「こわれる」ゼルダ・フィッツジェラルド
女のロマネスク~というシリーズの一冊。
ロ・マ・ネ・ス・クー!!
う~ん、このひとことに深い意味もなく胸騒ぎ。
祝祭と狂乱のジャズ・エイジに輝けるフィッツジェラルド夫妻。
誰もが羨む若く美しい二人の愛憎渦巻く夫婦生活。
ゼルダが精神分裂症と診断され、入院中に6週間で書き上げたという自伝的小説。
アメリカ南部でワガママ放題に育ったアラバマ。
彼女はあまたの求婚者の中から、画家志望の青年ディヴィッドを選ぶ。
若くして画家として成功した彼との散財、パーティー三昧の日々。
娘も産まれ、パリに落ち着いたものの、
アラバマはバレエの練習に夢中になっていく。。。
熱烈、モーレツに語られる文章について行くのが大変。
表現しようとし過ぎで、ちょっとうるさく感じ食傷気味になるとこがあるものの。
徐々に慣れる。
中盤のバレエ教室のあたりでは、一流小説並みに興味深く魅力的で面白い。
バレエの先生や生徒達が活き活きと描写され、どんどん読み進む。
画家という設定にはなっているが、やはりスコットが眼に浮かぶ。
どーしても、有名人に対する、要らぬのぞき趣味が頭をもたげて読んでしまう。
でもって、この夫婦を分かったような気になってしまう…
まぁ、仕方ないか。
お互いに気まぐれな二人の不安定な日々。
今さら変われない性格、生き方、考え方。
延々に続くかと思われるパーティーやらディナーやらの社交的な付き合い。
その場限りの会話、会話、会話…
人また人、友人というよりも知り合い、知人、他人…
大きな目的がある訳でもない、浮かれ集う事の無意味さ、空虚さ。
更に、有名画家の妻として、チヤホヤされる夫に付き添うだけの存在である不満。
不満は苦痛となり、焦燥は怒りとなり…
逃げ場を求め、はけ口を探し、バレエにたどり着く。
実家に居た時には、父の庇護の元に暮らし。
結婚してからは、夫に養われて生活。
独立したい、自分で生きていきたいという欲求。
時流の波に乗り、時代に押しつぶされた女の一生。
研究者の間では、
スコットが悪い、ゼルダが悪いとお互いに非難し合っている様子。
娘さんが、どちらも責める必要はないと言っていた通りだと思う。
時代が彼らを選び、輝かせ、被害者にもしたんだと思う。
「あたし、ママが言ったことがよくわかんないのよ、パパ。あたしに注意してくれたんだけど、
それが、人生のバック・シート・ドライバー(他人に指示をするだけで、自分ではなにもしない
ひとのこと)にはならないようにっていうことなの」