児玉時計店 ブログ

時計・メガネ・宝飾・補聴器 取り扱っております。
古い時計の修理もご相談ください。

2本目の

2017-02-14 | タレックス
以前にも、TALEXモアイブラウンをお買い上げいただいたお客様。
2本目のモアイレンズ、今回はモアイグレーでご注文いただきました。

フレームは“マサキ マツシマ”。

加工機で加工します。

ナイロールフレームなので、溝加工も行います。

溝掘り用のカッターで、

溝もバッチリ!しっかりと入りました。

フレームにセットして、

完成!!

艶消しゴールドのフレームに、モアイグレーの組み合わせ。

マサキらしい造形とテンプルのほどよいバネ圧で、
カッコよく、掛けやすいメガネができました。

スプレー

2017-02-13 | 修理
缶スプレーのオイルは、ほとんどのご家庭にあると思います。
そして時計も調子が良くなるだろうと、
このオイルをスプレーしてしまう方がいらっしゃいます。
ところが、これはいけません。
時計は、時計用のオイルが適切な場所に適切な量、注油されて無いと具合が悪いのです。

こちらクォーツ式の大型の掛時計。
お預かりした時から、スプレー式オイル独特のにおいが・・・
お話を伺うと、良かれと思いスプレーしてしまったとのこと。
修理のため、文字板部分をケースから取り出します。

裏側のムーブメント。

そこかしこにオイル溜まりがあり、

木の部分はオイルの海。

機械からも滴っている状態でした。

粘度の低いスプレー式オイルは、入ってはいけないところまで入り込んでしまいます。
ここまで酷いと、この機械はあきらめて、ムーブメント交換します。

対応の新型ムーブメントに交換しました。

長尺時計用の、振り子がゆっくり動く機構は同様です。

DIYも盛んですが、精密機械ですので時計は時計のプロにお任せください。


頭丸     5/5

2017-02-11 | 修理
頭丸、最終編。

こちら数取りレバーの先端部。
時報の数を制御するのに重要なパーツです。
数取り車との接触部が摩耗して段になっていました。

引っかかりの原因になるので、平らに修正ます。
修正した分、歯車とのクリアランスも調整して組み込みました。


リン棒、こちらは渦巻状のウズボンタイプです。
錆びて真っ赤でしたので、

錆止め処理を行いました。


ビリビリだったペーパー。
このままだと後々細かい破片が、機械に入ってしまうので、

そっと剥がして、貼り直します。


組み上がったムーブメントを、ケースに取り付ます。


文字板も塗装が傷んで、剥がれ始まっていました。
アンティークの雰囲気を壊さないよう現状のまま、
剥がれがこれ以上進行しないような処理を行います。
枠の部分をマスキングして処理します。


針も錆が発生していましたので、塗装を剥いで錆を取り、

再塗装します。

それだけでなく、こちらの時計、元から分針の留栓が付いていませんでした。
今までグラグラのまま、お使いになっていたとのこと。

時計旋盤にて新規に削りだします。

削りだした留栓。

これでしっかりと分針が固定されました。


文字板も取り付いて、



完成!!


機械式の掛時計や置時計も何十年と使われたものは、ほとんどの部品に痛みが生じています。
傷んだ部品を修正することをせず、単に油をさすだけではオーバーホールにはなりません。
掛時計や置時計にも創業からの長年のノウハウで作業致しております。


頭丸     4/5

2017-02-10 | 修理
ゼンマイ編。

こちらの小片、ゼンマイ中心部の破片です。
ヒビが入った状態で、今まで辛うじて付いていた様子でした。

破損した中心部のアップ。ゼンマイの動力を伝える力のかかる個所です。

修正するために、中心部を引き出します。

破損部分を、切り取り、

新たに1番車との取り付け部分を再建します。

角を綺麗に成形し直し、

取付穴をあけます。

元の位置に戻して、

再建完了。

切り離した先端部分、長年ご苦労様でした。

次回いよいよ完成へ。

頭丸     3/5

2017-02-09 | 修理
軸受の修正。

こちら2番車のホゾ穴。
トルクのかかる部分なので、矢印の所が楕円に削れてしまっています。
ゼンマイの力がかかると、この削れた方向にホゾが動いてしまうので、
歯先の嚙み合いが適正ではなくなり、トルクの損失につながってしまいます。
経年変化でゼンマイもヘタっていますから、
限られたゼンマイの力を少しでも有効に使うため、軸受となるホゾ穴も修正します。

楕円になった穴を丸く修正し、適切なクリアランスに調整します。


1番車の入る軸受。
最も力のかかる部分なので、ブッシュが取り付けられています。

キズ汚れを取り仕上げます。


同じようにすべての軸受けを修正していきます。

また、1番車には、他の問題が・・・

歯が波打つように変形していました。
以前に分解された時にでも落下させられたのか、
通常使用ではあまり考えられない曲がり方です。

拡大。

別角度から。

この状態で、動いていたとは・・・

修正していきます。

ほぼ水平に戻りました。


つづく。