白雲のわきてながるる空見れば風のごとくに心は走る

白雲のわきてながるる空見れば風のごとくに心は走る　　　　揺之

ゆふぐれの野をさまよひて君が家のあかきともしび思ふさびしさ

ゆふぐれの野をさまよひて君が家のあかきともしび思ふさびしさ　　　　揺之

わたつみをわたる船をぞとほく見て去り行く君の心をおひぬ

わたつみをわたる船をぞとほく見て去り行く君の心をおひぬ　　　　揺之

すみれさく野原にひとり立ち尽くし風のかをりをすふ春の朝

すみれさく野原にひとり立ち尽くし風のかをりをすふ春の朝　　　　揺之

高空に心をすはれ坂道をのぼりゆく身の胸のうれしさ

高空に心をすはれ坂道をのぼりゆく身の胸のうれしさ　　　　揺之

野をゆきてとほき山並みあふぎては胸のうれひもうすれゆく春

野をゆきてとほき山並みあふぎては胸のうれひもうすれゆく春　　　　揺之

寂しさをもてあそびつつひとり野をゆけばとほきに鳥の声聞く

寂しさをもてあそびつつひとり野をゆけばとほきに鳥の声聞く　　　　揺之

清らなるみづの流れに手を染めて心の憂さをあらはむとする

清らなるみづの流れに手を染めて心の憂さをあらはむとする　　　　揺之

寂しさを風に溶かしてこの胸のうれひをすくふまひるまの空

寂しさを風に溶かしてこの胸のうれひをすくふまひるまの空　　　　揺之

雲わきて高きところにのぼりゆく熱き思ひに涙の出づる

雲わきて高きところにのぼりゆく熱き思ひに涙の出づる　　　　揺之