Sさんの蛍光ペン
国立大入試の2次試験を今週末に控え、毎日真剣に勉強しているカフェ友のSさんが急に笑い出した。「とねさん、これ見てみて!」とうれしそう。
彼女が見せてくれたのはこの本の中の1ページ。
1ページ弱の英文を読んで70~80文字の日本語に要約せよというものだった。以下がその英文の日本語訳と模範解答。
タイトルには「蛍光ペンの有害性について」とある。
日本語訳:
蛍光ペンは、透明な明るい色を上塗りして、本の一部を目立たせるマーカーであるが、それが使用されることが大学生の教育に大きな影響を及ぼしている。多数の大学生の読書法がそれによって歪められ、安直となっているからである。
いかなるマーカーも使わずに読書している者も依然としているし、ペンや鉛筆を使い続けている者もいるけれど、ほとんどが蛍光ペンに転じてしまった。最も普通の蛍光ペン使用法は、単にマークするだけである。学生が読む必要のある文の要点の語句を色鮮やかに塗りつけるのだ。これに害などなさそうに思われようが、実は、そうした蛍光ペンの使用で受動的な読書習慣がつきやすくなる。頭を使わず鵜呑みにして、言葉が読者を通過していき、印象が残ることは全くない。このため、能動的、批判的、分析的な読書を大いに身につけなければならない青少年に重大な影響が及びうる。
鉛筆やペンを使っても同じ結果になるという反論もあろうし、ある程度は当たってもいる。しかしやはり、読書が現実に下手になっていることの責任は蛍光ペンにあると考えるのが妥当である。鉛筆やペンがマーキングの目的(つまり、下線を引く)に使われると、それが余白の書込みにも使われるのが普通である。これは読者のその文章への関わりを大いに強化する行為である。蛍光ペンは、この目的にはほとんど役立たない。
模範解答:
蛍光ペンを使うと受動的な読書習慣を助長し、能動的、批判的、分析的に読書すべき青少年に有害である。従来の鉛筆やペンなら蛍光ペンに不可能な余白の書き込みにも使える。(80字)
ツッコミどころ満載である。(やってみた。)こんな馬鹿げた文章が東大の入試でまことしやかに出題されていたとは。。。もとの英文は本からの引用なのか、大学教授が試験問題用として書いたのか知らないが、たかが蛍光ペンなのにむきになってマイナス面ばかり強調している先生の姿は滑稽だし、根拠の薄い屁理屈を書き連ねたこの文章を要約するのは難しいに違いない。
なぜこんな問題を出したのだろう?もしかするとウケをねらったのだろうか?試験が終わったら「ウケる~w」とツイートしてみようか? などと気を取られているうちに他の問題を解く時間がなくなってしまう。なるほどそういうことか!さすが東大の問題だ。
試験問題としてこれを採用した先生のセンスに「いいね!」をひとつ贈りたい。
これが出題されたのは1992年。日本で蛍光ペンが使われだしたのは1970年代からである。
続きは次の記事で。
蛍光ペンの有害性について (その2)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/21e3f704c3f17323f5a11d8a89ab485d
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浪人(一浪しました)のときの代ゼミの講師(西岡先生)に、色ペンを使って覚えるなと言われたことがあります。理由は、人間は色と文字を同時に認識するからだそうで、たとえば、黄色のマーカーで語句を覚えていたら、黄色を見ないと思い出せないようになるようです。たしかに、そんな気がします。
そのことがあって、今はマーカーをほとんど使っていません(何回も読んで、大切なところは囲ったりしますが....)。この過去問で書かれているように、たしかにマーカーを用いるとき、大切な語句であることはわかるけれども、引いてしまえばおしまいになってしまうのだろうと(勝手ながら)思いました。
雑文失礼します。
とうとう金沢に行けるのですね。引越し準備は大変でしょうけど楽しんでいると想像しています。
金沢大学の大学院には素粒子物理専攻している友人がいますよ。
僕もはるか昔、色ペン使うなと先生から言われたことがあります。ことの真偽は別として、今回のはジョーク記事としてご理解ください。
今年、金沢をはじめ日本海側は大雪で大変だそうです。(レンタカーも含めて)もしクルマを運転なさる場合は車間距離を十分にとり、安全運転を心がけてくださいね。
この出題にはそのような裏話があるのですね。東大がその件に関連付けてこの問題を作成したのだとすると、ふたぎ様がおっしゃるように出題者はネチっこいですねぇ。退場になってしまった受験生は、おそらく不注意だったと思いますからお気の毒です。