今回は先日購入した鉄道書を紹介します。
交通表象第6号・交通人文前衛社です
2020年1月発行・1100円。A5版100ページ
残念ながら書店流通に乗っていない自費出版(同人誌)的形態なので販売書店も限られているようですが、私は新宿御苑の「模索社」という書店で19年12月末に買いました。
この本では特集「架空鉄道と創作理論」として、創作上の鉄道、いわゆる架空鉄道の特集となっています。全体的に「架空鉄道とは?」というよりも架空鉄道という概念は知ってる上で、実際に創作する上でのヒントやテクニックの参考になるのような記事が主体です。
以前から架空鉄道は色々と考えていて、それで今回架空鉄道特集ということで本書を買ってみました。
市販の鉄道雑誌など「特集〇〇」!!と銘打っていても、特集記事のボリュームが少なく、特集目当てで手にとっても物足りず、せめてあと1記事、いやあと2ページぐらいは・・と思うこともよくありますが、この交通表象第6号はコラム記事が2つ以外は全て特集記事なのが嬉しいですね。(編集後記によれば今号から大幅に刷新して特集記事以外の記事を見合わせたそうです)
市販の鉄道雑誌など「特集〇〇」!!と銘打っていても、特集記事のボリュームが少なく、特集目当てで手にとっても物足りず、せめてあと1記事、いやあと2ページぐらいは・・と思うこともよくありますが、この交通表象第6号はコラム記事が2つ以外は全て特集記事なのが嬉しいですね。(編集後記によれば今号から大幅に刷新して特集記事以外の記事を見合わせたそうです)
本文は文芸誌のようで文字主体で適宜図表、写真が入っています。コラム的に4ページほどの漫画も・・。
私は元々鉄道の中ではダイヤや運用といういわゆる「運転」(drivingではなくplanningの方)に特に興味があるので、やはり架空鉄道を創作するとなればダイヤや運用を重点的に考えたいと思っています。そのツールとして以前に紹介した「シミュてつ」などは非常に有用かなと。
ここで私が今考えている架空鉄道「モリゾウ森林鉄道」は置いておいて「大和周辺エリアLRT」の話をしだすと「交通表象」から逸れてしまうので別の機会で・・
「P46~:ダイヤグラムから拡げる架空鉄道の世界」
「架空鉄道においてダイヤグラムというのは正直なくても困らないものである。」
と初っ端から堂々と書いてあるのを見るとオイオイ、「なくても困らない」とは何を言ってるんだ?と言いたくなりますが、架空鉄道を創作するに当たって現実に存在する鉄道(事業者)のすべての要素を再現するのはまず不可能。
言ってみればすべての要素が「正直なくても困らないもの」で、その上で自分の興味分野などから取捨選択して「取」の要素を集めていって作り上げるものが架空鉄道と言えるかもしれません。
もちろん時間をかけて沢山の要素を再現すれば、それだけ楽しいと思いますが、やはり人間が創作する以上限度はあると思うので。
「P79~:モハ63形電車の成長の発展」
国鉄モハ63形電車と言えば4ドアの戦時設計なものの後の101系以降の電車の先祖ともいえる通勤電車ですが、読み始めると「おや?」と気づきます。ここでは日中戦争が早々に講和し対米開戦がなかった世界線、壮大なSF世界がベースにあった上でのモハ63形電車のストーリーが書かれています。
架空鉄道の表現方法は様々ですが、架空鉄道が存在する世界から創作してしまおうという大胆さとその世界の中に存在する鉄道誌の一記事のような形態での表現は「新しい架空鉄道の表現手段」として特筆したいです。
巻末奥付に発行元、編集者の交通人文前衛社のwebサイト、などが掲載されています。入手方法などはWebサイト等での確認をお勧めします。
「交通表象」は交通から社会を考える文芸誌として今回の6号以前に既に1~5号が発行されているようです。Twitterの投稿では将来的には部数を増やし書店流通に載せる構想もあるようで、第3の鉄道誌というよりも交通誌として今後の発展に期待したいですね
余談ですが同人誌という概念を知らない人に説明するときになんといえば分かりやすいかなと迷います?「自費出版の一種だけど、編集、装丁、印刷の発注なども個人もしくはグループ内でやることが多く、即売会や書店委託などの販売(頒布)を意識しているもの」というところでしょうかね??
2020/2/12 3:32(JST)