とね日記

理数系ネタ、パソコン、フランス語の話が中心。
量子テレポーテーションや超弦理論の理解を目指して勉強を続けています!

TIMEDOMAINのスピーカーを試聴しました。

2005年07月31日 01時34分53秒 | 音楽
先日「すの字」のマスターの鈴木先生(作曲家)にTIMEDOMAINスピーカーというのがあることを教えてもらいました。何でもこれまでの音響理論とは全く異なる「タイムドメイン理論」をもとに奈良県の小さな会社が開発したスピーカーだそうです。製品とタイムドメイン理論の詳細、ユーザーの評価などはタイムドメイン社のホームページを参照いただくとして、今日はTIMEDOMAINスピーカーの試聴に南青山にある試聴室に行き、実際に自分の耳で聴いてきた感想を書きます。

最上位モデルで縦置き筒型のYoshii9 (315,000円)とコンパクトなジェット機のエンジン型でシルバーのTIMEDOMAIN mini (18,900円)と白いたまご型のTIMEDOMAIN light (18,900円)があります。それらの写真はこの記事以下の投稿で見てください。3つのスピーカーともコンポやCDウォークマンにつなげて聴きます。共通しているのは「スピーカーの存在を感じさせない自然な音場を作り出している」ことです。いつも使っているスピーカーだと目の前に置いたスピーカーから音が出ていることが明らかに自覚できるものですが、TIMEDOMAINスピーカーではスピーカーの周りの空間から音が出ているように聞こえます。これまでのスピーカーでは再生している音が自分のいる場所まで「広がりながら伝わってくる感じ」がするのに対して、TIMEDOMAINスピーカーではスピーカーの周囲の空間にある音を耳が直接感じ取っている気がします。音楽が部屋のどこで聞いても同じように聞こえるのも不思議な気がしました。なぜなら自然法則では音は音源からの距離の2乗に反比例して減衰するはずですから。このスピーカーは自然法則を無視しているのでしょうか?ですから大勢の人が一緒に音楽鑑賞したら、座る場所に関係なく「公平に」音楽を楽しめます。ひとつひとつの楽器の音がものすごく分離して聞こえるのも共通して言えることです。

3つのスピーカーで違っている点を説明します。原音の再現力について、かなり邪道ですがあえて数字で表現してしまうと原音を完全に再現した場合を100とすると、Yoshii9は98、miniとlightは95といったところです。(あくまで僕の主観です。)出力ワット数も違います。Yoshii9は12W+12W、miniは4W+4W、lightは3W+3Wです。実際に出力される音量に対してワット数の値は小さいと思います。白いたまご型のlightはiPodを意識しているようでアップルストアでも販売されています。lightのほうがminiよりも音が鮮やかに聞こえました。miniは落ち着いた感じの音質です。この2つの違いは音色の好みによって左右されるのでどちらがいいとかは一概に言えません。僕はminiのほうが好きです。また3つのスピーカーに共通して言えることですが、ハードロックのように低音ビートを体で感じるタイプの音楽には向きません。そのような音楽はもともとスピーカーの存在なしに演奏できるものではなく、スピーカー自体が発する強烈な音圧が音楽の一部だからです。ハードロックをTIMEDOMAINスピーカーで聴くと低音も聞こえますが、ドンドンと腹に響いてくる感じはありません。うるさく感じないのです。優等生がロックバンドを控えめにやっている感じとでもいいましょうか。

最上位モデルのYoshii9ですが原音再現力はminiやlightよりも明らかに優っています。数字で98だと書きましたが、2ポイント足りない評価をしたのは僕の錯覚かもしれません。しょせん「器具」が再生しているのだから100であるはずがないという先入観が働いているのかもしれません。Yoshii9については持参したいろいろなジャンルのCDを試聴させていただきました。以前BOSEのスピーカーを使った数百万円のオーディオシステムで試聴したことがあるのですが、そのときに感じた「音が迫りくる感じ」はYoshii9ではありませんでした。言い換えると音楽が誇張されていない自然さがYoshii9の特長です。Yoshii9はすごいんだろうなぁと過剰に期待していたためいささか拍子抜けした第一印象でしたが、それはYoshii9がBOSEのように現実感を作り出すスピーカーではなく、誇張されていないありのままの現実の音場の真ん中にたまたまYoshii9が立っている、そのようなスピーカーだからです。僕の拍子抜けの印象は誇張された原音再生への期待との落差でした。たとえ話としては変かもしれませんが、ドラマ撮影のために化粧をした松嶋菜々子がBOSEスピーカーの原音再生であり、化粧をしなくても自然な美しさを発散している「松嶋菜々子さん」がYoshii9の音なのです。Yoshii9には原音再生という言葉が似合いません。再生しているのではなくドラえもんのどこでもドアのように、Yoshii9の周囲に別の空間が出現してそこから自然の音が聞こえてくる感じなのです。(誇張していませんよ。)

TIMEDOMAIN miniを買って帰りました。試聴室にいた女性社員と僕のたくさんの質問やくだらない冗談に最後までつきあってくれた男性社員が僕の小さな背負いバッグにスピーカーの箱をぎゅうぎゅう押し込むのを手伝ってくれました。

TIMEDOMAIN miniは母が使っている3万円のMDコンポにつなぎました。モーツアルトのCDをかけたところ、うたた寝から起き上がってコンポにつながったminiを見た母が「どっちで鳴ってるの?」僕に聞いたのです。一瞬「いい音になったのわからないのかな?」と思いましたがそういうことではないのですね。周囲の音場から音がでていたので母はどのスピーカーが鳴っているのか区別できなかったのです。母なりの表現だったのですね。

夕食後、いろいろなタイプの音楽をMDにまとめて、「すの字」の鈴木先生のところにminiを持っていきました。先生は音楽のプロ(作曲家)ですからどのような判断をされるか興味がありました。MDをかける前に「もし音が期待通りでなくても、僕を傷つけないためにわざと良い感想を言っていただかなくてもいいですよ。悪いときは本当に悪いと言ってください。」と念を押しました。僕が用意した7曲を先生はじっと目を閉じて聴いていらっしゃいました。最後の曲が終わると開口一番「こりゃすごい!いい買い物したねぇ。」とおっしゃいました。これほど楽器の音や声が分離して立体的に聞こえるスピーカーははじめてだということです。特に中音域の再生能力、弦楽器の再生能力が優れているそうです。僕は右耳しか聞こえないため、音の立体感の把握は苦手ですので、そのように「こんなに立体的なのはすごい。歌手の口の動きまでわかる。」と言い切ってしまう先生がうらやましかったです。僕にとってみれば立体的は立体的であって、「ものすごく立体的」は想像をはるかに超える4次元の世界だからです。まあ、自分の感覚で把握できないほどすごいスピーカーを買ったのだなといういささか低次元の物欲充足感として自分を納得させましたけれど。

先生聴いてもらったのはTIMEDOMAIN miniです。先生が実際にYoshii9を聴いたときの反応が楽しみです。TIMEDOMAIN miniで聴く音楽は10万円くらいのDVDコンポで聴く音楽をはるかに凌いでいます。

本当の音とは何か、これまで目にしてきたオーディオ機器はいったい何だったのかと考えさせられた1日でした。

この記事をお読みになって興味を持たれた方は、ぜひ試聴室に出向いて実際に自分の耳で聴きくらべてみてください。文章では表現しつくせない違いがはっきりわかるはずです。

最後にタイムドメイン社のホームページを書いておきます。タイムドメイン理論、スピーカーの詳細、ユーザーの評価、試聴室の案内などはこちらからご覧ください。

タイムドメイン株式会社:
http://www.timedomain.co.jp/

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« TIMEDOMAIN Yoshii9 の写真 | トップ | いったいどうすればいいの? »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

音楽」カテゴリの最新記事