児玉時計店 ブログ

時計・メガネ・宝飾・補聴器 取り扱っております。
古い時計の修理もご相談ください。

天真交換 シチズン 10J     2/2

2019-04-20 | 修理
天真交換のつづき。

素材から切削し新規に天真を製作、

天真、天輪、振り座、ヒゲゼンマイと

テンプを構成する部品を組み立てて行きます。

ポンス台に製作した天真をセットし、

天輪を載せて、

タガネを使いカシメます。

天真と天輪がシッカリとかしまりました。

裏返してハブ側に

振り座を載せて、

タガネを使い取り付けます。

振り石も正しい方向になり、

振り座が適切な圧力で隙間なく収まりました。

振れ取り確認後、片重り見器にテンプを載せ

片重りの調整を行い重量バランスを整えます。

最後にヒゲゼンマイを取り付けて、

ヒゲゼンマイの変形を調整し

天真交換完了です。

天真交換 シチズン 10J     1/2

2019-04-19 | 修理
シチズン 10石 ポケットウォッチの天真交換作業。

まず問題のあるテンプをテンプ受けから外します。

次にヒゲゼンマイを取り外します。

裏返して振り座側、

本来、圧入で取り付けられるはずの振り座が、
ラックで留められていました。
振り石もアーム方向に向いてしまっています。

過去に天真を交換された際、
別作した天真が細く仕上がったしまったので、
仕方なくラックで留めたものと思われます。

振り座を外します。

外した振り座は内側にも、ラックが沢山付着していました。
天真自体の形状の問題もありますが、
ラックの厚みの為、振り座の上下位置が狂いアンクルと接触し、
作動に支障が生じていました。

ラックは除去しておきます。

ホゾ側も同様に取り除きます。

いよいよ天輪から天真を取り外していきます。

時計旋盤に天真を取り付けて、

天輪のアームは削らないように、

天真のカシメ部分のみを削り取ります。

旋盤から外しポンス台にて、

天輪を傷めないように、天真を抜き取ります。

天真が取り外されました。


つづく。

シチズン 10J ポケット     3/3

2019-04-18 | 修理
時・分・秒の各針はスチール製の為、
湿気によるサビが発生していました。

サビを取ると、一緒にブルーの焼き色も取れてしまうので、

サビを取り磨いた後、焼いてブルー処理します。

秒針も同じように焼いて処理。

三本ともきれいなブルースチールに仕上がりました。


仕上がった各針を、文字板と共に

ムーブメントに取り付け、

ケースに組み込みます。

サビのあった、角穴車、コハゼ、各ネジ、

緩急針など、ムーブメントも美観になりました。


キズで曇っていたプラ風防は、

ベゼルから外し、

ポリッシュ仕上げを行いましたので、

視認性も良好になりました。


シチズン 10石 ポケットウォッチ、

完成です。



シチズン 10J ポケット     2/3

2019-04-17 | 修理
シチズンポケットウォッチのつづきです。

二番車のホゾには、摩耗により段が付いていましたので

時計旋盤にて切削と研磨を行い、

ホゾの段付きと傷ををなくします。


四番車、

カナ部分にサビが発生していました。

磨き取り除きます。


巻真、

こちらも、サビを取り除きます。


ゼンマイがスリップしてしまう症状があったので、

香箱を分解し、

ゼンマイを取り出します。

全体にかなり縮んで、ストッパーとなる部分も、

張力に耐えられない様子。

厚みと長さから適合するゼンマイを探し出し、

香箱内に組み込みます。


仕上がった各部品を組み立てて行きます。


緩急針部分、

サビを取り除きポリッシュ仕上げ。


問題のあった天真は、純正部品の入手が不可能の為、

当店にて新規作成、天真交換を行いました。

ヒゲゼンマイの変形も修正し、テンプを取り付けます。

つづく。

シチズン 10J ポケット     1/3

2019-04-16 | 修理
オーバーホールでお預かりいたしました、

こちら、シチズンの10石ポケットウォッチ。

外観からもかなりの年季が感じられ、

風防は傷で曇ってしまっています。

石数は10石ですが、ヒゲゼンマイは
巻き上げヒゲが使われています。

緩急針が一杯に振り切っていました。

機械を取り出し、針と文字板を外します。

本来のネジと違うネジを無理やり取り付けたのか、

飛び出しているネジや、

傷・サビのあるネジが多数見受けられます。

テンプ周りは、ヒゲゼンマイの変形のみならず、
天真にも問題がありました。

各部品を分解していきます。


コハゼ部分、

サビを取り除きます。


角穴車にもサビが発生、取り除きます。


丸穴車は、クリアランスが適切ではなかったので

スムーズな巻き上げが出来るように、
時計旋盤を使用し、中心部分を切削加工します。

傷んだ各ネジを仕上げて行きます。
角穴ネジ。



機械止めネジ。



アンクル受けネジ。



各受けネジ。



つづく。