「『メトセラへ帰れ』では十七歳で卵から出てきて、いきなり数カ国語を喋るの」(『乱れた大気』アーウィン・ショー)
なんだって!?
という事で、読んでみました。
『思想の達し得る限り(原名 メトセラ時代に帰れ)』バァナァド・ショウ
アダムとイヴから始まり、未来(三万年後)までを描く五幕の戯曲。
肉体と思想と寿命の問題。
三百年生きるって、どう?
千年、数千年だったらどうでせう?
──凄く浪費すると思う。
あと、二百年あるし~とか言ってダラダラするな、きっと。
精神的に成長するかどうかも疑わしい。
バーナード・ショーが当時のイギリスを皮肉ってる感が炸裂。
詳しいトコまでは解らないのが残念。
リアルタイムだったら、どんな反応してたでせうか?
『ラベンダー・ドラゴン』イーデン・フィルポッツ
騎士とドランゴンの活躍するファンタジーだよね?
これっぽっちも疑わず購入。
あっという間に理想郷の話に。
いやぁ、ドラゴンに説教されるとは思ってなかったっす。
このドラゴンがなんとも知的で魅力的。
考え方もご教訓もなかなかのもの。
思わず、村への移住も頭をよぎる。
にしても、お互いに隣人の庭を世話しあうってのは、ちょっと面白い。
『カリタ教授の奇妙なユートピア探検』スティーヴン・ルークス
政治・社会倫理学の教授が書いた理想の国家を探す旅。
登場する国がいささか誇張され過ぎ。
カリカチュアし過ぎてかえって興味がうすれる。
そ・し・て─
本家本元
『ユートピア』トマス・モア
明らかに、素晴らしい国ではあるが─。
住みたいとは思わんな。
とは言え。
何故、そういう制度なのか?何故そうなのか?
というユートピア人の考え方が詳しく説明されていて刺激的。
しかも、
モアが語る当時の世相が‘現在’とたいして違わない、という衝撃。
社会思想の古典と言われているが、古くない。
古典というより、基本か?
考え方について考えさせてくれる一冊。
『His Dark Materials THE AMBER SPYGLASS』Philip Pullman
(琥珀の望遠鏡 ライラの冒険III フィリップ・プルマン)
パラレルワールド、生死感、魂、宗教。
テーマの深さに驚く。
価値観の違う世界。
成長物語であり、爽やかな切なさの残るラブストーリー。
思想の達し得る限りのファンタジー。
誰でもが丁寧にお辞儀してくれる、社会の上層部に納っている間は、世間というものは、実によくできているように見える。しかし一度その世間の下敷きになれば、社会などというものは悪魔に食われろという気がしてくる。
byスティブンソン『旅は驢馬をつれて』
‘~とうてい読みこなせない法律、まったく難解で全然何のことやら見当もつかぬ法律、およそこういう法律に人間ともあろう者が縛りつけられるとは不合理も甚だしい’トマス・モア『ユートピア』より