ねぬなはの苦しきわれのあやまちをいかにとかむや強情の壁

ねぬなはの苦しきわれのあやまちをいかにとかむや強情の壁　　　　揺之

むらきものこころのやみをとほく吹く風の声聞くかへりこよとぞ

むらきものこころのやみをとほく吹く風の声聞くかへりこよとぞ　　　　揺之

はづかしきこひといふものわれおちてとほきより見るそのひとの影

はづかしきこひといふものわれおちてとほきより見るそのひとの影　　　　揺之

こひわびてこの身とけよと日をあびてとけぬおもひのなみだにくるる

こひわびてこの身とけよと日をあびてとけぬおもひのなみだにくるる　　　　揺之

光さす窓によりては君思ふ胸にすき入るあたたかさかな

光さす窓によりては君思ふ胸にすき入るあたたかさかな　　　　揺之

のみこみていはざることがよきこととおもふをみなのゑまひのこはさ

のみこみていはざることがよきこととおもふをみなのゑまひのこはさ　　　　揺之

脱ぎ捨ててもはや浮世にあらざるといひつつたのむ我妻のひざ

脱ぎ捨ててもはや浮世にあらざるといひつつたのむ我妻のひざ　　　　揺之

世のことはすべてむなしとうたひつつけふもほしがる一杯の酒

世のことはすべてむなしとうたひつつけふもほしがる一杯の酒　　　　揺之

ことそへていらぬこととはいはれつついはずにをれぬその苦しさよ

ことそへていらぬこととはいはれつついはずにをれぬその苦しさよ　　　　揺之

えらさうにいへばなんとかなるものとおもふをとこのあさはかさかな

えらさうにいへばなんとかなるものとおもふをとこのあさはかさかな　　　　揺之