人を突然不幸のどん底に落とす交通事故。被害者は被害者遺族はもちろんのこと、加害者側もも死亡事故に繋がってしまったら未来は真っ暗闇。まるで何かを暗示しているかのように事故に遭った猫(ナナと命名)を拾った悟(福士蒼汰)は手厚く看病し、それから数年間、愛猫として幸せに暮らすようになる。
ロードムービーと銘打って公開された本作ではあるが、むしろ回想録としての部分がクローズアップされていた。悟の小学生時代。同級生の幸介(山本涼介)とともに捨て猫を拾って、結局は悟が飼うこととなり、“ハチ”と名付けた。そして修学旅行先の京都で両親の訃報により、とんぼ返りすることになった悟。もうここで涙腺決壊!ただ、その後は泣けませんでした。
そして、高校時代の友人夫妻が経営するペンションへと話が進み、茶畑でのバイト中にハチを預けてあった高松で死んだという連絡が入る。高校時代のエピソードはなかなか青春していてほっこりさせられる。姐御肌の広瀬アリスがいい。
「俺の最後の猫がナナでよかった」という宣伝文句がすでにネタバレ気味となっていて、回想録での交通事故死というキーワードとともに、映像は明るいが全体的に“死”をイメージさせる雰囲気が作られていたように思う。ただ、悟の病名は明かされてはいませんが、死を目前にしながらも明るく前向きに生きている姿には感動を覚えずにはいられない。判事をやっている法子叔母さん(竹内結子)とともに暮らしている悟。彼女だけには余命も知られているが、福岡に新居を構えるほど“死”を意識していないところもポジティブだ。自分がもし不治の病で臥せってしまったら?と考えると、猫よりも世話になった叔母さんに看取られたいと思うが・・・
コトリンゴの音楽は『この世界の片隅で』をも思い出してしまうくらい良かったです。また、京都よーじやのあぶらとり紙という伏線もありましたが、「京都みやげと言えば漬物か八つ橋だろ!」とか、金箔の裏打ち紙を利用したあぶらとり紙は金沢の方がメジャーじゃないかと、つい地元びいきの心が邪魔をしてしまいました。
★★★・・
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