「演習 群・環・体入門:新妻弘」
内容紹介
本書は、既刊の『群・環・体入門』の中にある問と節末の演習問題に解答を与えたものであり、数学を学ぶ初心者を対象としている。まず、各節のはじめに定義と定理、そして問題の説明に必要と思われる最小限の例題をあげ、ついで節を追って問題を掲げ、その解答を与える、という手順になっている。ここに取り上げている問題は,定義を確認する問題から、さらに定理を組み合わせて解けば面白いと感じられるような問題まで載せてある。
著者について
新妻弘
1991年 - 1994年日本工業大学 教授
1994年 - 東京理科大学 教授
http://researchmap.jp/read0023423/
理数系書籍のレビュー記事は本書で248冊目。
「ゲージ理論とトポロジーの年表」や「アラン・コンヌ博士の非可換幾何学とは?」という記事を書いてみて代数学の大切さをつくづく思い知らされた。トポロジーにしろ解析学にしろ代数学の理解は欠かせない。
「代数学I 群と環:桂利行」を読み終えたので次は「代数学II 環上の加群:桂利行」のはずだったのだが「演習 群・環・体入門:新妻弘」をまだ読んでいないことに気がついた。
この演習書は4年前「群・環・体入門:新妻弘、木村哲三」の記事の中で紹介しただけで自分では全く手をつけていなかった。せっかく買ったのにもったいない。読まなければ本は何の価値もない。復習がてらにこの演習書で学ぶことにした。
本書の「あとがき」から転記
本書は東京理科大学理学部数学科の、代数学IIの群・環・体演習の中から生まれたものである。本来は数学科の学生に向けての内容であるが、最近ではこれらの応用もさかんに研究されており、他の分野の学生等にとってもその必要性は著しく高まってきている。このような情勢を考えて、筆者は数学科の学生ではない読者にとっても群・環・体の内容を自分で勉強し、演習できるように考えて本書を著した。
数学は抽象的な概念や記号を用いて数理的な法則を見いだす学問である。数学を学ぶためには「群・環・体入門」に載せてある問題は定義を確認する問題から、さらに定理を組み合わせて解けば面白いと感じられるような問題まで載せてある。したがって、願わくば読者が興味をもって基本的な問題を自分で考えて解き、少しでも面白いと感じていただければ幸いである。そうすれば、自然に抽象的な概念や記号に慣れていく。
また、これらの問題を自分自身である程度理解できるようになれば、一応代数を学ぶ基礎はできたことになる。さらに、これらをもとに、より高度の数学、ガロア理論(体論)、可換代数学、代数的整数論、符号論等へと発展して数学を学ぶことができる。
236ページにわたって演習に次ぐ演習で、うんざりするほどたくさんの問題を解くことになる。大学生に戻ったような気分でチャレンジした。本書のような普通の数学の教科書にはテトラちゃんやミルカさんは登場しない。無味乾燥とも思える問題、何の役に立つのかわからないような問題を延々と解いていくためにはモチベーションを維持する気力が求められる。
自分で解いたのは3分の1ほど。残りは解答を読んで理解する形で読み進めた。それでも1ヶ月かかる。難易度は基本的なものから中級レベルの問題がほとんど。詰め将棋に例えれば3手詰めから7手詰めといったところだろうか。よくもまあこれだけの問題を作れるものだとおかしなところで感心した。
全部理解できたわけではない。理解できない問題は「群・環・体入門:新妻弘、木村哲三」をひもといて理解しようと努めたが、1割ほどは理解できないまま終わってしまった。
数学には才能やセンスも必要だが、このような地味な鍛錬を積むことが必要だ。教科書、演習書共に解説や解答はとても丁寧で、独習に向いている。今月から群論を学び始めた大学生、もう一度学びなおしてみようと思っている方には教科書と合わせて特にお勧めしたい。
「群・環・体入門:新妻弘、木村哲三」
「演習 群・環・体入門:新妻弘」
関連記事:
群・環・体入門:新妻弘、木村哲三
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/7f58114fe89f69d8e9a306fe819a6398
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「演習 群・環・体入門:新妻弘」
目次:
第1章:整数
- 基本的な性質
- 合同式
- オイラーの関数、メビュースの関数
第2章:群
- 群の定義と群の例
- 部分群、一般結合法則
- 巡回群、群の位数、元の位数
- 部分群による類別
- 正規部分群、剰余群
- 準同型写像、準同型定理
- 直積
第3章:環と体
- 環
- 環のイデアル、剰余環、有理整数環Z
- 環の準同型写像、準同型定理
- 多項式環
- 商体、一意分解整域
- 有限体
内容紹介
本書は、既刊の『群・環・体入門』の中にある問と節末の演習問題に解答を与えたものであり、数学を学ぶ初心者を対象としている。まず、各節のはじめに定義と定理、そして問題の説明に必要と思われる最小限の例題をあげ、ついで節を追って問題を掲げ、その解答を与える、という手順になっている。ここに取り上げている問題は,定義を確認する問題から、さらに定理を組み合わせて解けば面白いと感じられるような問題まで載せてある。
著者について
新妻弘
1991年 - 1994年日本工業大学 教授
1994年 - 東京理科大学 教授
http://researchmap.jp/read0023423/
理数系書籍のレビュー記事は本書で248冊目。
「ゲージ理論とトポロジーの年表」や「アラン・コンヌ博士の非可換幾何学とは?」という記事を書いてみて代数学の大切さをつくづく思い知らされた。トポロジーにしろ解析学にしろ代数学の理解は欠かせない。
「代数学I 群と環:桂利行」を読み終えたので次は「代数学II 環上の加群:桂利行」のはずだったのだが「演習 群・環・体入門:新妻弘」をまだ読んでいないことに気がついた。
この演習書は4年前「群・環・体入門:新妻弘、木村哲三」の記事の中で紹介しただけで自分では全く手をつけていなかった。せっかく買ったのにもったいない。読まなければ本は何の価値もない。復習がてらにこの演習書で学ぶことにした。
本書の「あとがき」から転記
本書は東京理科大学理学部数学科の、代数学IIの群・環・体演習の中から生まれたものである。本来は数学科の学生に向けての内容であるが、最近ではこれらの応用もさかんに研究されており、他の分野の学生等にとってもその必要性は著しく高まってきている。このような情勢を考えて、筆者は数学科の学生ではない読者にとっても群・環・体の内容を自分で勉強し、演習できるように考えて本書を著した。
数学は抽象的な概念や記号を用いて数理的な法則を見いだす学問である。数学を学ぶためには「群・環・体入門」に載せてある問題は定義を確認する問題から、さらに定理を組み合わせて解けば面白いと感じられるような問題まで載せてある。したがって、願わくば読者が興味をもって基本的な問題を自分で考えて解き、少しでも面白いと感じていただければ幸いである。そうすれば、自然に抽象的な概念や記号に慣れていく。
また、これらの問題を自分自身である程度理解できるようになれば、一応代数を学ぶ基礎はできたことになる。さらに、これらをもとに、より高度の数学、ガロア理論(体論)、可換代数学、代数的整数論、符号論等へと発展して数学を学ぶことができる。
236ページにわたって演習に次ぐ演習で、うんざりするほどたくさんの問題を解くことになる。大学生に戻ったような気分でチャレンジした。本書のような普通の数学の教科書にはテトラちゃんやミルカさんは登場しない。無味乾燥とも思える問題、何の役に立つのかわからないような問題を延々と解いていくためにはモチベーションを維持する気力が求められる。
自分で解いたのは3分の1ほど。残りは解答を読んで理解する形で読み進めた。それでも1ヶ月かかる。難易度は基本的なものから中級レベルの問題がほとんど。詰め将棋に例えれば3手詰めから7手詰めといったところだろうか。よくもまあこれだけの問題を作れるものだとおかしなところで感心した。
全部理解できたわけではない。理解できない問題は「群・環・体入門:新妻弘、木村哲三」をひもといて理解しようと努めたが、1割ほどは理解できないまま終わってしまった。
数学には才能やセンスも必要だが、このような地味な鍛錬を積むことが必要だ。教科書、演習書共に解説や解答はとても丁寧で、独習に向いている。今月から群論を学び始めた大学生、もう一度学びなおしてみようと思っている方には教科書と合わせて特にお勧めしたい。
「群・環・体入門:新妻弘、木村哲三」
「演習 群・環・体入門:新妻弘」
関連記事:
群・環・体入門:新妻弘、木村哲三
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目次:
第1章:整数
- 基本的な性質
- 合同式
- オイラーの関数、メビュースの関数
第2章:群
- 群の定義と群の例
- 部分群、一般結合法則
- 巡回群、群の位数、元の位数
- 部分群による類別
- 正規部分群、剰余群
- 準同型写像、準同型定理
- 直積
第3章:環と体
- 環
- 環のイデアル、剰余環、有理整数環Z
- 環の準同型写像、準同型定理
- 多項式環
- 商体、一意分解整域
- 有限体
良質な演習書ご紹介ありがとうございます
教育大学だったせいか正式な演習の授業はありませんでした
こういう丁寧な解答
基本的な問題がついてる本は貴重です
不可欠ですね
独学者には
この教科書と演習書のセットはとてもよかったですよ!
私も好きな数学書をきままに読むのではなくガリガリ演習問題を解く時期にきたようです
コメントのお返事全然気にしません
しっかり読ませていただきたいと思います
刺激のシャワー浴びるつもりです