『ローラ』(1981年西ドイツ)
ファスビンダー監督によるメロドラマ。
メ、、、メロ、ドラマ?
これがまた、想像以上にメローなドラマかつメロドラマ。
中盤、眠気に襲われるし。
やたら長ったらしいシーンもあるし。
こりゃあ失敗作か?と思いきや。
あまりにも鮮やかな終結。
パタパタと一気に決着。
パラパラ漫画かよ?的にそれぞれの人生が動きだすさま。
そして、何もかも皮肉。
ヨーロッパ映画の描く皮肉、恐るべし。
立場や状況、人生がことごとく反転、逆転するっつー。
見渡す限りの皮肉、容赦なく転がる人生。
これを見せる為の映画だったのかぁ~。
すげえ。
やっぱ凄いわ、ファスビンダー。
とはいえ、眠いもんは眠いけどさ。
汚職や堕落を許さない堅物の男。
とある役所に着任したところ、新たな建築案が進行中。
超なーなーで、隙あらば欲を満たそうと蠢く連中。
もはや大人の事情どころじゃなく、虚偽申請、着服、賄賂と、、、
一部の上層部、豊かな者達がせっせと私腹を肥やす状態。
そんな彼等に、NOと言った生真面目な男が。
美しく清楚な女性と恋に落ちるが…
画面がピンク色がかってるのが、妙に楽しい。
ローラ役のバルバラ・スコヴァが抜群。
というかバルバラ・スコヴァを堪能する映画といっても過言ではないって。
フワフワの金髪がピンクな画面に映えること。
くっきり二子山な唇が、時にローズレッドだったりローズピンクだったり。
夜の女のセクシーな衣装と、昼間のお嬢様スタイル。
ドイツ版マリリン・モンローか?と見まがう着こなしっぷり。
しかも歌も上手い。
したたかさと、すねた感じ、浅薄さが見事なバランス。
ヒドい女なのに、あまりにも嫌味が無いため。
観客もついつい受け入れちゃう堕天使ぶり。
ラストでローラの娘に同じポーズをさせるあたり。
次の小悪魔の誕生かよ?
思わず背筋に、なにかが走ったわぃ。
信念、生き方。
自らのアイデンティティに関わることすらも、投げ打っちゃう。
ローラに夢中なオっさんの、シミジミとした幸せ宣言に──
個人的に敗北。
幸せってなに?
『ローラ』(1981年西ドイツ)
監督・脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、脚本:ペア・フレーリッヒ、ペーター・メルテシャイマー
出演:バルバラ・スコヴァ、アルミン・ミューラー・スタール、マリオ・アドルフ