高知 きたむら動物病院blog

四国高知にて2009年1月に開院いたしました動物病院のブログです。

よりよい診療のために

2021-12-11 19:52:48 | 獣医のつぶやき
当院は獣医師は私1人、動物看護師5人の動物病院です。

円滑で適切な診療のためには、動物と飼い主さん、動物医療従事者の3者がちょうどよい関係であることが重要です。

獣医師は私しかおりません。

私の力量を越える内容の仕事は、それが可能な病院をご紹介しますし、どうすることが最も適切かを自分なりに随時判断しながら仕事しています。

自分は精神的にタフなほうではありません。

私が最善と思う診療させていただくには、飼い主さんとの信頼関係ができていることが前提です。

心理的プレッシャーを与えてこられる人には、安心して仕事ができないので、良い仕事が提供できるとは思えません。

動物の診療は、人間の医療に比べても不確定要素も多く、事前に予測することが困難なこともたくさんあります。

それでもなんとか仕事をしないといけないので、不確定要素が多いなか、できるだけ頭をひねって最善はどれかを考えています。

治療が奏功するかどうか、それはやってみないとわからない病気もあります。医療は結果を前提とできる仕事ではありません。

ですが、「最善を考えて尽力する」ことだけは保証できます。私とスタッフができ得るできるだけのことをする、そこを良いと感じていただける飼い主さんは、我々も安心できますし、張り切って仕事できます。

当院は高度な手術や内視鏡などできる病院でもないですし、いろんな面で利便性がある病院でもありません。むしろできることに限りもあるので不便をお掛けすることもあります。

よりよい診療のために、我々が適切に仕事ができるよう、飼い主さんにもご協力頂けると幸いです。心理的に不安定な状況は避けたいものです。

実際は、ほとんどの飼い主さんは信頼関係が形成され、心理的に不安定要素もなく円滑に仕事させて頂いてます。

もし、私と波長や相性が合わないとお感じになられる方がおられましたら、ご遠慮なく波長や相性が合う動物病院さんをお探しください。そのほうが、飼い主さんのためにも、動物のためにも望ましいことであります。




高知 きたむら動物病院
犬と猫の一般診療・内科・皮膚科・内分泌・理学療法
高知県高知市北川添24-27 088-880-5123
休診日 水曜日 日曜日 祝日
受付時間 
月・火・木・金・土
9:00-12:00 14:30-17:45
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「僕の死に方」という本。

2018-03-22 23:29:50 | 獣医のつぶやき
仕事柄、生老病死についてよく考えます。

診療科にもよると思いますが、動物病院は、ヒトのお医者さんよりも、
死に直面しないといけないことが多いかもしれません。

医師や看護師は、診療科によってホント全然違うと思うんですが、
我々は最初から10年15年という時間の後、見送ることを前提として
考えるのは共通認識かもしれません。

5年くらい前に、流通ジャーナリスト金子哲雄氏の遺作「僕の死に方」
を読み、最近、また読み直しました。

金子氏は41歳で、珍しい肺の腫瘍で亡くなったんですが、その直前
まで仕事して、それがそのまま本になりました。



いまちょうど、自分が41歳。
金子氏が亡くなったのが、今の自分の時期。
無念を考えるとやりきれない気持ちにもなります。

日常の生活に気を配っていれば、ならずに防げる病気も
たくさんあるんですが、

どんなに気をつけようとも「不運」としか言いようがない、
原因も無く突然やってくるような病気もあるし、事故もあります。
命は有限であり、有限だからこそ有り難い。

いつどうなるかなんてのは、ホントにわからない。

人生一寸先は闇であるけど、それを恐れて生きていくのも
あまり前向きではなく。

自分が40代になって明らかに変わったことは、30代の頃は
無かった、日常で「死」を感覚的に「あり得る」と感じるようになりました。

命を扱う仕事してるのでというのは大きいのですが、年齢的にもう
これから「中盤以降」になるからというのはさらに大きい。

しかし、日常で「死」を意識することは、前向きに生きることに直結します。

自分は子供が3歳前なので、少なくとも子が自分で生きて
いけるようになるまでは生きてしっかり仕事しないと、という気も
していますが、それと同時に、いつどうなっても、後悔のないように、
家族や友達との時間は大切にしたいとも思います。


この仕事してると、治療の対象は先に行く動物で、
仕事の対象は動物と人間(飼い主さん)で、
とにかく「時間の感覚」が大切になります。

動物にとっても、「1日」の長さは同じはずなんですが、人間の
何倍もの速度で生きてるということで、まさに生老病死が駆け足で。

治療でなんとかできるものも多々あり、

どうにもならないことも多々あり、

付き合っていく病気も多々あり、

それらは人間の医療も変わらないと思うんですが、
動物の仕事をしてると、長いけど速いので、時間が有限であることを
嫌でも自覚させられます。

仕事は、何するにしても最短コースでやらないといけないな、
と自分は思うようになってもう何年も経ちます。

仕事に限らずですが、自分が提供できることで他人に何かしら
価値を発生できるならば、それほど自分にとっても価値があることって
なかなかありません。

自分とうちのスタッフで、仕事することで、何かしらよかっただとか、
何かしらお役に立てたのであればいいなと思います。


自分は基本的には仕事中は、

「ひたすらその時ベストと思うことをする」

しか考えておりません。

自分がベストと思うことが、飼い主さんにも伝わっていればいいですし、
やはり仕事してるとそうでない場合もありますし、人と人との折り合い
ですので、たまにはお伝えすることが本当に難しいこともあるんですが・・・

自分はとにかく仕事の対象が駆け足の生老病死の生き物なので、
できるだけその時そのタイミングでの最善の判断で仕事するようにしています。

凡庸な言い方かもしれませんが、生老病死を意識しながら、時間を大切に、
御縁を大切に、いつどうなるか先はわからないかもしれないので、
なるようにしかならないので、その時その時自分ができるベストを行い
我々もですが、飼い主さんにとっても、後悔の無いように仕事したいものです。


自分はいろいろな本を読むというよりは、同じ本を繰り返し
読むことが多いんですが・・・

流通ジャーナリスト金子哲雄氏が、まさか自分に結構影響を
与えることになるとは当時TV見てて思いもよりませんでした。

でも、この本は、5年前も、最近読み返しても、金子氏の人柄が
手に取るように伝わる、温かい本だと思います。

高知 きたむら動物病院
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本年もありがとうございました。

2017-12-29 18:28:40 | 獣医のつぶやき
本日午前にて、当院の本年の診療は終了いたしました。

例年通り、30日から1月4日まで、休診いたします。

今年も、獣医ひとり看護師5人の規模の動物病院にしては
多くの仕事をさせて頂きました。

いろいろと至らぬ点もあったかと思いますが、当院なりに
出来る精いっぱいで仕事させて頂きました。

看護師がひとり産休になり、新人がひとり入り、良いタイミング
で連携していました。当院では初めての産休取得となり、
こういったことをサポートできる体制を整備できたことを
喜ばしく思います。

仕事の内容では、やはり生き物が相手ですので、なんとか
うまくいけることもあれば、そうでないこともあり、また、

重病でということでもなかったあのワンちゃんは、
何故急に亡くならなければならなかったのだろう、
精いっぱいのことは行ったものの、なんとか助ける手段は
なかったんだろうか。

と未だに思いつづける出来事もありました。

あまり悩まず、できるだけ的確に仕事を行うことをモットー
としていますが、ふと考え始めると、やはり深く長く思慮する
ことは多々ありますので、常日頃はできるだけ冷静に、
平常心で・・・とは思うものの、やはり人間なので、完全には
できるものでもありません。

すべての経験は、それを今後の糧とするしかありませんし、
これまで仕事させていただいたことからつなげられるのは
自分でしかできません。

当院は、来年で10年目、もう新しい病院ということでもありません。

自分ができる、特色ある仕事、できるだけの仕事を今後も継続し、
これまでの経験を生かしながら来年もやっていきたいと思います。

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季節の変わり目

2017-10-06 00:36:34 | 獣医のつぶやき
ついこの間まで熱中症が、と言ってたような気がしますが
もう肌寒くなってきました。
先週から、珍しくすこし風邪をひいてしまいました。

「季節の変わり目」のあるあるかもしれません。
ワンちゃん猫さんも、季節の変わり目は「自律神経の乱れ」など
の影響が考えられ、体調を崩す子がいます。


当院は、定休のほか、稀に予定した臨時休診を頂くことは
ありますが、2009年1月に開業して以来、私の体調不良や病気、
怪我などで休んだことは1度もありません。

32歳で開業したので、まだ元気はつらつ時代でした。
開業していろいろあって元気が落ちた時期もあったんですが、
まあそれでもなんとか今までめげずに続けられています。
今年でもう41なります。それなりに元気をキープするように
はしていますが・・・・。

「日本人の平均年齢」という統計があり、2015年では
推定46歳だそうです。
そう考えると、41でもまだ若手感があるかもしれませんね。

私の横須賀のお師匠は60台前半、藤沢の大師匠は90歳を
超えておりますので、自分の感覚としてはまだひよっこ感が
ありますが、獣医になってもう15年目、開業して9年目で、
ひよっことは言っていられないかもしれませんが、初心は
忘れないようにしたいものです。

さて、10月は9日(月)が祝日でお休みです。
その他は予定通りです。

動物病院の仕事は、子犬・子猫の時代から、老犬・老猫まで
トータルに「見守り」、最後の「見送る」時間まで、お付き合い
する仕事です。

人間のお医者さんや歯医者さんなどでは、「診療科目」によって
「見送る」までのお付き合いは存在しませんし、同じ人間相手
ですと寿命も同じです。それはそれで、我々には想像のつかない
大変さがあることでしょう。

犬や猫は、我々の後から生まれて先に行きます。
我々が成長したり老いたりしてる間に抜かれてしまいます。

ですので、その動物を見た最初から、私は最後まで「見送る」
お手伝いをすることが仕事の本質であると考えていますし、
その中で、動物に発生している、治療で取り除ける苦痛は取り除く、
緩和できる症状は緩和する、完治が目標でない病気は、
できるだけ上手にお付き合いする、そういうことに重点を置いています。

我々の考える、動物を大切に扱うことが、飼い主さんにとっても
お互い理解できる内容であることが、一番大切で、我々の考える
方法と、飼い主さんが思い描いている方法が食い違っていたり、
絵に描いた餅であったりするミスマッチが生じると、仕事として
うまくいかないですし、時と場合により、当院ではないどこかのほうが
飼い主さんが満足することもあるでしょう。実際、そういった話を
することもあります。

ですが、当院の考え方に触れて、その後も継続して御来院して
頂いている多くの飼い主さんは、動物を介して「どうしましょうか」
「こうしましょうか」「これはこういきましょうか」というような話を
しながら、「見送る」までの時間を共有できることが、実は何より
価値があるものだったりします。

当院がこういう考えに至ったのは、私が基本的に「内科、慢性疾患」
の勉強や治療を好んでやってきたので、独立開業して長くやっていると
どうしても日々の仕事はそういった分野のほうが多くなってくるのは
自然なことかもしれません。

犬や猫の内科、慢性疾患の仕事を今後もできるだけ息が長く続ける
ためには・・・自分が慢性疾患にならないようにするのが一番大事かも
しれません・・・40代、早いと身体にガタが来るお年頃、今後も
コンスタントに仕事が続けられるように、気をつけたいものです。


高知 きたむら動物病院
高知県高知市北川添24-27
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受付時間 
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いいかげんと、好い加減。

2017-06-11 23:26:21 | 獣医のつぶやき
久々に、長々と書きました。

私が勤務医として3年間お世話になった横須賀の動物病院の
院長がよく言っていた言葉に、

「いいかげんは、好い加減。」

というものがありました。

当時お世話になった院長は、人としてとても尊敬に値する人で、
誠実さとユーモアと度量を兼ね備えた「親分肌」でした。

自分は実はそれまで、いくつかの動物病院を転々としていて、
獣医としてはかなり中途半端な状態で3年弱ほど過ぎていました。
その時点では、「どこいっても通用しない」「人間関係でうまくいかない」
というような、かなり生き方が下手くそな状況でした。

東京にて勤務していた時代、いわゆる「高度医療」と言われる
病院にも勤めたのですが、自分も未熟でご迷惑をおかけしたものですが、
病院内でのストレスもかなりきつく、また、「理論武装のための勉強」
をしないとやっていけないような状況でした。

横須賀の病院に勤務し始めたのが2004年の末。その当時は、
自分なりに仕事の勉強はかなりしていたのですが、とにかく
「突っ込まれるのが怖い」という仕事恐怖症みたいな状態で、
理論武装して獣医療上「正しい」治療をしないといけない、
というようなことに憑りつかれていました。

しかし、横須賀での3年間。
最初は自分は「ビクビクしながら仕事していた」ような不安定な
状態だったのが、当時の院長のおかげで、ちゃんと仕事ができる
ようにして頂きました。

当時の院長からも、
「北村は自分で勝手に勉強するから、ここでは 人 を学びなさい。」

というようなことを言われました。

いいかげん という言葉は、通常の会話ではたいてい悪い意味です。
適当だとか、無責任だとか、中途半端だとか、怠惰というような表現に
なりますが、当時の院長は、「好い加減」が必要で、ちょうどいいんだ、と。

それまで、「正しい治療」ということしか学ぶ機会が無く、正しいというのは
即ち「動物を治すための治療」という一面しか見てこなかったのです。

では「正しい」とはなんだろう?何を以って「正しい」のだろう?

それまでの自分が学んできたことがガラガラと1回全部崩れました。


でも、そのおかげで、自分がもともと本来やりたかった仕事に戻れました。

動物病院の仕事って何だろう、「動物の病気を治す」それは確かに
そうなんです。ですが、実はそれは仕事の「手段」です。

どのような治療を行うのが正しいのかは、病気の治療法が確立している
ものに関しては、あまり選択の余地もなく、「正しい」治療をしていって
解決に向かいます。
最短コースで治癒に向かうことが出来る場合は最短コースで。

しかし、そればかりではないんですよね。
日々の仕事の少なくない割合は、

「何が正しいかは相手(飼い主さん)と自分の会話、話し合いによる。」

ここで、「好い加減」が大事になってくるのですね。


開院9年目となった、新しいというわけでもなくなった当院では、
日々、「好い加減」でその時必要な仕事ができているように
なっていると実感しています。

「好い加減」で仕事ができるようにするためには、飼い主さんとの
会話や意思疎通、コミュニケーションが最も大切です。


「正しい」動物医療というものどういうものか。

治療方針が。治療方法が。治療の確率が。

本に載ってることも勉強も大切ですが、それらはあくまで
「いい仕事ができるようになるための手段」であって、

人間より先に命が有限である犬や猫の仕事をする
我々の仕事の本来の目的はやっぱり、

最後まで、「飼っててよかった。」

というところを飼い主さんが実感できたら、我々も甲斐があったのかな、
と感じると思います。

そういう意味では、犬や猫の「治療」だけに主眼を置いてるわけ
ではなく、必要な治療はできるだけキッチリと、でも、「好い加減」
も大切、というような、「ゆるバリ」がいいのかな、と思います。

横須賀の病院で3年間勤務していなかったら、たぶん今でも

「獣医療上、正しい治療」

に固執した仕事をしていたかもしれませんね。

つらつらと書きましたが、9年目の当院、できることは最大限。
できるだけ飼い主さんと「明るい」仕事をこれまでも、これからも
して言いたい所存ということで。

「正しい」も大事ですが・・・日々仕事してて、仕事は仕事でしながらも、
「明るい」とか「楽しい」とか・・・まあもっとも大切なのは「良かった」
じゃないかなあ、なんていう、気持ちの面は、とても大切ですね。

昔はいろいろと仕事のトラブルや問題、悩みも本当にたくさん
あったんですが、現在ではほとんどの飼い主さんは良好な
コミュニケーションを以って仕事させて頂いていると我々は感じています。

逆に言うと、良好なコミュニケーションが取れない方は、自然と
当院とはご縁が無くなったのかもしれません。

今後も、好い加減で、好いコミュニケーションで、日々仕事させて
頂けたら、我々スタッフ全員もそれ以上有難いことはありません。

診療方針 きたむら動物病院web

高知 きたむら動物病院
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