑むという積極性。
しかも遠出するときゃ、ワイン袋持参。

主役二人のほど良い過去と、事件がからまりつつ。
この生活感が、何よりも魅力。

2巻目で、血なまぐささが増量。
処刑やら、見せしめ刑やらの日常ぶりも‘中世やなぁ’と感慨深し。
検死官と言えども、1377年頃のこと。
手ぶらで仕事。
科学捜査?何それ?

それでも充分楽しめる。
日本版タイトルが、ちと仰々しいが、それはそれで。

中世の托鉢修道士って...
もしかして「薔薇の名前」(1986年)な髪型か?
あまり追究するまじ。。。

事件は連続性、トリックは手が込んでるタイプ。
中世気分(っていつだ?それ?)な時に読みたいシリーズ。

月世界へ行く

2012-11-09 21:55:44 | 日記


『月世界へ行く』ジュール・ヴェルヌ

いやぁ、なんせ1860年代なもんで。。。
移動手段に馬が重宝されてた時代。
自動車は一般化には程遠く、しかも蒸気自動車。
で、月に行こうとしてる人が居たら、
とめよーよ、誰か!

大砲クラブの会長バービケーン、二コール大尉、
と、フランス人芸術家(登場人物の紹介では、‘陽気なフランス人’と明記)。
この三人が直径30メール弱の大砲に乗って、打ち上げられる。
(誰もとめなかったんだ~)

科学的な考察を、ああでもない、こうでもないと言い合いつつ。
ワイン片手に宇宙旅行。
進みすぎ...
技術と事実は置いといて、理想的な旅やないですか!

数式やら、月観測の歴史、地形の知識、宇宙論など。
かなり紙面を費やしてます。
(読むのめんど臭いから、ほどほどにしといて欲しい。)

異星物との出会いや、生命の神秘は特に無し。
ひたすら、月の観察と考察あるのみ。

操縦するという意識の無さがちょっと可笑しい。
大砲だから、飛ばされっぱなし。
奇跡的に地球に落っこちて帰還。
(えらいアバウトやな。)

誰か彼かがやらかす、うっかりエピソードが、
これまた笑っていいんだか微妙。
犬やら、鶏やらの話。
帰還後の捜索の模様。

宇宙空間にエーテルが充満しているという把握らしく。
やたらと、エーテル、エーテルと記述があるのが不思議な感じ。

自分の持ってる曖昧な宇宙の知識では、
19世紀時点での宇宙考察にすら参加出来んな。
あ〜あ。

禿頭礼讃図録

2012-11-07 22:58:13 | 日記


ゲイリー・ルイス Gary Lewis
スコットランド出身
優しさと厳しさが絶妙にミックスされた表情。
スコットランド訛りも魅力の一つ。
真っ白まゆ毛も素敵、素朴なナチュラル系禿頭派。
「リトル・ダンサー」(2000年)の父親役が印象深いものの。
最近やたらとTVで見かけて、魅力、再発見。
「モー・モーラム ~不可能を可能にした女~」(2010年)TV
「ヴァルハラ・ライジング」(2009年)
「第一容疑者 希望のかけら」(2006年)TV
「エラゴン 遺志を継ぐ者」(2006年)
「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2001年)
「法医学捜査班 silent witness」、「ヴェラ~信念の女警部~」にもゲスト出演。


ジャン・レノ Jean Reno スペイン(アンダルシア)系フランス人
今さら説明不要な、カッコイイ禿げのお手本。
田舎のオヤジからイケてる警部まで全対応型禿頭派。
リュック・ベッソン監督とのコンビが有名。
「グレート・ブルー」(1988年)で映画ファンをノックアウト。
「レオン」(1994年)で世界をノックアウト。
「クリムゾン・リバー」(2000年)での好演。
「ピンクパンサー」(2006年)での超好演。
スティーヴ・マーティン相手に、この慎ましさ!素晴らしい!
個人的にお気に入りは、
「ロザンナのために」(1997年)ええ話やぁ~、と
「ルビー&カンタン」(2003年)このダメさがええわ~
ジェラール・ドパルデューと、まさかの共演。


エド・ハリス Ed Harris 
シワの一本一本までが味わい深い(芸術品です)、カッコ良さ。
無造作で繊細なアート系禿頭派。
「アビス」(1989年)でかなり目立ちだす。
「グッドナイト・ムーン」(1998年)でジュリア・ロバーツと再婚する役。
え?・・・いくらなんでもミスマッチ。
入魂の一作「ポロック 2人だけのアトリエ」(2000年)
「めぐりあう時間たち」(2002年)
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005年)
とまぁ、素晴らしい作品に恵まれつつ。
「敬愛なるベートーヴェン」(2006年)
このベートーヴェン役、素晴らしい。
おぉ、音楽室のあの肖像画が生きている!
「崖っぷちの男」(2011年)での悪役。
怖っ。底知れぬスゴみに衝撃。


デヴィッド・スーシェ David Suchet 1946年ロンドン出身
顔の濃ゆさと禿頭がエキゾチックなセクシーさをアピール。
この存在感はマネしようったって、無理。
重厚なるハーモニー、スパイシー系禿頭派。
名探偵ポワロ(TVシリーズ)のポワロ役で世界中にファンを増やす。
舞台で活躍していた演技派。
映画にも時々出演。
最近では、「バンク・ジョブ」(2008年)に出てました。


ミシェル・ブラン Michel Blanc
パトリス・ルコント監督とのコンビが有名。
自ら脚本、監督もこなす才人。
役柄でガラリと印象が変わるので要注意。
愛嬌ある、チャーミング系禿頭派。
「仕立て屋の恋」(1989年)が有名か。
懐かしの「レ・ブロンゼ」シリーズ
「他人のそら似」(1994年)



マーク・ストロング Mark Strong ロンドン出身
仕事断らないんじゃないか?と思うぐらい出演作目白押し。
一時期は、悪役を一手に引き受ける勢いを感じさせる。
役によってウィッグを使用するので、別人になる。
憂いある瞳と長いまつげが高貴な印象を与えるインテリ系禿頭派。
「ジェーン・オースティンのエマ」(1997年)ではナイトリー役でした。
「裏切りのサーカス」(2011年)
「キック・アス」(2010年)
「ロビン・フッド」(2010年)
「シャーロック・ホームズ」(2009年)