台風が来ると仕事になんないっす(タクシードライバーの言葉)
前作のホームセンター店員から打って変わって、元CIAエージェントの敏腕エージェントのロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)も今作ではタクシードライバー。冒頭のトルコの列車内では一作目を思い起こさせる裏の仕事を見せてくれる。アメリカから元妻の娘を誘拐した男に制裁を加え、無事に娘を連れ帰す。報酬はナシ。事件もいきさつも人知れず解決するという、頼もしい男なのだ。
そんなマッコールが運転するテクニックを凝視していると、眠気も吹っ飛ぶくらいです。黒塗りの行灯無し(手を挙げて止めることができない)のタクシー。日本で言えばハイヤーといった感じで、無線で呼ばれるんじゃなくて、どこそこに客がいるという配車メッセージがナビ画面に流れてくる。Lyftというのが客層も様々であり、イラクに派兵される兵士、騒がしい子供たち、酒を断てない酔っ払い、試験に受かった話をする受験生だったりetc.そんな中でもヤク漬けにされた若い女性を自宅ではなく病院へ送り、悪い奴らを懲らしめたりする。クレジットカードが面倒なのも日本と同じだ(笑)。
そんな粋なエピソードと同時進行していた裏社会の殺人事件。マッコールは自分なりの正義感を持ってはいるものの、身近な人間たちしか救うことが出来ない。CIA時代の同僚スーザン(メリッサ・レオ)がベルギーで情報提供者が殺された事件を追っていたため何者かに殺されるという訃報が届くのだ。マックは夫のブライアン(ビル・プルマン)とともに遺品整理をして、スマホからSDカードを取り出してベルギーのホテルや警察のシステムに侵入したりと、コンピュータにも強いことを描いていました。
スーザンの仇をとるぞ!という意気込んで、やがて犯人が自分と同じCIAのイコライザー=仕事人だと判明した直後、マッコール自身が命を狙われることになった。まずはタクシーの乗客として殺し屋がやってるくる。タクシー強盗にこうやって対処すればいいのだな!というお手本みたいなシーン(無理です。そんなことできません)。その男を処分してケータイから暗号化された履歴を取り出したりと、ここでもCIA時代に培ったIT能力を発揮するのだ。そして元同僚のデイブ(ペドロ・パスカル)も犯人であることが判明する・・・
CIAの暗殺者は目的の本人しか殺さないのだろう。デイブとその家族には危害を加えないし、逆にイコライザー仲間も家族の前では何も手出しをしない。これがマフィア映画だったら、家族も近親者も皆殺しのハズだ。そうした暗黙の掟も説明はないが淡々と描かれている。一方でサブストーリーでもある美術学生マイルズ(アシュトン・サンダース)との関係も面白い。同じアパートに住むマイルズを壁の落書きを消す作業をきっかけに気にかけていたマックは悪の道に入ろうとするところをやめさせたり、さらに自分が留守の間にイコライザーたちに夜襲をかけられ、部屋にいたマイルズに対し、監視カメラや隠し扉を駆使して避難させるところがいい。近親者を狙わないはずなに卑怯だ!と思いきや、クライマックスでの決闘のために人質にとっていたのだ。
台風の中、マックの以前の住居が戦いの場となった。これは前作よりも舞台セットや撮影面で凄いと感じるほどパワーアップしていた。デイブが塔の上から監視し、他の3人はマック宅を中心に直接手を下そうとしている。静かながらも嵐の中でのシーンは圧巻。強すぎるデンゼルは安心して見ていられるものの、マイルズがいつ殺されるかとハラハラドキドキでした。
もう一つのサブストーリーはタクシーの顧客でもある老人施設に住むサムじいさん(オルソン・ビーン)の話。老人の妄想癖には付き合ってられない!(と、実際のタクシーでもよくある話だ)のだが、収容所で生き別れとなったマグダ姉さんの話やオークションにかけられた肖像画の話はどうでもいいとあまり真剣に見てなかったのですが、これが最後に泣けるシーンになってくる。もしかすると、このエピソードもマッコールの演出だったのか?
★★★★★
私、この作品のマッコールのいい所って、強い所ももちろんなんですけど、読書家であるという所がポイント高いんですよね。
強くて知的な男ってそりゃもう最強ではないでしょうか!?