◇3月22日(木曜日)くもり寒い
センバツ大会/甲子園球場
健大高崎9-3天理
今年の健大高崎は強いと思っていた。昨年夏の選手権で注目した機動力野球が代替わりした新チームにも受け継がれ、秋の関東大会では文星芸大付、千葉英和を撃破し、4強に進出しているのだ。この機動力野球が天理戦にもさく裂した。
1回表に先頭の竹内司(中堅手・右投左打・178/70)が左前打で出塁するとすかさず二盗、これは得点に結びつかなかったが、2回表は先頭の内田遼汰(三塁手・右投右打・170/70)が左前打で出塁すると二盗して、6番打者の併殺崩れの間に1点奪うという具合に、序盤から相手ディフェンス陣を揺さぶりにかかる。
終わって見れば天理の0(盗塁死1)に対して、健大高崎の盗塁数は7個。まさに足でかき回して相手ディフェンス陣をクタクタにして、大量点をむしり取ったという得点経過だった。
この健大高崎の中で最も注目したのが竹内だ。この日の打撃成績5打数2安打だけではそのよさに迫れない。打者走者としての一塁到達スピードに目を向けてそのよさが初めて浮かび上がってくる。
第1打席の左前打のときの一塁到達が4.46秒。打球の強さ+振り抜いてからのスタートでこのタイムは相当な健脚と思っていただいていい。第3打席が一塁ゴロで4.15秒、第4打席が投手ゴロで4.15秒、第5打席が三塁へのバント安打で3.72秒と、まったく足を緩める気配がない。
足の速さだけではない。打つ形が非常にいいのも竹内の長所だ。秋の関東大会、文星芸大付戦では1回表、プレーボールのサイレンが鳴り響く中、初球を打ってライトポール直撃の先頭打者ホームランを放っている。そして、この日の第1打席がレフトへのクリーンヒット。捕手寄りのミートポイントで左右広角に強い打球を打てるというのが竹内の最大の長所である。スポーツマスコミはあまり大きく取り上げていないが、私は有力なドラフト候補だと思っている。
天理では前評判が高かった4番吉村昂祐(遊撃手・右投右打・188/82)が4打数2安打と気を吐いたように見えるが、私は感心しなかった。技術がどうこう言うより、体作りがまだ発展途上にあるという印象なのだ。ごく小さい始動で、余計な動きを排しているのは意識の高さを物語っているが、小さい動きでもトップ時の体の割れには力強さがほしい。吉村にはそれがない。
肩に担いだバットが、打ちに行くとき寝た状態で出ていくのもマイナス要素。やはり技術的にどうこうではなく、バットを振り込むことによって得られる力強さが足りない。遊撃守備を見ても、下半身と上半身に粘り強さが備わっていない。大学に進んでからの4年間でどういう練習をしていくのかで、吉村の野球人生は変わっていくと思う。
[註]神村学園対石巻工戦は<ホームページ> http://kosekijunjihomepage.com/
九州学院対女満別戦は<高校野球ドットコム>http://www.hb-nippon.com/report/788-hb-nippon-game2012/8755-20120321003