モトログ ~ある診断士の終わりなき挑戦~

「生きる」という意味について考えることのできた1ヶ月 (6)


幸いなことにこの1ヶ月、私は「生きる」という意味について真剣に考えることができました。

私は家族が何不自由なく過ごせるように準備をしていたつもりでした。
立派な大人として独り立ちできるようになるまで子供の面倒を見るのが親の務めだと思っています。高校や大学に進学すればそれなりのお金がかかります。それを予測して計画的に学資を積み立てています。金銭的な面だけでなく、一緒にサッカーをしたり旅行をしたり思い出をつくりたい。
でもそれらはすべてこれから先何十年も私が無事であったらという前提に基づいているから成せることなのです。


私が務める商工会議所では、昨年、若手経営指導員3人が商工会議所の経営革新計画をつくって発表会をしました。3人とも職場の強みとして私(中小企業診断士)の存在をあげました。質疑応答の際、ベテラン職員Aさんがこんなことを言いました。「実はkuroさんがいるのは弱みにもなるんじゃないかな。こういう人はいつ出て行ってしまうかもわからないし、いなくなってしまうと何もできない職場になるんじゃないか」と。
その言葉が強く印象に残り、私がいなくなっても混乱しないよう経営指導員の教育には人一倍力をいれるようにしました。企業訪問の際には必ず帯同させるようにしました。経営革新支援についてもなるべく部下に考えさせるようにしました。彼らがどんどん成長しているのがわかります。でも明日私がいなくなったら・・・。まだまだ時間が必要です。


いま私がいなくなったらどうなるか。
 想像しえないほど多くの人を困らせることに気づきました。

大切なのは“どれだけ生き延びられるかというよりも、どれだけ多くのものを残しておけるか”ということです。

腫瘍があるという事実を知りながら、戻りが多い保険とか探したりもしました。でもそんなものはありませんし、正義が許しません。
自分がいなくなっても残された家族がお金を手にすることはできないか。いま加入している保険では、生まれて間もない子供2人が大人になるまで必要とされる費用を賄うのには不十分です。これから先、ヨメは働き続けなければならないでしょう。だから残された家族の少しでも足しになればと本を書こうとも思いました。某メディアで記者をしている友人が以前ドキュメンタリー番組を作りたいといっていたことがありました。病気と闘う自分を取材してくれれば、有名になって本が売れるかもしれない。

どれもこれも浅はかで自分にとって都合の良いアイデアばかりです。






1月13日
検査結果が出ました。
腫瘍は心臓に付着しておらず、手術は可能との結論。
痰に血が混ざるなど気になる症状も残っていますが、PET検査で後縦隔の腫瘍以外に悪いところは見つからなかったのでたぶん大丈夫でしょう。
食道が酷く炎症を起こしていることもわかり、追加で内視鏡検査を実施することにもなりました。でも腫瘍に比べれば軽いものです。


そんな私に対し、「長い目で見ればわずかな時間なんだから徹底的に治せ」と上司が温かい言葉をかけてくれました。職員みんな心配してくれています。ありがたいことです。
しっかりと治療し必ず元気な姿でカムバックします。



最後に。
守るべきものが多ければ多いほど、「生きる」という言葉は自分以外に向けられるべきなんだと強く感じました。

病気と闘うのは決して楽なことではありませんが、ここを乗り越えることでまたひとつ人間的に成長できるんじゃないか。
今回起こったことを、私は前向きに捉えたいと思います。

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コメント一覧

kurogenkoku
アンクさま。ご無沙汰しております。
ご心配おかけしましたすみません。本人はいたって元気です。いまはしっかり治療して治します。
手術すれば治るので大丈夫です。
今後とも宜しくお願いします。
アンク
ご無沙汰しています。
お子さんの誕生のお写真をいつも孫のように楽しみにしています。今回、病気のことを知り非常に驚いてしまいました。なんで黒沢君なんだろうって...ずっと全速力で一生懸命走っていたから、神様が休養を与えたんじゃないかなって...ゆっくり休んでパワーアップして蘇ってくださいね。祈ってます!(^^)!
kurogenkoku
戦友S.I.さんこんばんは。
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/
今回は自分にとって良い経験になると思います。こうして真剣に「生」というものに向き合うことによって、本当に大切なものは何なのかを認識することができました。

これからも末永くよろしくお願いします。
kurogenkoku
戦友T.Sさまこんばんは。
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/
腫瘍が見つかったタイミングがタイミングだっただけに悪い予感がしました。でももう大丈夫です。

手術でキズが残ると思いますが、一緒にラクーアできる日が楽しみです。
戦友各位と復活祭をやりましょう。


kurogenkoku
yulomuさまこんばんは。
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/
ブログをご覧いただいていたとのこと、うれしく思います。

そして何より激励の言葉に感謝いたします。
最初に「腫瘍がある」と告げられたときには目の前が真っ暗になりましたが、PET検査の結果が出て幾分安心しております。

いまはしっかり治療して元気な姿を取り戻したいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
戦友S.I.
http://ameblo.jp/shinzuru/
フェイスブックに転送いただいた情報で、患っておられるのは気づいていたのですが、病状が分かるにつれ、いつコメントしようか躊躇しておりました。

幼い子を持つ親として、黒澤さんのコメントは心に沁みます。

しかし、これは神様が与えてくれたチャンスかも知れません。今回、手術を乗り切れば、より健康に留意するでしょう。そして、健康で長生きできるきっかけを与えてくれたのかも知れません。

黒澤さん、戦友T.Sさんのおっしゃるように、バッサリ切って、新たな戦功を挙げてください。
戦友T.S
こんにちは。お久しぶりです。
プチクロちゃんの誕生の喜ばしいニュースに前後しての、kurogenkokuさんの体調に関するニュースに、心底驚いています。

でも今回の出来事で、また新たな「気づき」も得られましたね。
毎日を平々凡々に過ごしている私と違って‥。

治癒後は、新たな「気づき」をベースに、より深い活躍を期待しています。
そして落ち着いたら、また戦友たちとラ・クーアで快気祝いをしましょう!
術後の生々しい傷跡も、ラ・クーアでのいい酒の肴になることでしょうね。
バッサリと悪いところを切除してもらってください!!
yulomu
おはようございます。yulomuと申します。「企業診断」の雑誌で対談されていたのを拝読してから、いつもブログを拝見しております。今回のシリーズの記事、毎回ドキドキしながら読ませていただきました。うまく言えませんが、何をするのも、健康第一です。とにかく、今は、仕事よりも何よりも、治療に専念し、早く良くなられることをお祈りしています。皆さんが貴殿の復帰を待っています。
kurogenkoku
猫さんこんばんは。
猫さんも大変な経験があったのですね。

そしてなにより激励ありがとうございます。皆さんそうですが、大病を乗り切ったときそれ以前より元気になったとおっしゃいます。

なんとも心強く感じました。
私も頑張ります。今後とも宜しくお願いします☆
猫大王
kuroさんこんばんは。
私は実務補習を終えたちょうど今から5年ほど前、体の症状がおかしくなり、今の医療では治ることのない難病(特定疾患)の診断を受けました。
さすがにしばらくの間どん底にヘコみましたが、今は前向きに生きております。
無茶をする生活はすべて避けていますので、ある意味以前よりも健康的なんです。
前向きになれば、必ず光が見えてきますよ!
kurogenkoku
cheeseさまご無沙汰しています。
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/
お父さまが肺がんだったということ。ほんとうに大変でしたね。でもご無事で何よりです。

私の場合は、手術をすれば治るといわれたので、いまは治療に専念したいと思います。
ご心配おかけしました。すぐに元気になります☆
cheese
こんにちは。ご無沙汰しております。cheeseです。「「生きる」という意味について考えることのできた1ヶ月 (1)」 のブログを読んだ時、わたしもかなり動揺してしまいました。
何回かに分けて心情を書かれていたのでこのシリーズの最後まではコメントは避けようと思っていました。
わたしの父も7年前70歳の時に肺がんの手術を受けました。切ってからの方がむしろ以前より健康的で元気になった姿を見ています。
しっかり病気を治して元気な姿を見せてくださいね。家族の皆様、そのほかたくさんのkurogenkokuさんを大事に思っている方々の愛が病気を治してくださると信じています。
kurogenkoku
ヒロキさん、こんにちは。
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/
奥様が妊娠中に病気をされたということ。心中お察し申し上げます。

現代医療は相当に進化しているので、よほどのことが無い限り復帰は可能だと思っています。

私は今月末に手術を行なう予定です。ヒロキさんが無事でありますよう心から祈念いたします。

お互い頑張りましょうね。
ヒロキ
こんにちは
多分私はkuroさんと同年代です(46年1月生まれ)。
そして3歳の娘がいます。妻は妊娠中です。
子供の為なら躊躇わず死ねるほど愛しています。
そして、まさに死ぬほど仕事をしなんとか、役員という立場まで来ました。そんな矢先検診で悪い結果が出ました・・・
似たような境遇なので書かずにはいられませんでした。
お互い体をメンテし、心配してくれている周りの仲間のために頑張りましょう!
kurogenkoku
パソさま
http://blue.ap.teacup.com/motokuni/
いつもどおり気合いだけは充分です(笑)
ありがとうございます。
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