会員メールマガジン【11月の「長寿幸せ企業」に近づくおすすめ書籍】から
さて、11月の1冊は脳のスペシャリスト池谷裕二の「海馬」です。過去に「記憶力を強くする」「進化しすぎた脳」「怖いくらい通じるカタカナ英語の法則」「脳には妙なクセがある」などをご紹介させていただいたので彼の作品をお読みになられた方もおられると思います。「海馬」は天才コピーライターの糸井重里(彼の作品はこちらから)との対談で難しい話題もストンと落ちてきます。
サブタイトルの通り、疲れているのは目や身体であって「脳は疲れない」し、脳は刺激が与えられないと逆に幻覚や幻聴さえ置きてしまう。逆に、考えることを中断すると忘れてしまうが、他のことをしながら考え続けると必ず答えを出すことが出来るようになっているそうです。私を含めみなさんもまだまだ脳を使いすぎてはないようです。
脳の機能は「情報を保存する」ことと「情報を処理すること」の二つだけで、記憶には単なる知識の暗記「意味記憶」と自分自身で試した方法や筋道の暗記「方法記憶」があるそうです。脳に「保存する」こと、記憶するということは「可塑性」、つまり「弾力性」の反対で脳は変化した状態をそのままの状態にしておくそうです。その可塑性の結果、特に「方法記憶」は三十代すぎから急激に
(べき乗則で)働きが良くなるのです。井上流に言えば、「意味記憶」は「単なる知識」、「方法記憶」は単なる知識が行動することによって得た「知恵」です。
(べき乗則で)働きが良くなるのです。井上流に言えば、「意味記憶」は「単なる知識」、「方法記憶」は単なる知識が行動することによって得た「知恵」です。
私の座右の銘である佐藤一斎の「少にして学べば・・」や論語でもっとも好きな章句の一つ「性相近也、習相遠也」のとおり、学生時代に秀才と言われている人とでも、生まれつきの差は大したことはありません。その後の人生で、学び続け、行動を続け、習慣にすれば人生は大きく違ってきます。
「やる気」と「継続」についても面白い記述があります。海馬のすぐ上の方に「やる気」を生み出す「側坐核(そくざかく)」という場所があるそうですが、ここの神経細胞は刺激を受けないと働かないそうです。ではどうすればいいのかというと「ともかく手を付けてやり始める」と「作業興奮」と言って脳が活動しはじめてやる気モードになっている仕組みのようです。
「やり始める前には、やる気が無いのは当たり前」
というのを知って、少し安心しました。
「継続」は「やる気」が続けば出てきますが、「ともかく手を付ける」ポイントは脳に「達成感」を味合わせることです。
そのためには、戦略構想の基本ワード「着眼大局、着手小局」つまり、「物事を大きな視点から見て、小さなことから実践する」ことです。耳タコくらい私からお聞きの『長寿幸せ企業』経営の基本の基の話です。
「使命(ミッション)」や行動規範などの「経営理念(フィロソフィー)」→「「目的地(ビジョン)」→「経営目標(ターゲット)」→長期経営戦略→中期経営戦略→短期経営戦略→【長寿幸せ企業PDCA事業計画書】→月次計画という流れでマイルストーンとした小局を超えていけば、「やる気」の「継続」もそう肩肘張らずとも出来るのです。「目標は小刻みに」です。ある時、気がついて少し後ろを振り向けば「道」が出来ています。
人間も天地自然の理によって生かされています。その理に従えば、脳も身体も事業も人生もうまくいくように思えます。