ずっと戸田恵梨香だと思って観ていた仲里依紗
プロレスを題材にした映画といえば、海外では『レスラー』なんてのが記憶に新しいですが、邦画でも『力道山』、『お父さんのバックドロップ』、そして『ガチ☆ボーイ』という力作があった。偶然にも『ガチ☆ボーイ』には仲里依紗も出演している。感動したという点では上記の作品より落ちてしまうのは本物のプロレスラーが主演だったり、子役を中心に演技力不足だったりしたことが減点対象だったのかもしれません。そんな中でも棚橋弘至のゴキブリマスクは良かった。特にリングを這いずり回るシーン・・・
10年前には人気と実力を兼ね備えていた大村孝志(棚橋)だったが、左ひざの故障により一線を退き、今ではヒール(悪役レスラー)の“ゴキブリマスク”として観客からブーイングを浴びる日々を送っていた。9歳になる息子の祥太(寺田心)は父親の職業を知らずに育つが、ある時偶然にも父親がゴキブリマスクだと知ってしまいショックを受ける。クラスメートには本当のことを言えず、人気レスラーのドラゴンジョージ(オカダ・カズチカ)が父親だと嘘をついた。息子に正体が知れ、父親のカッコよさを見せようとした孝志は最強のレスラーを決める“Z-1クライマックス”に出場することになった。
職業に貴賤はないし、ヒールだってプロレスには重要な役割を果たしていることを幼い息子には理解してもらえない。孝志がずっと職業を隠していた苦悩は台詞に出さずとも伝わってくる。実際、ヒールにしてもブッチャーやタイガー・ジェットシンなど人気のあるレスラーはいたし、かのジャイアント馬場でもアメリカ修行時代はヒールだったし、戦勝国アメリカにおいては日本人レスラーはともかくヒールだった時代があった。所詮はショービジネスなのだから“敵”は重要な役割を果たしているのだ・・・と、9歳の子供には説明できない苦悩(笑)。
膝に爆弾を抱えながら、医者と相談して一大決心をする孝志。Z-1クライマックスでは優勝して感動させるんだろうなぁ~と単純に予想していたのですが、ストーリーは思わぬ方向へと走っていたのです。準決勝であるスイートゴリラ丸山(真壁刀義)との一戦。孝志はゴキブリのマスクを脱ぎ捨てて戦ったのだ。これにはビックリ。せめて決勝戦までとっておけよ!と叫びたいところだったし、つい漫画『タイガーマスク』の伊達直人を思い出してしまいました。マスクが剥がされるシーンには大泣きしてしまったものです。
優勝したり、散り際をかっこよく描く内容ではなく、男の信念を貫き通すようなストーリーには賞賛する値があると思います。家族連れの観客に人気があるみたいですが、よくありがちな親子の絆というテーマじゃないことも確か。もしかすると、自分の職業に信念を持つことの大切さがメッセージなのかもしれません。孝志の妻(木村佳乃)が理髪店を経営していることも、ミチコ(仲里依紗)の勤める雑誌社もその流れなのかもです。
一番好きなのは、「祥太さん」「ミチコ」という呼び合う、年齢と敬称のギャップに笑えるシーン。
★★★・・
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