切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

孤独死

2017-05-01 23:01:10 | 社会
 たまたまネット記事で、女性ルポ・ライターが、孤独死の現場の様子をルポルタージュした本を出したとの記事を読んだ。


 その一部が紹介されていたが、現場は凄まじい状況らしい。真夏のある日、現場のマンションの部屋に近づくと、酸っぱい何とも言えない匂いがし始め、ドアの前に来ると強烈な匂いになってくる。ドアを開けて特殊清掃業者と一緒に中に入り、清掃業者はすぐ遺体の場所が分かるそうだ。ルポ・ライターのほうは、まずその部屋全体のひどい散らかり具合、惨憺たる様子に目を奪われる。
そして遺体があると思われる方向に目をやると、その遺体は体の形はなくて、もう全体がドロドロに溶けている状態だと言う。部分的に着ていた服や髪の毛が見えるだけで、溶けてしまった液体は、ねばついていて、とても見られるような状態ではないと言う。
こんな状態になって発見されるというのは、考えてみればあまりにも悲惨。

もう今から7年位前になると思うが、ある日の夜にNHKのドキュメンタリー番組「無縁社会の衝撃」と言うのをたまたま見たことをすぐに思い出した。
 核家族化などと言う言葉はとっくの昔に通り過ぎ、孤独な一人暮らしの老人がどんどん増え、更に働き盛りの世代の人の中にも、リストラ等で底辺生活を送りながら、1人孤独に暮らしている人が増加し、病気になっても病院にも通えない実態があり、ある日ひっそりと死んでいってしまうという孤独死というのが増加しており、その亡くなった人には、親戚縁者もわからない場合も多いという実態が描かれていた。
 今や一般の人々だけではなく、有名芸能人ですら、孤独死の果てに悲惨な状態で発見されると言うことも起きている。最近では大原麗子や飯島愛がそうだ。亡くなってからかなり経って発見されたと言う。

全く人ごとではない。自分も年齢を考えると、いつそうなってもおかしくない。実際、病院通いはしているし、医者から警告も受けている。薬漬けの中で、何とか表面的には元気にやっているが、あの世行きは突然やってくるのかもしれん。
こうして日々がどんどんどんどん過ぎていくことが、同時に死というものがどんどん近づいてくると思わざるを得ない。そんな考えに陥ってしまった。

 NHKのアーカイブにアクセスして調べてみた。鮮明に覚えていた番組は、「NHKスペシャル 無縁社会 ~“無縁死” 3万2千人の衝撃~」で、2010年放映。番組の紹介欄には次のようにあった。

 「自殺率が先進国の中でワースト2位の日本。NHKが全国の自治体に調査したところ、ここ数年「身元不明の自殺と見られる死者」や「行き倒れ死」など国の統計上ではカテゴライズされない「新たな死」が急増していることがわかってきた。なぜ誰にも知られず、引き取り手もないまま亡くなっていく人が増えているのか。「新たな死」の軌跡を丹念にたどっていくと、日本が急速に「無縁社会」ともいえる絆を失ってしまった社会に変わっている実態が浮き彫りになってきた。「無縁社会」はかつて日本社会を紡いできた「地縁」「血縁」といった地域や家族・親類との絆を失っていったのに加え、終身雇用が壊れ、会社との絆であった「社縁」までが失われたことによって生み出されていた。

また、取材を進めるうちに社会との接点をなくした人々向けに、死後の身辺整理や埋葬などを専門に請け負う「特殊清掃業」やNPO法人がここ2~3年で急増。無縁死に対して今や自治体が対応することも難しい中、自治体の依頼や将来の無縁死を恐れる多くの人からの生前予約などで需要が高まっていることもわかって来た。日本人がある意味選択し、そして構造改革の結果生み出されてしまった「無縁社会」。番組では「新たな死」が増えている事態を直視し、何よりも大切な「いのち」が軽んじられている私たちの国、そして社会のあり方を問い直す。」

 無縁社会という語句が強烈に脳裏に焼き付いた。自分も退職し、今や独居生活となっている現実に、表面的には分かったつもりでいても、普段の生活の中で「切実に」感じることは殆どない。きょうのような、月の変わり目等に、今年ももう1/3が終わったのか、とハッとして感じるくらいだ。
 でも、この先のことを考えると、自分が上記の無縁社会の真っ直中に入り込んでいくような姿が見えてくる。老境の人との繋がりをどう構築していくのか、ほんと切実な課題だ。ある意味、ブログを始めたのも無縁への抵抗なのかも知れない。
 
 尚、NHKの当番組について、様々な意見がネット上にあることも知ることができ、参考になった。みなさん、しっかりした見方をしていると改めて思わされた。
                     
コメント
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