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吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
☆☆☆☆☆
茶倉譲二 続編第五話~その2
〈譲二〉
今日はなんだか、もうこれ以上デートを続ける気力が無くなってしまった。
だから、そろそろ帰ろうと百花ちゃんを誘った。
帰り道では、何となく黙りこんでしまう。
じいさんが倒れたと聞いた時にはそんなに実感はわかなかったけど、久しぶりに見たじいさんは痩せて小さくなっていた。
誂えた背広が少しブカブカに見えたな…。
それにしても、兄貴に『帰ってきて実家の仕事を手伝え』と言われた時には反発心しか起きなかったが、じいさんに『お前が決めたことになら反対せん。お前の好きなようにしろ』なんていわれたら…。
かえって、このままクロフネのマスターをしていていいんだろうか?と思えてしまう。
☆☆☆☆☆
デートから数日経った。
あれからずっとじいさんのことばかり考えてしまう。
注文のミスをしたり…。
慌てて皿を落として割ってしまったり…。
譲二「お客さんも引いたし、お昼にしよっか」
百花「今日は野菜カレーなんですね」
譲二「さっきオーダー間違えたせいでルーが余っちゃったから」
俺は苦笑いしながら言った。
こんな風に百花ちゃんと食事をしていてもうわの空だ。
悪いなと思いつつ、気持ちはこの前のじいさんとの会話や兄貴との思い出に飛んでしまう。
あの兄貴が俺を必死で実家に帰らそうとするのは、やはり老いたじいさんと関係があるんだろうか……。
それとも…もしかして、兄貴だけでは茶堂院グループの経営に不安があるのか……?
百花「譲二さん、ついてますよ」
百花ちゃんに口の端についたごはん粒をとってもらって、俺は慌てた。
譲二「ごめん…俺、子供みたいだな」
百花「大丈夫ですか? おじいさんと会ってから、なんだかぼんやりしてますけど…」
心配そうに俺を覗き込む百花ちゃんを見て反省した。
譲二「百花ちゃんにまで心配かけるなんて、ダメだな」
もっとしっかりしないと。
さっき思い浮かんだ考えにまた引き戻される。
今まで、実家のやり方に進んで従っていた優等生の兄貴には、反発心ばかりを持っていた。
だから、茶堂院グループのことは兄貴がやりたいようにすればいいじゃないか、と思っていた。
だけど、もしかして兄貴だけでは茶堂院グループの経営に不安があるのかもしれない。
何か…表面上はわからないところで、グループに問題が起きているとか…。
そう思ってみると、少し胸騒ぎがする。
その3へつづく