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昨日飛び込んできたすごいニュース。
「一般相対論の方程式で弘大が快挙」
論文を見つけたので場所を紹介しておこう。PDFファイルをダウンロードし。ざっと眺めたところ想像していたよりシンプルで短かった。週末にじっくり読むことにしよう。
コンピュータによる数値解ではなく、数式計算による解析解(厳密解)だということに驚かされた。ニュートン力学でさえ三体問題の解析解は存在しないのに、ずっと複雑な一般相対論では解析解が存在するというのも不思議な気がした。
公開されている論文はこの2つ。それぞれ12ページ、18ページしかない。PDFファイルはページ右フレームの「Download:」というところからダウンロードできる。
Collinear solution to the general relativistic three-body problem
(Submitted on 12 Oct 2010)
http://arxiv.org/abs/1010.2284
Uniqueness of collinear solutions for the relativistic three-body problem
(Submitted on 9 Nov 2010 (v1), last revised 13 Jan 2011 (this version, v2))
http://arxiv.org/abs/1011.2007
ニュースの詳細は以下の記事をお読みいただきたい。
一般相対論の方程式で弘大が快挙(東奥日報)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2011/20110202091841.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f
弘前大学大学院理工学研究科の山田慧生(けい)さん(24)と指導教員の浅田秀樹准教授(42)=理論宇宙物理学=が、アインシュタインらが構築した一般相対性理論(一般相対論)の運動方程式を基に、三つの天体の軌道(位置の時間変化)を瞬時に導き出せる数式を、世界で初めて見つけた。研究成果をまとめた論文2本は2010年11月と今年1月、ノーベル賞級の論文が載る米国物理学会誌「フィジカルレビュー」に掲載された。同研究科が1日、発表した。
浅田准教授によると、任意の三つの天体の軌道を求めるには、ニュートンの万有引力の理論を使う方法が一般的。一般相対論による運動方程式を使えば、より精密な値を求めることができ、観測結果と合うことは知られているが、式の計算が桁違いに難しくなる。天体が二つの場合に限れば、天体の軌道を求める方程式の解が見つかっていた。
研究は、山田さん(同研究科物理科学コース博士前期課程1年)が弘大理工学部4年だった09年秋、卒業研究として始めた。18世紀の数学者オイラーが発見した古典的な計算方法(PDF)をヒントに、3天体の軌道を求める一般相対論の方程式を簡略化する方法を発見したのは10年1月。その解を計算することにも成功した。
山田さんの数式によって、三つの天体の質量や距離を電卓に打ち込むだけで、それぞれの天体の軌道を算出できるようになった。さらに、このうち二つの天体について、重力が釣り合う「ラグランジュ点」の位置を計算すると、ニュートン理論で算出される位置とのずれが1~数十メートル程度となることも突き止めた。
2人は山田さんの卒業研究をベースに論文を投稿、掲載されたが、既にドイツの研究者に引用されるなど注目を集めているという。
「権威ある雑誌に掲載され、すごく光栄」と山田さん。浅田准教授は、論文が同誌に立て続けに掲載されたことについて「大変まれで、研究が国際的に高い評価を得た証し。今までにない新しい理論検証が可能になる」と自信を深める。東北大学の二間瀬敏史教授(一般相対性理論)は「新たな切り口で、いわば金鉱を掘り当てた」とたたえている。
自分の功績ではないので、今日はランキング投票ボタンを控えめに小さくしました。
このブログのランキングはこれらのサイトで確認できます。
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参考ページ:
EMANの相対性理論:
http://eman-physics.net/relativity/contents.html
一般相対性理論に挑戦しよう!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0
アインシュタイン選集(2):一般相対性理論および統一場理論
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3d0869ab3911e84845b5b121bd1aa3e
「一般相対論の方程式で弘大が快挙」
論文を見つけたので場所を紹介しておこう。PDFファイルをダウンロードし。ざっと眺めたところ想像していたよりシンプルで短かった。週末にじっくり読むことにしよう。
コンピュータによる数値解ではなく、数式計算による解析解(厳密解)だということに驚かされた。ニュートン力学でさえ三体問題の解析解は存在しないのに、ずっと複雑な一般相対論では解析解が存在するというのも不思議な気がした。
公開されている論文はこの2つ。それぞれ12ページ、18ページしかない。PDFファイルはページ右フレームの「Download:」というところからダウンロードできる。
Collinear solution to the general relativistic three-body problem
(Submitted on 12 Oct 2010)
http://arxiv.org/abs/1010.2284
Uniqueness of collinear solutions for the relativistic three-body problem
(Submitted on 9 Nov 2010 (v1), last revised 13 Jan 2011 (this version, v2))
http://arxiv.org/abs/1011.2007
ニュースの詳細は以下の記事をお読みいただきたい。
一般相対論の方程式で弘大が快挙(東奥日報)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2011/20110202091841.asp?fsn=eb33f76037153e93cde084f7e7644d6f
弘前大学大学院理工学研究科の山田慧生(けい)さん(24)と指導教員の浅田秀樹准教授(42)=理論宇宙物理学=が、アインシュタインらが構築した一般相対性理論(一般相対論)の運動方程式を基に、三つの天体の軌道(位置の時間変化)を瞬時に導き出せる数式を、世界で初めて見つけた。研究成果をまとめた論文2本は2010年11月と今年1月、ノーベル賞級の論文が載る米国物理学会誌「フィジカルレビュー」に掲載された。同研究科が1日、発表した。
浅田准教授によると、任意の三つの天体の軌道を求めるには、ニュートンの万有引力の理論を使う方法が一般的。一般相対論による運動方程式を使えば、より精密な値を求めることができ、観測結果と合うことは知られているが、式の計算が桁違いに難しくなる。天体が二つの場合に限れば、天体の軌道を求める方程式の解が見つかっていた。
研究は、山田さん(同研究科物理科学コース博士前期課程1年)が弘大理工学部4年だった09年秋、卒業研究として始めた。18世紀の数学者オイラーが発見した古典的な計算方法(PDF)をヒントに、3天体の軌道を求める一般相対論の方程式を簡略化する方法を発見したのは10年1月。その解を計算することにも成功した。
山田さんの数式によって、三つの天体の質量や距離を電卓に打ち込むだけで、それぞれの天体の軌道を算出できるようになった。さらに、このうち二つの天体について、重力が釣り合う「ラグランジュ点」の位置を計算すると、ニュートン理論で算出される位置とのずれが1~数十メートル程度となることも突き止めた。
2人は山田さんの卒業研究をベースに論文を投稿、掲載されたが、既にドイツの研究者に引用されるなど注目を集めているという。
「権威ある雑誌に掲載され、すごく光栄」と山田さん。浅田准教授は、論文が同誌に立て続けに掲載されたことについて「大変まれで、研究が国際的に高い評価を得た証し。今までにない新しい理論検証が可能になる」と自信を深める。東北大学の二間瀬敏史教授(一般相対性理論)は「新たな切り口で、いわば金鉱を掘り当てた」とたたえている。
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参考ページ:
EMANの相対性理論:
http://eman-physics.net/relativity/contents.html
一般相対性理論に挑戦しよう!
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/ea7ad9292ce01ad4abbbc8c98f3303d0
アインシュタイン選集(2):一般相対性理論および統一場理論
http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/d3d0869ab3911e84845b5b121bd1aa3e
”18世紀の数学者オイラーが発見した古典的な計算方法をヒントに”というところが堪りませんね(笑)
コメントいただき、ありがとうございます。
> ”18世紀の数学者オイラーが発見した古典的な計算方法をヒントに”というところが堪りませんね(笑)
まさにおっしゃるとおりです。
大学院生レベルでも物理学界に衝撃を与えられるような研究対象がまだあるということに、若い研究者や学生は大いに奮い立つことでしょう。
ノーベル物理学賞は手の届くところにあるのかもしれません。(笑)
imaroさんも頑張って研究者の道を目指してください!
って、いわゆる「オイラー計算」のことかなぁ?
それだったら、僕も興味があったので、
記事にしています。
(はずれだったら ごめんなさい)
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/53313234.html
「オイラー計算」の正当性の証明?は、、、
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/53360069.html
(この証明はトンデモかも)
論文には「Euler's collinear solution」と書いてあるので”18世紀の数学者オイラーが発見した古典的な計算方法"というのは「オイラーの共線(オイラー線)」のことだと思いました。
オイラー線のことは次のような論文に書いてありました。PDFファイルを開いて「Euler」や「collinear」という単語で検索してみてください。たぶん、これのことだと思うのですが。。。
PHYS 7221 - The Three-Body Problem
http://www.phys.lsu.edu/faculty/gonzalez/Teaching/Phys7221/ThreeBodyProblem.pdf
の3ページ目の上のほう
Numerical astrophysics Lecture notes
http://www.capca.ucalgary.ca/~wdobler/teaching/astrocomput/notes.pdf
の13ページ目
ですか!!
いえいえどういたしまして。僕も最初からウィキペディアの記事を引用すればよかったですね。
もちろん18世紀のオイラー先生は20世紀の一般相対性理論のことは知る由もありませんから、どうしてオイラーなの?と思いましたが、今回のPDF論文を拾い読みしたところ一般相対性理論の「Einstein- Infeld-Hoffman (EIH) equation」を使っているので、このあたりで一般相対性理論を導入しているのだと思いました。
Einstein--Infeld--Hoffmann equations
http://en.wikipedia.org/wiki/Einstein%E2%80%93Infeld%E2%80%93Hoffmann_equations
Einstein- Infeld-Hoffman (EIH) equation
http://www.einstein-schrodinger.com/EIH.html
On the motion of particles in general relativity theory
http://www.einstein-schrodinger.com/einstein_infeld.html
(微分)幾何学、
今回も、幾何学でのアプローチ。
どうも、幾何学アプローチって、何かありそうな気がします。
僕は、計算が苦手だけど、幾何は、もっと苦手です ^^;
3体問題の計算が、関係ないのは わかってます。
ところで、この論文に 3体問題でのカオス様相に言及は ありますか?
もし、一意の解が求まるとすると、
一般相対論での3体問題には、カオス様相がない
ということになるような気がします。
(まぁ、素人考えですが)
この論文にカオス様相についての言及はないと思います。
言及がないからといって、一般相対論の3体問題にカオス様相がないとは言い切れませんね。
他の読者の方のために、以下のページを紹介しておきますね。
■カオスと3体問題
http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu/1063_c3.htm
3体問題(3星運動)
http://www.kcn.ne.jp/~saiji/ThreeBody02.htm
フラクタルとカオスの館(上の3体問題のシミュレーションはこのサイト内にある。)
http://www.kcn.ne.jp/~saiji/entrance.htm