『天使の分け前』 (2012年)
キルト野郎が地味~に完全犯罪に挑む!
『エリックを探して』 (2009年)がA面だとしたら、
本作はB面といったところ。
ってiTunes世代には通じんな、この表現。
冒頭の駅のホームでのシーン。
まさか、こいつが主要キャラ?
ごっつイケてないんすけど?
続く裁判所でのシーン。
余りにもリアルなショボさに、まさか主役級の人達だと思わず。
危うく見過ごすとこ。
さすがケン・ローチ監督。
超自然体な庶民(この場合は‘恵み多からず派なひとびと’)の姿に愕然。
軽犯罪で社会奉仕を命じられた、なんとも垢抜けない面々。
指導員のおっさんの趣味がウイスキーだったもんで。
蒸溜所ツアーに連れて行ってもらう。
なんと、メンバーの一人、ロビーのテイスティングの才能が開花。
人生の決断を迫られていたロビーは俄然やる気を出し始め─
家族ぐるみの暴力の連鎖から逃れるため。
未来の無い地元から彼女と子供を守るため。
一発逆転の大勝負…とゆーか大泥棒を企てる。
超頼りない仲間を引き連れ、はるばる樽を目指す。
えぇ、キルトはいて!徒歩!と、バスで!
どこまでもひそかに、ジミに、実行される犯罪。
華麗にぶら下がったり、カッチョいいメカも無し。
ハリウッド作品と違うからな。
ワザワザ誰も盛り上げてくれんのさ。
とは言え、それなりにハラハラする事態に。
これがまた、上手いこと最後の逆転に結びつくという無駄の無さ。
目的意識の無い生き方を責めるでもなく。
世の中が悪い(決して良いとは言えたもんじゃないけども)と断罪するでもなく。
学べる人と学べない人、時間がかかる人、それぞれ。
ぬけてるからって、自分を理解してない訳じゃないってこと。
パブで飲んじゃおうぜ!の一言に、
こいつらなんも学んどらんな!と思いつつ、なんとなく嬉しくなる今日このごろ。
それぞれ、生きろ。
それなりに生きろ。
って、結局応援しちまってるしな。
被害者と加害者が面会するシーンは秀逸。
ロビー役のポール・ブラニガンの瞳の美しさと併せて、
胸に迫るものあり。
相当辛いが、意義深い。
なんかこのシーンだけでも、観た甲斐があったような気がする。
気のせいか?
あ、そうそう。
一箇所、気持ちわる~い吐き気をもよおすシーンあり。
これ、カンベンな。
ご免こうむる。
やっと冷めかかった‘プロクレイマーズ・500マイルズ熱’が、思いっきしぶり返しました。
スコットランドが舞台だし、挿入歌に使われるのは驚かんが。
映画館でガンガンかかってた為、落ち着きを失う。
帰宅後、さっそくリピート再生。。。
『天使の分け前』 (2012年)
監督:ケン・ローチ、脚本:ポール・ラヴァーティ
出演:ポール・ブラニガン、ジョン・ヘンショウ、ガリー・メイトランド、ウィリアム・ルアン、ジャスミン・リギンズ、
ロジャー・アラム、シヴォーン・ライリー、チャーリー・マクリーン