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猿の惑星:復習

2017-10-10 21:38:31 | TV、DVD、ビデオ
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』

 製薬会社ジェネシス社の研究所でアルツハイマー治療の研究をしていたウィル・ロッドマン(ジェームズ・フランコ)はALZ112でチンパンジーの知能が驚異的に発達したことを発表するが、その妊娠中だったチンパンジーが暴れたために射殺され、その赤子を引き取ることになった・・・

 シーザー(アンディ・サーキス)と名付けられたチンパンジーはウィルによって家族同然に育てられ、母親のDNAの影響で驚異的な知能を示す。ウィルがアルツハイマー治療薬に熱心だったのは父親(ジョン・リスゴー)の病気を治すためだった。会社ではチンパンジーが暴れまわったためにプロジェクトは中止になったのだが、彼はこっそり試薬を持ち帰り、父親にこっそり投与した。それが驚くべき効果を発揮し、みるみるうちに健常人へと変化したのだ。しかし、3年後にはウィルスを使ったその薬の効果は薄れ、新たにALZ113を開発しようとした。父親を実験台にしてしまったことをボスに報告し、さらに強力な新薬の許可をもらったのだ。しかし、その薬は人間には免疫がなく、パンデミックとなりそうな予感をさせエンディングを迎える。

 シーザーはというと、獣医であるキャロライン(フリーダ・ピント)とウィルによって可愛がられていたが、父親のアルツハイマーが再発し、パイロットである隣人とトラブルになったとき、彼を襲ってしまったのだ。そのため霊長類保護施設の檻の中で屈辱と絶望の日々を過ごすことになるが、ここでは動物イジメ大好きな男にいつしか復讐をしようとする。ボス猿をもゴリラと仲良くなり服従させ、オランウータンのモーリスとも仲良くなる。
 
 ナイフを手に入れたシーザーはウィルの実家へと忍び込み、新薬を盗んで刑務所のような檻でその薬を散布する。手懐けた仲間とともに脱走し、やがて動物園や製薬会社も襲って、ゴールデン・ゲート・ブリッジの上で反乱を起こすのだった・・・

 オリジナルはかなり尊重されていてコーネリアなんて名前も登場するし、宇宙船イカルス号のニュースも散りばめられていた。なんといってもCGの見事さ、ストーリーはわかりきっているのでしょうがない。お隣のパイロットさんもいい迷惑だったろうけど、父ちゃんにまで暴力ふるっちゃだめだよな。

★★★★・


『猿の惑星:新世紀(ライジング)』

 猿たちが反乱を起こしてから10年。彼らは金門橋を渡った奥地にコミュニティを作っていた。人類は90%が死滅し、ライフラインが欠乏する中、電力源のためダムを調査したとき彼らに遭遇する。冒頭では猿たちが巨大グリズリーに遭遇し、シーザーの息子がピンチに!その迫力の映像にはかなりまいった。どんなCG技術を使ってるんだ?!と最初はそんなことばかり考えてしまった。

 コマーシャルの売り方は猿対人間の構図で、どちらを応援するか?などと単純な構えで見てしまいがちだが、とんでもない傑作であることが進むにつれてわかる。まずは最初の遭遇時に、片時も銃を手放せないダム技師が一匹の子ザルを撃ってしまう。しかしシーザーは即座に反撃するのではなく、あとから人間の居住区へ大挙押し寄せ「我らの家に来るな」と警告を発するだけであった。猿が人間の言葉を喋ることへ驚きを隠せない人間たち。しかも、動物的な攻撃を見せずに話し合いで解決しようとする知能の持ち主に敬意と畏怖を抱くのだった。

 そんな前哨戦にもかかわらず、電力源を確保したい人間たち。マルコム(ジェイソン・クラーク)を中心とする平和主義的なグループが交渉に赴く。しぶしぶ協力を承諾したシーザー。さらにテリトリーから早く出て行ってもらいたいためダムの修復を協力したりする。シーザーの人間への思いやりにいらだつ攻撃的なサブリーダー、コバ(トビー・ケベル)は捕らわれていた頃の人間への恨みもあり、探索に出かけた際に人間の武器庫を発見し、これを機に人間が戦争を始めようとしていることを吹聴する。そして、銃を奪ったコバは闇討ちのようにシーザーを撃ち、人間への仕返しとばかり仲間をシーザーの復讐と銘打ち戦闘準備するのだ。

 ここまででも猿をモチーフにしてあるが実は人間社会の戦争の始め方を的確に皮肉っているのだ。なぜ銃を持つのか?銃に対しては銃で対抗するのか?そして多くの戦争のきっかけは自作自演の暗殺事件などという構図を見事に描いていた。平和主義者の猿に好戦的な猿・・・一方の人間コミュニティはその逆。

 マルコムのシーザーへの期待。そしてシーザーも人間に世話になって信じる心を芽生えさせるという友情物語に泣けてくる。撃たれた瀕死のシーザーも人間によって救われたのだ。そしてシーザーの長男もコバに従ってはいたが、父が生きていたと知ると彼の手伝いをするように成長する。巨大な鉄塔に立て篭もった猿軍団だったが、地下では爆弾を仕掛けていたドレイファス(ゲイリー・オールドマン)一派。壮絶なクライマックスも迫力あるのだが、そこまで行く着くまでに泣けてきたので、結末を静かに待つだけとなった。瀕死のシーザーを運んでいたマルコムたちがシーザーの生家(前作、ウィルの家。彼も死んでしまったに違いない)へと隠れ、そこで懐かしいビデオを見つめるシーザーの姿・・・。

 銃社会への批判、戦争への批判、とにかく、これは猿と人間というドラマ以外に感じるところがてんこ盛りの作品だ。

★★★★★

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