かきよせて君のかをりにゑひぬればいづるかたなき恋の闇かな

かきよせて君のかをりにゑひぬればいづるかたなき恋の闇かな　　　　揺之

ひかりふるまどべにたふれあはゆきのごとくとけゆくわがみかと見る

ひかりふるまどべにたふれあはゆきのごとくとけゆくわがみかと見る　　　　揺之

うつせがひみなきねがひを捨てつればきみおもふ身のかろくもならむ

うつせがひみなきねがひを捨てつればきみおもふ身のかろくもならむ　　　　揺之

沈黙のたまをこめつつわれを打つ拳銃のあり君の眼の中

沈黙のたまをこめつつわれを打つ拳銃のあり君の眼の中　　　　揺之

いはざりてはるかに見ゆるゆふ虹のつゆとおぼしきこの涙かな

いはざりてはるかに見ゆるゆふ虹のつゆとおぼしきこの涙かな　　　　揺之

ゆふぎりに失せし君をぞさぐり見てあが手のおひぬ風もつかめず

ゆふぎりに失せし君をぞさぐり見てあが手のおひぬ風もつかめず　　　　揺之

あはれこふちひさき虫のここちして野に君をおふまぼろしの朝

あはれこふちひさき虫のここちして野に君をおふまぼろしの朝　　　　揺之

あふれくるおもひのたけをうたひては春鳴く鳥にわらはれもする

あふれくるおもひのたけをうたひては春鳴く鳥にわらはれもする　　　　揺之

花野ゆきうれひのつゆをのみこみて見えざる君をおふわれを知る

花野ゆきうれひのつゆをのみこみて見えざる君をおふわれを知る　　　　揺之

あとたえて君ののこせし菊の香をまぜてあふりしひとり酒かな

あとたえて君ののこせし菊の香をまぜてあふりしひとり酒かな　　　　揺之