秋萩の花をめでつつ野をゆけばとほくに君がそでふるを見る

秋萩の花をめでつつ野をゆけばとほくに君がそでふるを見る　　　　揺之

しらぎくのしらでまよひしそのにはに見てし君をぞこふる秋かな

しらぎくのしらでまよひしそのにはに見てし君をぞこふる秋かな　　　　揺之

野に出でて秋のけはひをたづぬればかひなきこひのあはく消えゆく

野に出でて秋のけはひをたづぬればかひなきこひのあはく消えゆく　　　　揺之

月の出に君にあはむとちぎりして日の入るまへにはや野に出でぬ

月の出に君にあはむとちぎりして日の入るまへにはや野に出でぬ　　　　揺之

月影をきぬとよそひてひとりたちわれにこととふ君のたふとさ

月影をきぬとよそひてひとりたちわれにこととふ君のたふとさ　　　　揺之

君思ふ心を犬のやうに飼ひ日向のにはに遊ばせてみむ

君思ふ心を犬のやうに飼ひ日向のにはに遊ばせてみむ　　　　揺之

天つ日の光る大空身に浴びて清き白雲流るるを見る

天つ日の光る大空身に浴びて清き白雲流るるを見る　　　　揺之

ゆふぐれの木立の中にひとり立ち君をこひつつ笛を鳴らしき

ゆふぐれの木立の中にひとり立ち君をこひつつ笛を鳴らしき　　　　揺之

白雪の降る野に立ちて君を待ち凍る指をぞかむゆふべかな

白雪の降る野に立ちて君を待ち凍る指をぞかむゆふべかな　　　　揺之

秋風をたよりて君の窓をとひ寂しき身をぞうたへてもみむ

秋風をたよりて君の窓をとひ寂しき身をぞうたへてもみむ　　　　揺之