高知 きたむら動物病院blog

四国高知にて2009年1月に開院いたしました動物病院のブログです。

いいかげんと、好い加減。

2017-06-11 23:26:21 | 獣医のつぶやき
久々に、長々と書きました。

私が勤務医として3年間お世話になった横須賀の動物病院の
院長がよく言っていた言葉に、

「いいかげんは、好い加減。」

というものがありました。

当時お世話になった院長は、人としてとても尊敬に値する人で、
誠実さとユーモアと度量を兼ね備えた「親分肌」でした。

自分は実はそれまで、いくつかの動物病院を転々としていて、
獣医としてはかなり中途半端な状態で3年弱ほど過ぎていました。
その時点では、「どこいっても通用しない」「人間関係でうまくいかない」
というような、かなり生き方が下手くそな状況でした。

東京にて勤務していた時代、いわゆる「高度医療」と言われる
病院にも勤めたのですが、自分も未熟でご迷惑をおかけしたものですが、
病院内でのストレスもかなりきつく、また、「理論武装のための勉強」
をしないとやっていけないような状況でした。

横須賀の病院に勤務し始めたのが2004年の末。その当時は、
自分なりに仕事の勉強はかなりしていたのですが、とにかく
「突っ込まれるのが怖い」という仕事恐怖症みたいな状態で、
理論武装して獣医療上「正しい」治療をしないといけない、
というようなことに憑りつかれていました。

しかし、横須賀での3年間。
最初は自分は「ビクビクしながら仕事していた」ような不安定な
状態だったのが、当時の院長のおかげで、ちゃんと仕事ができる
ようにして頂きました。

当時の院長からも、
「北村は自分で勝手に勉強するから、ここでは 人 を学びなさい。」

というようなことを言われました。

いいかげん という言葉は、通常の会話ではたいてい悪い意味です。
適当だとか、無責任だとか、中途半端だとか、怠惰というような表現に
なりますが、当時の院長は、「好い加減」が必要で、ちょうどいいんだ、と。

それまで、「正しい治療」ということしか学ぶ機会が無く、正しいというのは
即ち「動物を治すための治療」という一面しか見てこなかったのです。

では「正しい」とはなんだろう?何を以って「正しい」のだろう?

それまでの自分が学んできたことがガラガラと1回全部崩れました。


でも、そのおかげで、自分がもともと本来やりたかった仕事に戻れました。

動物病院の仕事って何だろう、「動物の病気を治す」それは確かに
そうなんです。ですが、実はそれは仕事の「手段」です。

どのような治療を行うのが正しいのかは、病気の治療法が確立している
ものに関しては、あまり選択の余地もなく、「正しい」治療をしていって
解決に向かいます。
最短コースで治癒に向かうことが出来る場合は最短コースで。

しかし、そればかりではないんですよね。
日々の仕事の少なくない割合は、

「何が正しいかは相手(飼い主さん)と自分の会話、話し合いによる。」

ここで、「好い加減」が大事になってくるのですね。


開院9年目となった、新しいというわけでもなくなった当院では、
日々、「好い加減」でその時必要な仕事ができているように
なっていると実感しています。

「好い加減」で仕事ができるようにするためには、飼い主さんとの
会話や意思疎通、コミュニケーションが最も大切です。


「正しい」動物医療というものどういうものか。

治療方針が。治療方法が。治療の確率が。

本に載ってることも勉強も大切ですが、それらはあくまで
「いい仕事ができるようになるための手段」であって、

人間より先に命が有限である犬や猫の仕事をする
我々の仕事の本来の目的はやっぱり、

最後まで、「飼っててよかった。」

というところを飼い主さんが実感できたら、我々も甲斐があったのかな、
と感じると思います。

そういう意味では、犬や猫の「治療」だけに主眼を置いてるわけ
ではなく、必要な治療はできるだけキッチリと、でも、「好い加減」
も大切、というような、「ゆるバリ」がいいのかな、と思います。

横須賀の病院で3年間勤務していなかったら、たぶん今でも

「獣医療上、正しい治療」

に固執した仕事をしていたかもしれませんね。

つらつらと書きましたが、9年目の当院、できることは最大限。
できるだけ飼い主さんと「明るい」仕事をこれまでも、これからも
して言いたい所存ということで。

「正しい」も大事ですが・・・日々仕事してて、仕事は仕事でしながらも、
「明るい」とか「楽しい」とか・・・まあもっとも大切なのは「良かった」
じゃないかなあ、なんていう、気持ちの面は、とても大切ですね。

昔はいろいろと仕事のトラブルや問題、悩みも本当にたくさん
あったんですが、現在ではほとんどの飼い主さんは良好な
コミュニケーションを以って仕事させて頂いていると我々は感じています。

逆に言うと、良好なコミュニケーションが取れない方は、自然と
当院とはご縁が無くなったのかもしれません。

今後も、好い加減で、好いコミュニケーションで、日々仕事させて
頂けたら、我々スタッフ全員もそれ以上有難いことはありません。

診療方針 きたむら動物病院web

高知 きたむら動物病院
高知県高知市北川添24-27
088-880-5123
受付時間 
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土      9:00-11:45 14:00-17:45

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一般診療・犬と猫のアレルギー・皮膚病外来・内分泌外来


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ホームページの文章

2016-11-03 09:11:09 | 獣医のつぶやき
当院のホームページの冒頭に

「このホームページは北村個人が作成・管理しています。
すべて文章はオリジナルで自分で書いています。
web上のすべての文章のコピー・引用・改変使用・無断使用など固く禁止します。」

の文章を入れました。

実は、もう以前からなのですが、当院のホームページの文章は
度々コピーされて勝手に使用されています。
(使用のご連絡頂いた病院もあります)

それも、高知県以外の病院などで何度もあって、
パッと見るとその病院が書いたオリジナルの文章に見えたり、
少しだけ改変して内容はほとんどそのまま、など、ひどいものです。

いくつかの病院には、盗用点・類似点を指摘して抗議し
内容を変えてもらいました。

私の考えが参考にされること自体は大変光栄なことなのですが、
私は常日頃自分で物事を考えて意見を持つことが重要だと思って
いますので、

同業者が、自分の考え、自分の言葉で表現せず、借り物で
済ましてしまうこと自体に「情けなさ」を感じます。


身に覚えがある方へ

気分が良くないことなので、私はたまに検索・チェックしていますので。

自分の病院のホームページの文章くらい、ご自身で考えて書きましょうね。


11月3日 文化の日に


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9月に連休を頂きます。毎年です。

2016-08-18 00:20:24 | 獣医のつぶやき
唐突ですが、私は夏が苦手です。

冬生まれというのもあるかもしれませんが、とにかく苦手であまり楽しめません。

私はクーラーも苦手で、すぐに体調が優れなくなりますし、おなかの調子も
悪くなります。しかし、クーラーをつけずに生活することはもうこの時期不可能です。

暑さからも逃れられず、冷房でも調子悪くなる、逃げ場がありません。

今年は流石にこれだけ暑いと熱中症は気をつけられた飼い主さんが
多かったと思いますので、例年よりは発生は少ないようです。

今年は何故か、マムシに咬まれてしまったと思われるワンちゃんの
治療が多かったです・・・・・。


そろそろ蛇口をひねると少し冷たい、季節の移り変わりを感じる時期の
ハズなんですが、今年はまだぬるい水しか出て来ませんね。


そんな、個人的には楽しめない夏の時期、これまで当院は特に「お盆休み」
は設定しておりません。

そのかわりというと変かもしれませんが、毎年9月の連休はしっかり
お休みをいただくようにしています。

今年は、

9月
18日(日・休診日)
19日(月・祝・休診日) 
20日(火・臨時休診) 
21日(水・休診日) 
22日(木・祝・休診日)


の5日間をお休みさせて頂きます。実質1日だけ臨時休診となります。


当院は定休は日・水の週休2日ですが、基本的に私自身は何かしら
仕事はありますので、ちゃんとした休みであることはほとんどありません。
年末年始、5月なども同様です。

診療日が週休2日でも、実質ちゃんと休めるのは月に1日、あって2日
あるか無いかという程度です。もちろんお仕事させて頂けるのは
非常に嬉しいことですので、基本的に着実に仕事はしていこうと
思っているのですが、基本的に仕事が頭から離れることは年中ほとんどありません。

1年を通してその調子ですので、毎年時期的に設定しやすい9月の連休だけは
仕事から離れてしっかりお休みさせて頂こうと考えております。

夏が苦手なのもあって、8月が終わるころには毎年かなりバテて
参ってしまうのがちょっとした悩みです。


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猫。犬。の入れ物。

2016-01-25 19:30:01 | 獣医のつぶやき
仕事していて毎日感じることなのですが、

当院は基本的にワンちゃんと猫さんのみがご来院しますので、
その2種の動物を考えると、診療に関して、

「入れ物」
の要素ってけっこう重要だなあと思うのです。

自分が考えてる結論から言いますと、

「犬は横が開く型。猫は上が開く型。」

が適していると思います。

ごくごく一般的な、普通に売られているキャリーですが、
特に猫が重要で・・・・・私が思うに、猫は上が開く型が
適しているようにデザインされた動物ではないかと思うくらいです。



「猫 キャリー」で画像検索するといろいろ出てくるのですが、
自分はこんな感じの、上がパカッと開く形が良いのではと思います。

猫は、体の関節や形状が「収納してしまう」デザインです。
いわゆる「猫座り」などもそうですし、前足、後足、収納されて
しまいます。

さらに、猫は比較的「横が見えないほうが緊張しない」生き物の
ようで、横開きのキャリーに入れると奥へ入って出てこない、
出すのに苦労することはよくあります。

その点、上開きに入れてしまえば、緊張しやすい子でも比較的
落ち着いて診療が行うことが出来ます。



このタイプの入れ物は、ワンちゃんには適していると思います。
もちろん、あまり緊張しないタイプの猫ちゃんでも使用可能ですが、
扉から出そうとしても奥に隠れて出せない場合、

「横のボタンをはずして上を開ける」

ことが多いです。

ワンちゃんは、このタイプのケースを床に置いたらそのまま
出てきてくれることが多いように感じます。


ですので、すでにキャリーをお持ちの飼い主さんはわざわざ
買い直すまではしなくてよいと思いますが、これから入れ物を
ご購入される、

特に猫ちゃんの飼い主さんは、


どこかに猫を運ぶ時は、

「猫を大きな洗濯ネットに入れる」

「上開きタイプのキャリーに入れる」


これでバッチリですので、ご検討、ご参考の一助になれれば幸いです。


ワンちゃんは、猫と比較して、それほど入れ物によっての差が無い
と思いますので、骨格・体格に適したものであれば良いと思います。


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ブログの難しさ

2015-11-10 02:15:44 | 獣医のつぶやき
開業当初は、時間もあって、いろいろと自分から発信することも多く
記事も頻繁に書いていたのですが、途中から、ブログにて書いたこと
の影響というか、自分がまだお会いしたことが無い人にも記事を
お読みいただき有難い限りの反面、

自分が意図しないようなご理解のされ方をしていた、なんてことも
あったりで、ブログをどのように活用するのが良いのか迷いが
生じてから、結局は「顔を見てお話しする」ことに優るものはない
と感じ、基本的に「見て、診て、お話して」というベストの選択を
最優先に考えるようになりました。

しかし、事務的なことだけ書いていると、それならホームページで
問題ない内容ですし、ここをどうしようか結構長い間迷っています。

病院も7年弱経過しました。

もう「新しい病院」という感じでもなくなってきてるでしょうし、
ある程度、高知にこういった病院もある、と認知されて頂いている
ようにも感じます。

自分から、ネット上に積極的に何かを発信していきたいというよりも、
あくまで「日常の診察・ペットさん・飼い主さんの治療の一助」に
なるようにつなげていくことが目的ですので、当ブログはその役目は
終えたようにも思います。

自分の病院をどのような方針・方向性でやっていくかを考える際、
診療技術で自分が一番大切に考えているのは「視診・聴診・触診」などと
いった五感による身体検査です。

また、理論を最優先するのではなく、理論はあくまで「使うもの」であって
それにより、飼い主さんとペットの関係性を良好にしていけるような
仕事をすることが目的ですので、ブログを書きすぎることによって逆に
診察時にお話ししてお伝えすることがベストのことが、そうでなく
なってしまうという矛盾も生じたこともありました。

(自分がお話したことが、あ、ブログで見ました、と言われてしまうと、
診察時に口頭で初めてお話しするより内容が伝わりにくいこともあるのです)

なので、このブログを今後積極的に活用していくかどうかは
まだ決めていませんが、自分が現在思うのは、ネットでのやりとり
はゼロではなく場合によりマイナスになりえるし、やはり生き物を
ちゃんと診察して、飼い主さんにお話ししてお伝えする以外の
方法は存在しないな、ということです。

その考えは電話でも同じです。
まだ来られたことも無い方が、症状がこうこうで、何が考えられるか、
どんな治療するのか、と当院に電話されることもしばしばありますが、
自分がお答えすることはまずありません。そんな無責任なこと
できませんし、そういうならばまずお連れ頂いて実際診察させて頂く
べき、と思うことばかりです。

お連れ頂けますか?とお伝えしても、診察にお連れ頂く意思が無い
飼い主さんに、自分は一体何をお答えすればいいんだろう?
そういう電話、何を答えても、全く意味が無いんです。

自分は、なるべくできるだけ「診療・仕事のことだけ集中して考えたい」
ので、本質的な仕事のこと以外はできるだけ考えなくて済むように、
飼い主さんへのご協力もお願いしてきました。

当院に長くかかられている飼い主さんは、非常に理解して頂いている
と感じ、本当にありがたいです。

動物の診療をするにあたって、飼い主さん、ご家族、獣医師、スタッフ、
そういった要素が互いに「協力体制」じゃないと、現実的になかなか
うまくいかないんですよね。

長くなりましたが、このブログは、今後も「たまに」本音を書く場所に、
するかどうかはまだ決めていませんが、アクセス数もだいぶ減りましたし、
また、たまに書こうかなと思ってますので、よろしくお願いします。



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