しほさゐをとほくききつつねぶる夜はきみのおもひの胸に寄せ来る

しほさゐをとほくききつつねぶる夜はきみのおもひの胸に寄せ来る　　　　揺之

草枕旅寝に星をながめつつ君見る夢を空にさぐりき

草枕旅寝に星をながめつつ君見る夢を空にさぐりき　　　　揺之

ゆふなぎのおきつしらたま声聞こえいはぬことこそよきすべとしれ

ゆふなぎのおきつしらたま声聞こえいはぬことこそよきすべとしれ　　　　揺之

ゆめといひきみとあふせをこひぬれば時雨降るかなわがみをぞしる

ゆめといひきみとあふせをこひぬれば時雨降るかなわがみをぞしる　　　　揺之

夏衣うすきなさけをうらみつつおはむこころのくるしかりけれ

夏衣うすきなさけをうらみつつおはむこころのくるしかりけれ　　　　揺之

鳴く鳥の声をたよりて君が屋のかどにつきぬとわれはいひけり

鳴く鳥の声をたよりて君が屋のかどにつきぬとわれはいひけり　　　　揺之

あはれしるものにもあれば鳥の音もひときはたかくこよといひけり

あはれしるものにもあれば鳥の音もひときはたかくこよといひけり　　　　揺之

夢ならで君にあふべき野を知らずうつつのはたのわれをせめにき

夢ならで君にあふべき野を知らずうつつのはたのわれをせめにき　　　　揺之

たはぶれて秋の夜寒をいひわけに君をこひつつ見る月夜かな

たはぶれて秋の夜寒をいひわけに君をこひつつ見る月夜かな　　　　揺之

こひこひてきみみる夢のまぼろしをかたき玉ともなすよしもがな

こひこひてきみみる夢のまぼろしをかたき玉ともなすよしもがな　　　　揺之