「楕円関数入門: 戸田盛和」
内容紹介:
本書は楕円関数の入門書であり、いわゆるヤコビの楕円関数を三角関数のようにたやすく扱えるようにする。『数学セミナー』で連載したものに、ワイエルシュトラスによる楕円関数の形式、楕円関数の一般論の要約や公式集を収録。身近な現象を取り上げて具体的な計算を通して現象と共に楕円関数を理解できるように解説する。
2001年9月1日刊行、218ページ。
著者について:
戸田盛和(とだ もりかず): ウィキペディアの記事
1917年東京都に生まれる。1940年東京帝国大学理学部物理学科卒業。東京教育大学、千葉大学、横浜国立大学、放送大学の教授を歴任。現在、東京教育大学名誉教授、ノルウェー王立アカデミー会員。2010年没。
理数系書籍のレビュー記事は本書で391冊目。
楕円関数を学ぶための教科書はどれも手強そうだが、いずれ読んでみたいと思っていた。いくつか立ち読みした中でいちばん入りやすそうなのがこの本。物理の先生が書いた本ならなんとかなるかもしれない。いつか「ヤコビ 楕円関数原論」や「アーベル/ガロア 楕円関数論」を読んでみたいが、それはだいぶ先のこと。(楕円関数の本: Amazonで検索)
本書「楕円関数入門: 戸田盛和」は『数学セミナー』で連載したものに、ワイエルシュトラスによる楕円関数の形式、楕円関数の一般論の要約や公式集を収録。身近な現象を取り上げて具体的な計算を通して現象と共に楕円関数を理解できるように解説したものだ。
章立ては次のとおりである。
第1章:楕円の弧長
第2章:楕円積分
第3章:ヤコビの楕円関数
第4章:なわとびのひも
第5章:座屈(バックリング)
第6章:振り子とこま
第7章:重心のまわりの回転
第8章:加法定理
第9章:加法定理の代数的関係式
第10章:複素変数の楕円関数
第11章:無限乗積
第12章:θ(テータ)関数
第13章:θ(テータ)関数の加法公式
第14章:logθ0の分解
第15章:非線形波動
第16章:振り子の励振
第1章から第3章は楕円関数や楕円積分の紹介、第4章から第7章までは身近な物理現象を解くための解説にあてられる。第8章以降は計算が格段に難しくなってきてお手上げ。第10章から変域を複素変数に拡張し、楕円関数の周期性があらわれるのをみて興味が戻ってきた。第12章から始まるθ(テータ)関数とは楕円テータ関数のことだ。詳細は次のページを参照していただきたい。
楕円テータ関数(特殊関数 グラフィックスライブラリー)
http://math-functions-1.watson.jp/sub1_spec_100.html
楕円関数は、戸田格子(非線形格子)もそうであるが、さまざまな自然現象であらわれる物理数学でもあるわけだが、今回はその大まかな様子を知るにとどめておいた。(というより計算が複雑過ぎて第8章以降は大まかなところをつかんだに過ぎない。)
いちばん興味深かったのは「こま」や「なわとび」の運動に楕円関数がでてきた例だ。第7章までを理解するだけでも、それなりの収穫だったと思うことにした。
本書でどのような数式が扱われるかは、巻末の公式集を見ていただければおわかりになるだろう。
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「楕円関数入門: 戸田盛和」
まえがき
第1章:楕円の弧長
- 楕円
- 楕円の弧の長さ
- 正弦曲線の長さ
- 第1種楕円積分
- レムニスケートの弧長
第2章:楕円積分
- 不定積分
- 楕円積分の標準形
- 円輪のポテンシャル
- 非線形のばね
- 非線形振動
- 振り子の振動
- 振り子の回転
- 球面振り子
第3章:ヤコビの楕円関数
- 楕円関数の誕生
- ヤコビの楕円関数
- 振幅関数
- ヤコビの楕円関数の微分
- ch^-1、dn~-1の積分表示
- 第2種楕円積分
- 楕円の弧
- 楕円
- ザイフェルトの球面スパイラル
第4章:なわとびのひも
- 力学の問題
- 曲線 y=b sn(x/c){b-2k/(1-k^2) c}の長さ
- 一般の形
- 変分原理
第5章:座屈(バックリング)
- エラスチカ
- 座屈による変形
- エネルギー的考察
- 初等的な扱い
- 大きな変形
- 関連のある問題
- 棒の曲げの応力
第6章:振り子とこま
- はじめに
- 単振り子
- 球面振り子
- 亜鈴の運動
- 重力のはたらいているこま
第7章:重心のまわりの回転
- 自由な回転
- 自由な回転の安定性
- 別の見方
- 時間的変化
第8章:加法定理
- 推論
- ヤコビの楕円関数の加法公式
- 別の書き方
- 加法公式の幾何学的証明
第9章:加法定理の代数的関係式
- トムソンの式
- オイラーの積分関係式
- 例--sn関数
- 代数的関係式
- 例--sn関数の代数的加法定理
第10章:複素変数の楕円関数
- 変域の拡張
- 複素変数
- 複素平面上のsn関数
- ヤコビの楕円関数の周期性
第11章:無限乗積
- 2次元ラプラス方程式
- 対数ポテンシャルと電極
- 関数 log sin z
- 関数 log tanh z
- sn zの無限乗積表現(1)
- sn zの無限乗積表現(2)
- θ(テータ)関数
第12章:θ(テータ)関数
- 級数展開
- θ関数
- θ関数の満たす熱伝導方程式
- 1/t を用いた解
- θ関数に関するヤコビの虚数変換
- バーガース(Burgers)方程式
第13章:θ(テータ)関数の加法公式
- 加法公式
- (d^2/dv^2)logθ3(v)との関係
- Ζ(ジータ)関数
第14章:logθ0の分解
- Ζ関数の加法公式
- logθ0に対する漸化式
- フーリエ展開
- dn^2(2Kv)の分解
第15章:非線形波動
- 漸化式
- 非線形格子
- ソリトン
- 非線形性の小さい波
第16章:振り子の励振
- ヒルの方程式
- sn^2の固有値
- sech^2の固有値
参考書
付録I:ワイエルシュトラスのぺー関数(ウィキペディア)
付録II:楕円関数の一般的性質
付録III:公式集
索引
内容紹介:
本書は楕円関数の入門書であり、いわゆるヤコビの楕円関数を三角関数のようにたやすく扱えるようにする。『数学セミナー』で連載したものに、ワイエルシュトラスによる楕円関数の形式、楕円関数の一般論の要約や公式集を収録。身近な現象を取り上げて具体的な計算を通して現象と共に楕円関数を理解できるように解説する。
2001年9月1日刊行、218ページ。
著者について:
戸田盛和(とだ もりかず): ウィキペディアの記事
1917年東京都に生まれる。1940年東京帝国大学理学部物理学科卒業。東京教育大学、千葉大学、横浜国立大学、放送大学の教授を歴任。現在、東京教育大学名誉教授、ノルウェー王立アカデミー会員。2010年没。
理数系書籍のレビュー記事は本書で391冊目。
楕円関数を学ぶための教科書はどれも手強そうだが、いずれ読んでみたいと思っていた。いくつか立ち読みした中でいちばん入りやすそうなのがこの本。物理の先生が書いた本ならなんとかなるかもしれない。いつか「ヤコビ 楕円関数原論」や「アーベル/ガロア 楕円関数論」を読んでみたいが、それはだいぶ先のこと。(楕円関数の本: Amazonで検索)
本書「楕円関数入門: 戸田盛和」は『数学セミナー』で連載したものに、ワイエルシュトラスによる楕円関数の形式、楕円関数の一般論の要約や公式集を収録。身近な現象を取り上げて具体的な計算を通して現象と共に楕円関数を理解できるように解説したものだ。
章立ては次のとおりである。
第1章:楕円の弧長
第2章:楕円積分
第3章:ヤコビの楕円関数
第4章:なわとびのひも
第5章:座屈(バックリング)
第6章:振り子とこま
第7章:重心のまわりの回転
第8章:加法定理
第9章:加法定理の代数的関係式
第10章:複素変数の楕円関数
第11章:無限乗積
第12章:θ(テータ)関数
第13章:θ(テータ)関数の加法公式
第14章:logθ0の分解
第15章:非線形波動
第16章:振り子の励振
第1章から第3章は楕円関数や楕円積分の紹介、第4章から第7章までは身近な物理現象を解くための解説にあてられる。第8章以降は計算が格段に難しくなってきてお手上げ。第10章から変域を複素変数に拡張し、楕円関数の周期性があらわれるのをみて興味が戻ってきた。第12章から始まるθ(テータ)関数とは楕円テータ関数のことだ。詳細は次のページを参照していただきたい。
楕円テータ関数(特殊関数 グラフィックスライブラリー)
http://math-functions-1.watson.jp/sub1_spec_100.html
楕円関数は、戸田格子(非線形格子)もそうであるが、さまざまな自然現象であらわれる物理数学でもあるわけだが、今回はその大まかな様子を知るにとどめておいた。(というより計算が複雑過ぎて第8章以降は大まかなところをつかんだに過ぎない。)
いちばん興味深かったのは「こま」や「なわとび」の運動に楕円関数がでてきた例だ。第7章までを理解するだけでも、それなりの収穫だったと思うことにした。
本書でどのような数式が扱われるかは、巻末の公式集を見ていただければおわかりになるだろう。
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「楕円関数入門: 戸田盛和」
まえがき
第1章:楕円の弧長
- 楕円
- 楕円の弧の長さ
- 正弦曲線の長さ
- 第1種楕円積分
- レムニスケートの弧長
第2章:楕円積分
- 不定積分
- 楕円積分の標準形
- 円輪のポテンシャル
- 非線形のばね
- 非線形振動
- 振り子の振動
- 振り子の回転
- 球面振り子
第3章:ヤコビの楕円関数
- 楕円関数の誕生
- ヤコビの楕円関数
- 振幅関数
- ヤコビの楕円関数の微分
- ch^-1、dn~-1の積分表示
- 第2種楕円積分
- 楕円の弧
- 楕円
- ザイフェルトの球面スパイラル
第4章:なわとびのひも
- 力学の問題
- 曲線 y=b sn(x/c){b-2k/(1-k^2) c}の長さ
- 一般の形
- 変分原理
第5章:座屈(バックリング)
- エラスチカ
- 座屈による変形
- エネルギー的考察
- 初等的な扱い
- 大きな変形
- 関連のある問題
- 棒の曲げの応力
第6章:振り子とこま
- はじめに
- 単振り子
- 球面振り子
- 亜鈴の運動
- 重力のはたらいているこま
第7章:重心のまわりの回転
- 自由な回転
- 自由な回転の安定性
- 別の見方
- 時間的変化
第8章:加法定理
- 推論
- ヤコビの楕円関数の加法公式
- 別の書き方
- 加法公式の幾何学的証明
第9章:加法定理の代数的関係式
- トムソンの式
- オイラーの積分関係式
- 例--sn関数
- 代数的関係式
- 例--sn関数の代数的加法定理
第10章:複素変数の楕円関数
- 変域の拡張
- 複素変数
- 複素平面上のsn関数
- ヤコビの楕円関数の周期性
第11章:無限乗積
- 2次元ラプラス方程式
- 対数ポテンシャルと電極
- 関数 log sin z
- 関数 log tanh z
- sn zの無限乗積表現(1)
- sn zの無限乗積表現(2)
- θ(テータ)関数
第12章:θ(テータ)関数
- 級数展開
- θ関数
- θ関数の満たす熱伝導方程式
- 1/t を用いた解
- θ関数に関するヤコビの虚数変換
- バーガース(Burgers)方程式
第13章:θ(テータ)関数の加法公式
- 加法公式
- (d^2/dv^2)logθ3(v)との関係
- Ζ(ジータ)関数
第14章:logθ0の分解
- Ζ関数の加法公式
- logθ0に対する漸化式
- フーリエ展開
- dn^2(2Kv)の分解
第15章:非線形波動
- 漸化式
- 非線形格子
- ソリトン
- 非線形性の小さい波
第16章:振り子の励振
- ヒルの方程式
- sn^2の固有値
- sech^2の固有値
参考書
付録I:ワイエルシュトラスのぺー関数(ウィキペディア)
付録II:楕円関数の一般的性質
付録III:公式集
索引