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週刊 お奨め本
2013年6月2発行 第553号
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『火の賜物 ヒトは料理で進化した』 リチャード・ランガム(依田卓巳・訳)
¥2,400+税 NTT出版 2010/3/31発行
ISBN978-4-7571-6047-7
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おもしろかったー!!
今日ご紹介するのは、人類進化史の本。
なんか難しそう? いや、読みやすくてすごく楽しかったですよ。
発行人はどうも、人類進化の秘密、とか、好きみたいですね(笑)。
これに食べ物が絡んだらもういけません。←食いしん坊。
> 本書において私は新しい答えを示す。すなわち、生命の長い歴史のなかでも特筆すべき“変移”であるホモ族(ヒト族)の出現をうながしたのは、火の使用と料理の発明だった。料理は食物の価値を高め、私たちの体、脳、時間の使い方、社会生活を変化させた。私たちを外部エネルギーの消費者に変えた。そうして燃料に依存する、自然との新しい関係を持つ生命体が登場したのだ。(3頁)
冒頭、この文章を読んだだけでわくわくしてきませんか(^_^)。
私はします。
そしてそのわくわくが最後まで持続します。
料理。
食べられないもの、食べにくいものを、食べられるように、食べやすくする作業。
且つ、おいしく。
料理によって、可食可能物が飛躍的に増え、食物は消化しやすくなり、よって消化器官は小さくなり、それまで消化に振り向けられていたエネルギーが不要になって脳に回されるようになり、つまり料理することで人間の脳は大きくなった。
ヒトがヒトとなったのは、料理のおかげである。
料理のために火を使うようになった。
火を使うようになったから、副産物として料理をするようになった。
なんにせよ、火を使うようになったために、外敵を恐れて樹上で寝る必要がなくなった。夜は火を囲んで、地上で寝る。
樹上の食物に頼る割合も減った。根や肉を料理して食べることが可能になったから。
ということで、木登り能力を失い、二足歩行能力が格段に進歩した。
どんどんヒトらしくなってきました。
おもしろい。
いろんなことがすっきり説明できてるじゃないですか。
ところで、生食主義者という人々がいることをご存知でしたか?
菜食主義者は知ってるけど、生食主義って初めて知りました。
この人たちは、食物をナマで食べることが自然であると主張しているのですが、しかし理論上十分なカロリーを食べているにもかかわらず、皆、痩せていく。
完全生食を実践する女性の50%が無月経となったというから深刻だ。
現代よりも運動量が大きい原始の時代(スーパーマーケットもなければ水道もない)、現代以上に悪影響は大きかった筈で、これでは子孫が残せなくて種が存続できない。
これも、私たちの遠い祖先たちは、生食主義者ではなかったって傍証のひとつですね。
料理ってすごいな。
と、感心してるだけではすまない。
料理の発生が、男女間の役割分担を生んだ。
女性=料理をする性、男性=狩りをする性。
ちなみに、世界各地の狩猟採集民を見ると、主食になるものはたいてい女性が採ってきて、男性はおいしくていちどに大量に手に入るものを狙うんだそうです。
男、ギャンブラーだな。
人間社会を形づくる基礎は、料理だった!
いやあ、興味深いですね。
本書は実験や観察などの具体的な事例もたくさん挙げられていて、すごく説得力がありますよ。注釈も丁寧、文献も豊富。
料理に興味がある人も、栄養学に関心がある人も、人類史や文明史が好きな人にももちろん、オススメです!
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火の賜物―ヒトは料理で進化した | |
リチャード・ランガム | |
エヌティティ出版 |
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