『乱れた大気』アーウィン・ショー
ラジオ業界を舞台に、赤狩りによって傷つけあい、騙しあう事になる哀しき人間関係を描く。
今、考えれば、国をあげて、なんであんな事になったのか首をかしげてしまう。
この本を読んで、その状況に身を置き、疑似体験。
政府からの圧力や、スポンサー、上司からの通達。
(まぁ、結局は脅し。)
自分の仲間であるキャストやスタッフに伝えたり、取り持ったり。
この状況、どうよ?
ぜったい、どの立場にもなりたくないはず。
登場人物の皆さんだってなりたくてなった訳じゃないでしょうけど。
世の中が正常な状態である事を考える。
言わせない空気、許さない状況、時代によってあるんですねぇ。
過去の事を軽々しく批難は出来ないなぁ。
“〜我々は、誰も他人のありのままをみることはありません。自分のエゴというひび割れを通してしか眺めていないのです。
虚栄、恐怖、欲望、競争心。
こうした自分自身のエゴが生み出すあらゆる歪みが、自分の目に映る周囲の者の像を決定しています。〜”
byテネシー・ウィリアムズ(エリア・カザンへの手紙)
『ザ・フィフティーズ』D・ハルバースタムより
映画
「エデンより彼方に」(2002年)
「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(2008年)
「めぐりあう時間たち」(2002年)
なるほど。
ファッションやら、インテリアやら素敵なのに。
必ずしも幸せでは無かった時代か。
そして時代は「マッドメン」(TVシリーズ)の時代(60年代)へ。
って、やっぱり病んでる!!
あらあら。
ちなみに。
アーウィン・ショーは『乱れた大気』がベストセラーになったのに。
映画化、舞台化に反対する圧力、脅迫によって実現しなかった事を受け。
アメリカを捨てたそうです。
その後、20年以上にわたって、アメリカに住居をもとうとしなかったらしい。
あまりに、傷は深い。
そして、怒りと失望は小説そのまま、だぶってみえる。
人の愚かさや醜さは、否定しようが無いけれど。
出来れば、ほどほどで生きてける時代がいいなぁ。