手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

手話通訳の現場から/胸部レントゲン

2015-04-08 08:50:56 | 手話
健康診断の場合もあるし、体調が悪くて病院に行って、原因を特定するための検査だったりする。

今回は「初診」のケースで書かせてもらお。

病院では必ず待ち時間がある。
この時、申請者さんと何を、どのように会話するか。それを観察すれば、手話通訳者の力量はほぼ判る。

今日はどうしたの?
「胸が痛くて・・・時々、息苦しくなる」
大変やね。今日は仕事は休んだ?
「うん」
痛くなった原因、思い当たることは?
「わからない・・・」
そうか・・・原因を調べるために、いろいろ、検査すると思う。
「そうですね・・・」
検査、今までに経験、ある?
「いや、病気で会社を休むなんて今回が初めてだから・・・健康診断なら経験あるけど・・・」
胸が痛いなら、胸部レントゲンをやると思う。
「それなら、会社の健康診断で経験がある」
医師や看護師からどんな指示が出たか、覚えてる?
「いやー、あまり・・・」
息を吸う、息を吐く、息を止める、そのまま・・・こんなところやね。
「ああ、そうだった、そうだった」



申請者さんは単なる雑談だと思っているだろうが、実は、この会話で本番のシュミレーションと手話表現についての確認をしているんや。
上記のケース、通常、俺は「止める」という手話は使わない。
口を閉じるだけ。
ほとんど、これで問題なく通じる。
ただ、ろう者の中にも時々、「正しい手話」にこだわる人がいる。

「はっきり、“止める”と表してください」
と言われたこともあった。
こういう場合は、相手に合わせる。