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週刊 お奨め本
2011年11月6発行 第471号
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『砂』 マイケル・ウェランド(林裕美子・訳)
¥3,000+税 築地書館 2011/8/10発行
ISBN978-4-8067-1425-5
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なんといっても表紙が美しい!
書店で目にする機会があったら、おそらく先ずは表紙にひきつけられるでしょう。
サハラでしょうか、赤褐色の砂漠に広がる風紋。一頭のラクダを引くベドウィンの男性、民族衣装の青が映える。
そしてタイトルが『砂』。なんと潔い一文字タイトル。
副題は「文明と自然」。つまりすべて。
砂を切り口に、森羅万象すべてを網羅せんとする、それはそれは幅広い内容です。
その分お値段もなかなかのもので…。
図書館で借りるといいんじゃないかな(笑)。
> この本は、もっぱら「大きさ」や「スケール」についての話といってもよく、空間的には顕微鏡で見る大きさから地球や宇宙という大きさ、そして時間的には数時間から数十億年という時を扱う。砂は、物理的な世界にも想像上の世界にも、あらゆる場所に何らかの役割を与えられて登場する。(5頁:序章)
一粒の砂に世界が潜み、世界のなかに無数の砂粒が潜むのだ。
砂漠のように視界すべてが砂という特殊なところでなくても、実は私たちの世界はどこも、砂で覆われている。
コンクリートは砂でできている。
パソコンのチップだってシリコン、元はケイ素で、つまり砂だ。
砂がなかったら、私たちの生活は崩れ去る。
ていうか、まあ、地球自体が砂と、砂が固まった岩が多くを占めているわけで。
砂ってけっきょくなんなんだ?
米国の地質学者チェスター・K・ウェントワースによれば、「砂は、その大きさだけを問題にすればよい」と考えた。
成分がなんであろうと、特定の大きさで多少かたい物質ならば、そのかけらは砂だ。砂糖だって塩だって。
つまり「粒子状物質」というわけだ。
固体でもないし液体でもないが、液体のような特殊な動きをする。
特殊な動きについては、多くの写真が掲載されていて、目をみはる。
発行人は、63頁の図13、柔らかい砂に金属球を落とした瞬間の高速連続撮影写真がお気に入り。きゃーっ、なにこれ!
80頁の図16、湖畔やら砂丘やらに自然にできた砂の造形の不思議さと言ったら!
写真を見ているだけでもうっとりだけど、文章がまた適度なユーモアを交えていい感じに読みやすく、かつ興味深く、でも盛りだくさんすぎて読むのに時間がかかるという(笑)。
3000円でこれだけ楽しめるんならコストパフォーマンスはいいんじゃないか(爆)。
とにかく徹頭徹尾、砂、の一冊。
砂ってなんだ。から始まって、砂がつくる世界、砂の地質学的動き、気象学的動き、砂が語る地球年齢、伝承と芸術まで話が広がったかと思えば、人の生活で活躍する身近な砂を紹介して話をまとめたかと思いきや、地球を超えて時間を超えて宇宙規模に突き広がる。
ところで、ある程度以上の年齢の日本人のなかには、砂と聞いて安部公房の『砂の女』を連想する人がいるのではないでしょうか?
実は私もその口なんですけど。
本書には『砂の女』が何度も何度も引き合いに出されます。
日本人として、なんか嬉しいです(*^^*ゞ。
あー、なんか取りとめもなくなってきました。
なにしろ多岐に渡りすぎなんですよ~。
保証します、よみごたえあり!
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http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。
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2011年11月6発行 第471号
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『砂』 マイケル・ウェランド(林裕美子・訳)
¥3,000+税 築地書館 2011/8/10発行
ISBN978-4-8067-1425-5
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なんといっても表紙が美しい!
書店で目にする機会があったら、おそらく先ずは表紙にひきつけられるでしょう。
サハラでしょうか、赤褐色の砂漠に広がる風紋。一頭のラクダを引くベドウィンの男性、民族衣装の青が映える。
そしてタイトルが『砂』。なんと潔い一文字タイトル。
副題は「文明と自然」。つまりすべて。
砂を切り口に、森羅万象すべてを網羅せんとする、それはそれは幅広い内容です。
その分お値段もなかなかのもので…。
図書館で借りるといいんじゃないかな(笑)。
> この本は、もっぱら「大きさ」や「スケール」についての話といってもよく、空間的には顕微鏡で見る大きさから地球や宇宙という大きさ、そして時間的には数時間から数十億年という時を扱う。砂は、物理的な世界にも想像上の世界にも、あらゆる場所に何らかの役割を与えられて登場する。(5頁:序章)
一粒の砂に世界が潜み、世界のなかに無数の砂粒が潜むのだ。
砂漠のように視界すべてが砂という特殊なところでなくても、実は私たちの世界はどこも、砂で覆われている。
コンクリートは砂でできている。
パソコンのチップだってシリコン、元はケイ素で、つまり砂だ。
砂がなかったら、私たちの生活は崩れ去る。
ていうか、まあ、地球自体が砂と、砂が固まった岩が多くを占めているわけで。
砂ってけっきょくなんなんだ?
米国の地質学者チェスター・K・ウェントワースによれば、「砂は、その大きさだけを問題にすればよい」と考えた。
成分がなんであろうと、特定の大きさで多少かたい物質ならば、そのかけらは砂だ。砂糖だって塩だって。
つまり「粒子状物質」というわけだ。
固体でもないし液体でもないが、液体のような特殊な動きをする。
特殊な動きについては、多くの写真が掲載されていて、目をみはる。
発行人は、63頁の図13、柔らかい砂に金属球を落とした瞬間の高速連続撮影写真がお気に入り。きゃーっ、なにこれ!
80頁の図16、湖畔やら砂丘やらに自然にできた砂の造形の不思議さと言ったら!
写真を見ているだけでもうっとりだけど、文章がまた適度なユーモアを交えていい感じに読みやすく、かつ興味深く、でも盛りだくさんすぎて読むのに時間がかかるという(笑)。
3000円でこれだけ楽しめるんならコストパフォーマンスはいいんじゃないか(爆)。
とにかく徹頭徹尾、砂、の一冊。
砂ってなんだ。から始まって、砂がつくる世界、砂の地質学的動き、気象学的動き、砂が語る地球年齢、伝承と芸術まで話が広がったかと思えば、人の生活で活躍する身近な砂を紹介して話をまとめたかと思いきや、地球を超えて時間を超えて宇宙規模に突き広がる。
ところで、ある程度以上の年齢の日本人のなかには、砂と聞いて安部公房の『砂の女』を連想する人がいるのではないでしょうか?
実は私もその口なんですけど。
本書には『砂の女』が何度も何度も引き合いに出されます。
日本人として、なんか嬉しいです(*^^*ゞ。
あー、なんか取りとめもなくなってきました。
なにしろ多岐に渡りすぎなんですよ~。
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