どうも、こんにちは。
このシリーズ、前回第7回から、実に久しぶりの再開になりますが。
京都市内に数あるカフェ、喫茶店の中でも。
「いろんな意味で最も‘京都らしい’」と、私が考える店のひとつを紹介します。
京都市のメインストリートとも言うべき四条通りから少し離れた、高瀬川沿いの道端に立つ歴史ある「フランソワ喫茶室」です。
京都の有名な繁華街のひとつ、四条河原町付近。
最寄りの交通機関は、阪急電車の「河原町」駅。
「出口1・木屋町南出入口」です。
京都市営バス「四条河原町」停留所も近いです。
京阪電車「祇園四条」駅から、四条大橋を渡って行けます。
そこから、高瀬川西岸沿いの西木屋町通りを南へ少し歩きます。
そこにフランソワ喫茶室はあります。
1934年(昭和9年)に立野正一(1908~1995年)という人が創業したという話ですから、結構歴史の古い喫茶店です。
1941年(昭和16年)、立野の友人の画家・高木四郎や京大留学生アレッサンドロ・ベンチヴェンニやの協力を得て、フランソア喫茶室をイタリアン・バロック風に改装しました。
なお、この2002年(平成14年)に、国の登録有形文化財に登録されているそうです。
この店の建物自体も、京都の寺社仏閣などと同じように、文化的・歴史的建造物としての価値もあるのです。
その意味でも「京都らしい」と思います。
中に入ります。
ステンドグラスや絵画なども飾られたサロン風の芸術的な感じの店内です。
ここのウェイトレスさんの制服。
まるで修道女を思わせる制服なので、私は密かにこの店を「修道女カフェ」とも呼んでいます。
ケーキセットを注文。
この店のコーヒーは、「レインフォレスト アライアンス (熱帯雨林同盟)」という環境保護団体の認定を受けたコーヒー豆を使用しているそうです。
この店がこういうこだわりを持つのは、社会主義者で社会運動家でもあった創業者・立野正一以来の伝統でしょうか。
もっとも私は、コーヒーが苦手な紅茶党なので、紅茶とケーキのセットにしましたが。
創業者の立野正一という人は、労働運動を指揮したり、反ファシズム新聞「土曜日」の発行を支援したり、有名なマルクス経済学者・河上肇の警護を務めたり、治安維持法で逮捕されたり、日本共産党の再建や日本中国文化交流協会、日ソ協会(現在の日本ユーラシア協会)の設立に関わったりなど。
まさに凄いというか、筋金入りの社会主義者・左翼活動家ですね(笑)。
そんな人物が、昭和9年にフランソワ喫茶室を開店したのも、当時軍国主義に傾倒し自由な言論が困難になっていく時代の流れに抗して、反戦や前衛的な文化・芸術を議論する場を提供する為だったとか。
そんな文化的雰囲気や、創業者の精神などに惹かれてか、芸術家・藤田嗣治や俳優・宇野重吉などの有名人を含む、多くの人たちが通ったそうです。
京都は非常に面白い土地で。
数多くの外国人が出入りし、外国の学問や文化なども華開く国際都市としての顔も持ちます。
また戦前の昔から、社会主義運動や自由主義運動や、そうした思想・学問が盛んな土地でもあり、中央権力対する反骨精神みたいなものが比較的強い土地柄でもあります。
そうした意味でもこのフランソワ喫茶室は「京都らしい」店であると思います。
以前から何回かカミングアウトしたことありますが。
私も学生時代は京都市内の大学に通って、そこで多くの留学生の知人・友人を作ったりとか。
さらに、学生左翼運動に首を突っ込んでいたりとか。これは「若気の至り」というのもあるんですけどね(苦笑)。
私の通っていた大学は、海外からの留学生の数が特に多いことで知られた上に、左翼学生運動も盛んというか、活動する学生が多いところでしたから。
この店に来て、そんな京都の街や店の歴史に思いを馳せながら、ついつい学生時代のことを思い出したりします(笑)。
話を戻します。
この店のメニューで私が特にお勧めなのが、以下のレアチーズケーキです。
何とも言えないような甘酸っぱさと、口に入れるととろけるような舌触りが良かったです。
これは絶品。
私が今まで食べたチーズケーキの中で最高だったうちのひとつだと言えます。
戦前回帰というか、急速な右傾化・内向き化が進む昨今の風潮において、創業者・立野が遺した「自由な言論の場を守る」という精神の持つ意義は高まっていると思います。
いや、こんな小難しい理屈とか、政治的な話とかは抜きにしても、ただ落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しむ場としても、お勧めです。
それでは今回はここまで。
また次回。
*スランソワ喫茶室のHP
http://www.francois1934.com/index.html
*「フランソワ喫茶室」へのアクセス・周辺地図はこちら。
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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中村芳二
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