あへなくも落ちたる人のさまを見てまよひの春の罪をぞおもふ

あへなくも落ちたる人のさまを見てまよひの春の罪をぞおもふ　　　　揺之

秋寒の道の辺に立ちすたれゆく花の色をぞしばしをしみし

秋寒の道の辺に立ちすたれゆく花の色をぞしばしをしみし　　　　揺之

くれなゐのいろづくころに山まよひ君をしひむとしひのみひろふ

くれなゐのいろづくころに山まよひ君をしひむとしひのみひろふ　　　　揺之

過ぎ去りて見しとおもひしおもかげをおはむとはしてやむこころかな

過ぎ去りて見しとおもひしおもかげをおはむとはしてやむこころかな　　　　揺之

慰めを求むることを逃げとみて川辺に捨つる帰郷のこころ

慰めを求むることを逃げとみて川辺に捨つる帰郷のこころ　　　　揺之

櫓をさしてわがもとにこよ月の船ひとりさびしきゆふべなるかな

櫓をさしてわがもとにこよ月の船ひとりさびしきゆふべなるかな　　　　揺之

幽玄といふかごにかふ星ひとつ窓に下げつつ月夜をおもふ

幽玄といふかごにかふ星ひとつ窓に下げつつ月夜をおもふ　　　　揺之

たまかつまあはむちぎりをたのみつつひとりあふぎし星月夜かな

たまかつまあはむちぎりをたのみつつひとりあふぎし星月夜かな　　　　揺之

けふ咲きてあした散る身の花なればかたりおかましとはのちぎりを

けふ咲きてあした散る身の花なればかたりおかましとはのちぎりを　　　　揺之

つはものはおそれまよはぬものといひますぐにも割く凡庸の瓜

つはものはおそれまよはぬものといひますぐにも割く凡庸の瓜　　　　揺之