小関順二公式ブログ

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西武の救世主になれる木村文紀

2011-07-14 22:36:45 | プロ野球観戦記
◇7月11日(月曜日)西武ドーム
西武対オリックス

 6回1死二塁の場面でオリックスの2番手、高宮和也が1ボール0ストライクから中島裕之に死球を与えると、両軍選手がグラウンド上で揉み合いになり、球場内が騒然とした空気に包まれた、と言えば「ああ、あの試合か」と思い出されると思う。
 1ボールになったところでオリックスベンチから投手コーチが来て、マウンド上の高宮に何ごとかアドバイスを与えた直後の死球。西武ベンチからすれば「何を助言したんだ」と言いたくもなる。ただ、負けが込んでなければ、この程度のことで大騒ぎになることもなかっただろう(7/10現在、西武は27勝34敗で最下位)。
 新人大石達也の(早大時代の)リリーフから先発転向、新人牧田和久の先発から抑え転向など、今の西武ベンチは地に足がついていない。

<西武>
◇原 拓也……姿勢が攻撃的。ヒーローインタビューで「(片岡易之が不調の)今がチャンスですから」と言い放つ。第4打席、初球から4球目まで内角を攻められるが、5球目の外寄りストレートを捉えると強烈な投手返し。このヒットを含めて4打数3安打。
◇平尾博嗣……6番一塁でスタメン出場。始動もステップも慎重かつ粘っこく、捕手寄りのミートポイントを実践。左方向に弾き返す長短打2本に目をみはる。
◇大島裕行……グリップを肩下に置き、上体をベース上にかぶせるような構えが、若松勉(元ヤクルト)によく似ている。平尾同様、打席内で急がなくなった。
◇木村文紀……9対1でリードした9回に4番手としてマウンドに上がり、ストレートが最速151キロを記録する。ヘッドアップと左肩上がりがあるが、それすらも長所に見えてしまうほどストレートの速さとキレが素晴らしかった。
<オリックス>
◇バルディリス……三塁線への痛烈なゴロをことごとく好捕。小谷野栄一(日本ハム)とゴールデングラブ賞を争うレベル。

 以上、この試合でよさが目についた選手を挙げた。とくに目をみはったのが木村だ。
 06年の西武(高校生ドラフト)1巡指名だから、田中将大(楽天)、前田健太(広島)、坂本勇人(巨人)、増渕竜義(ヤクルト)と同期になる。5年目でようやくプロの水に慣れた、と言ってしまえば簡単すぎる。技術的な試行錯誤があったのだと思う。
 課題は変化球のキレとコントロール。これを乗り越えれば「西武の抑え問題」は一挙に片がつく。ダルビッシュ有、涌井秀章、田中将大、成瀬善久たちパ・リーグの一線級と同列に語られる日がひょっとしたら来るかもしれない、そう思うほどこの日の木村のストレートには可能性を感じた。

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