あふぎみる窓よりさせるひのひかりこてふのかげのしづかによぎる

あふぎみる窓よりさせるひのひかりこてふのかげのしづかによぎる　　　　揺之

あひたきとささやく声を空耳にききてまよひし風のゆふぐれ

あひたきとささやく声を空耳にききてまよひし風のゆふぐれ　　　　揺之

とほやまのむかふにしづむ月ありてふと急ぎゆくかへり道かな

とほやまのむかふにしづむ月ありてふと急ぎゆくかへり道かな　　　　揺之

君が屋をとふいひわけをさぐりつつまよふ小道に花をさがしき

君が屋をとふいひわけをさぐりつつまよふ小道に花をさがしき　　　　揺之

かしのみのひとりゆく道さみしくてたれをとはむと見る空の月

かしのみのひとりゆく道さみしくてたれをとはむと見る空の月　　　　揺之

秋は来て夜寒の風にひとりゐて星見る人の静かな吐息

秋は来て夜寒の風にひとりゐて星見る人の静かな吐息　　　　揺之

かへらむと夢に焦りき街中の見知らぬ人の流れにまよふ

かへらむと夢に焦りき街中の見知らぬ人の流れにまよふ　　　　揺之

あまのかはよこぎる空を浴むるほど見つつたふれしことくにの丘

あまのかはよこぎる空を浴むるほど見つつたふれしことくにの丘　　　　揺之

ふるさとのあをき山河をまぼろしと見てはたたずむゆふぐれの橋

ふるさとのあをき山河をまぼろしと見てはたたずむゆふぐれの橋　　　　揺之

うちおもふきのふのかろきことのはを悔いてかへらぬ心のおもり

うちおもふきのふのかろきことのはを悔いてかへらぬ心のおもり　　　　揺之