◇3月21日(水曜日)午後になって寒風
センバツ大会/甲子園球場
三重6-5鳥取城北
三重は走るチームだ。有料サイト『BASEBALL FAN』中の『時は金なり』で次のようなことを書いた。
<三重で思い出されるのは10年センバツの全力疾走。初戦の今治西戦、全力疾走の目安となる「一塁到達4.3秒未満」を5人(9回)がクリアしているのだ。そのタイムクリアの内容が素晴らしい。この5人のうち4人(6回)が3秒台だったのだ。今センバツ出場校の中では、愛工大名電が屈指の脚力を備えていて、昨年11月26日の明治神宮大会、北照戦で8人(11回)がタイムクリアしているが、3秒台は1人しかいなかった(2人が三塁打)。三重の全力疾走がいかに徹底されたものであるかわかる>
この全力疾走イズムは今年のチームにも引き継がれている。全力疾走(俊足)の目安、「打者走者の一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」をクリアしたのは次の選手たちだ([ ]内の数字は打席数)。
石崎翔紀(中堅手・右投左打・171/66)[1]三塁打11.28秒[3]バント4.17秒
小川友也(右翼手・右投右打・177/73)[4]バント4.11秒
前川尚基(遊撃手・右投左打・178/65)[3]一ゴロ4.25秒
小田 駿(二塁手・右投左打・169/59)[4]二塁打7.87秒
1試合3人のタイムクリアを私は“走るチーム”の目安にしているので、今年の三重は十分その条件を満たしている。とくに石崎の三塁到達11.28秒は年間ベスト5に入るのは間違いない速さで、こういう選手が2番にいるのは対戦相手にはたまらなく嫌だろう。
エース三浦浩太郎(右投右打・172/80)に話を転じると、この日の最速は「147キロ」。これが誤作動かどうか判断するのは難しいが、速いことは間違いない。変化球は107キロ程度のチェンジアップのようなシュート回転して落ちる球があり、それ以外に120キロ台後半の横スライダーと130キロ台前半のカットボールのような速いスライダーがある。
専門誌には「スライダーが最大の武器」と紹介されているが、120キロ台後半のほうは変化が早く曲がりも大きいので、打者は比較的早くそれと察知することができる。また、このスライダーも含め、鳥取城北の右打者7人に対して外角一辺倒の配球を強いられたのも不安要素だ。
外角主体のピッチングになるのはフォローのとき体が一塁側に流れるため。「回転・ねじれ」につながる動きがないか始動時までさかのぼって検証して、あれば修正を加えてほしい。
鳥取城北では評判の本格派、西坂凌(右投右打・185/82)が8回裏にリリーフ登板し、打者1人に対して7球投げた。ストレートの最速は140キロ。昨年秋の明治神宮大会のときとくらべると腕の振りがスムーズになり、変化球の精度が格段に上がった。
98キロのスローカーブ、117キロ程度のチェンジアップをストレートと同じ腕の振りで投げることができ、コントロールも安定していた。先発の平田祥真(右投右打・176/74)がよかったので仕方ないが、できれば3イニングぐらい見たかった。
[註]敦賀気比対浦和学院は<ホームページ> http://kosekijunjihomepage.com/
大阪桐蔭対花巻東は<高校野球ドットコム>http://www.hb-nippon.com/report/788-hb-nippon-game2012/8755-20120321003