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ネタバレ「アイネクライネナハトムジーク 」伊坂幸太郎 感想

2015-04-19 | 小説・漫画他

伊坂さんの「砂漠」みたいなタイプの小説。
特に殺人とか奇怪なことは起きず、あれやこれやの人の繋がりで、にこっとなる話。

残念だったのは、斉藤和義さんの曲について、私が詳しくなかったこと。もし彼のファンだったら、すっごく楽しめる小説なのにな。
もちろん、斉藤和義さんのある程度有名な曲は知っているし、彼の人柄にもとても好感を持ってるのだけれど、なにせ歌詞とか曲を事前に知らないと反応出来ないので。

「アイネクライネ」、「ライトヘビー」、「ドクメンタ」、「ルックスライク」、「メイクアップ」、「ナハトムジーク」の6つ、最後の章が書下ろしになっています。その前の5編を最後の章で総まとめ・・・って感じですが、時空列があちこちに飛びます。
ついていくのが、ちょっと大変でした。

私が好きなのは前半の、伊坂さんには珍しく、ちょこっと恋愛要素のあるお話たち。

「アイネクライネ」
職場の先輩の藤間さんの奥さんが家を出て行ってしまい、普通じゃない精神状態だったがゆえに起きたミスから、佐藤は町中でアンケートを取る羽目になる。そこでアンケートを受けてくれた女の子がいた。そのころボクシングの試合が町の大画面で流れている。
その後、大学時代の織田一真のお家に遊びに行く。奥さんは学生時代みんなの憧れの存在だった由美なのだが・・
あの頃想像していた、将来の輝かしいであろう由美の姿と、実際のこの様子の落差に、微妙な心境になるのだった。(ここは読んでいて、凄く痛かった処)

そして、一真がいう、出会いについての処が笑えました。
そんな都合の良い事があるわけない、どらえもんの机と同じくらいの、ありえない確率ってのも。
そして後から振り返って、「あのとき、あそこにいたのが彼女で良かった」と思えるようなのが・・っていうのは、もっともだなーって思いました。
そのお家で、偶然バズのフィギュアを発見し、トイストーリーを借りて帰る事になった。

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
その後、帰途の道が工事渋滞していて、そこで仕事をしていたのが、先日のアンケートを受けてくれた女の子だった!車には、先日美緒ちゃんからもらったバズの人形が。これから、良い感じに展開しそうな予感♪ 以上

「ライトヘビー」
ところで、他力本願な事で(もし、○○だったら、こうしよう)とかって、自分の行動を決める・・っていうの、解るなあー。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
ラストで、キャー!っていう、漫画ちっくな、でもとてもスカッとする良いお話!
まさか、長い間電話でだけ世間話をしてきた相手が、ボクサーだったとは。
考えてみれば、ボクサーの学のこれまで人生で、一番輝いていた瞬間っていうのが、この試合に勝ち、リングで告白した時だったのかも。
この学の人柄が良いんですよねー。控えめ謙虚なのに強いって最強ですわ
以上
ところで美奈子ちゃんって彼氏できた?という質問に
「いえ、できないのです」という言い方が、なんとも可愛らしい。

「ドクメンタ」
5年ごとの自動車免許更新で会う女性。これは笑ったなー。
ギリギリじゃないと動けない、ずぼら同士、結婚相手に愛想をつかされているのも同じで、銀行の記帳をしない性分なのも同じ。(私も記帳溜まっちゃう人)5年の歳月で、随分人間って置かれている状況や周りの(特に子供がいると)違って来るなあーと感じさせられる。
浮気って、皆殺しと似たようなもんってのも笑った。確かにみんなを不幸にする。
もし、記帳をして気がついてくれたら・・・ってことで、オレモワルカッタって、これはスゴイ!ってうなりました。

「ルックスライク」
とある大学生カップル(喫茶店で男にからまれているのを、とあるセリフで助けた事がきっかけで交際に至る)と、美緒ちゃん(その後美少女人気高校生になってる)と同級生の久留米君が自転車につけるステッカー泥棒を探すのと同時進行のお話。美緒ちゃんの学校に、素敵な英語教師がいる。

これはね、なんといっても、胸が小さい事をコンプレックスにしていた女性の気持ちが、よーーーく解ります!!
まあ、でも巨乳好きでも、付き合う人や妻に、必ずしも、絶対条件で、そういう人を選ぶか?といえば、よほどのこだわりが無い限りは、譲歩することもあるんじゃないかな^^

「メイクアップ」
高校の同級生で、意地悪な女子がいた。なんと大人になってから仕事上で再会。相手は気がついてないみたい・・・。
一緒に合コンに行く事になって・・・。
仕返しをするか、どうか・・?ってお話。仕返しするのもなんだけど、そのまま人が良すぎるのもな・・。
ちょっと、もやもや感が残った。

最終章は、色々な登場人物のその後が解ります。

★以下ネタバレ 白文字で書いています★
イジメられていた、耳の不自由な少年は、モデルになって、ボクシングの試合でラウンドボーイになっていた。
藤間は結局奥さんと離婚していたのね・・(ちょっと残念)
合唱コンクールの練習で音痴のため、先生に口パクしろと言われた事に対して、一言申した久留米だったが、その一件後、その音痴の少年は現在テレビに出る人になっている。
以上

うーん、面白かったけど、最初の方の章の面白さと比べて、最後の2つ「メイクアップ」と最終章が、若干弱く感じちゃったかも・・・(すいません)4つ★

アイネクライネナハトムジーク 2014/9/26 伊坂 幸太郎

「首折り男のための協奏曲」
死神の浮力
ガソリン生活
残り全部バケーション
仙台ぐらし
PK
「バイバイ、ブラックバード」
3652
「マリアビートル」それほどまでには・・・ 感想
「オー!ファーザー 」「砂漠」
SOSの猿
あるキング
「モダンタイムス」「週末のフール」
「ラッシュライフ」「フィッシュストーリー」
ゴールデンスランバー
「グラスホッパー」「アヒルと鴨のコインロッカ―」「死神の精度」感想 
「チルドレン」「重力ピエロ」感想

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9 コメント

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Unknown (苗坊)
2015-04-19 20:24:48
こんばんは^^
私も斉藤さんの歌は全然分からないのでそれが悔しかったです。知っていればもっともっと楽しめただろうなぁと思いましたよねー。
私はちゃんとわかるのは歩いて帰ろうくらいで・・・^^;
連作短編で少しずつ登場人物たちが交わっている感じ、伊坂作品の醍醐味ですよね。
楽しんで読みました。
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Unknown (Unknown)
2015-04-20 07:48:46
『とある台詞』
そういう場面に出くわしたら使ってみたいと思うのですが、小心者の私は顔に出てしまいそうです(>_<)
「メイクアップ」は少し怖さもありましたね。はっきりとは描かれていない結末がなんともいえなかったです。
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ごめんなさい (こに)
2015-04-20 07:52:30
先のコメント、私です。
続き…
由美の過去の輝きと現在の比較は男性目線で描かれており、不愉快に感じた部分もありました。女性側の忍耐とか諦めとか妥協とか、心理状態を的確に表現して欲しかったです。まぁ、男性側も同じかもしれせんけどネ。
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苗坊さん☆ (latifa)
2015-04-20 12:08:58
こんにちは、苗坊さん
昨日ネットで、斉藤さんのファンの方の、この本の感想というのに、めぐりあえず・・・。さぞや楽しく読めただろうなぁーと想像するばかりです。

苗坊さんも、免許書き換えは早くに行くんですね。私は夏休みの宿題とかも、早くに済ませて、安心・のんびりーが好きなタイプです。でも記帳は銀行の前を通る機会が滅多にないせいもあって、溜まってしまってます・・・
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こにさん☆ (latifa)
2015-04-20 12:14:00
こにさん、こんにちは!
午後から強風・大雨だそうですが、こにさんのところは、もう渦中かしら・・・。

とあるセリフですが、うーん、、、私は使えないかなー、ビビり屋なので・・。
切り返されたら、怖いし・・。

あぁー、男性目線ね、確かに・・・。
他人から見て・・っていうのと、本人の中での幸せと、違ったりしますしね。
どういう状態が幸せか?っていうのは、千差万別なものだから・・・。

まあ、でも私も同級生で、ものすごくモテた子がいたのですが、え?その人でいいのかい?という、はたから見ると、ものすごい普通の人と付き合い、結婚しました^^
でも、幸せに暮らしている様子です。
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Unknown (はまかぜ)
2015-04-26 21:21:51
こんばんは!
たしかに恋愛要素が入っているのは伊坂さんの作品では珍しく新鮮ですよね。
殺し屋が出てきたりはしなかったものの、こういう作品も面白いなと思いました。
意外と日常を舞台に恋愛要素を入れながらの作品も上手いのではと思いました。
本人はあまり乗り気ではないようですが(笑)
100円払うと音楽をかけてくれる斎藤さんや通帳の記帳といったネタには伊坂さんらしさを感じました♪
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はまかぜさん☆ (latifa)
2015-05-07 10:31:50
こんにちは、はまかぜさん
GWも終り、今日からまた普通通りの日常が戻ってきますね。

そうそう、伊坂さんご本人は、あまりこういった恋愛要素の入ったお話は、乘り気ではないようですが・・・
でも、照れながら、書いたのかなー、とても微笑ましく、楽しいお話の数々でした。

斉藤さんネタは、愛情を感じましたねー。
私がもっと曲とか知っていたらなあ・・
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私は斉藤さんのファン&伊坂ファンです! (ちぇりぃ)
2015-09-13 21:51:38
私は、まだ斉藤和義という名前が知られてないうちからの和義ファンでした。伊坂さんもアヒルと鴨の~をみて面白い!と感じてファンになったので、フィッシュストーリーで二人の名前をみたときは驚愕でした。
もちろん、今回の本を読んで出てくるフレーズもメロディーと共に浮かび上がって来たので楽しめましたよ!

ちなみに、メイクアップに出てくる窪田結衣は、後々高校時代の野球部でバンド好きの人(窪田という名前の男子は他にもいたしのその窪田くんかつ藤田亜矢子の母のや職場に来た若い社員かと思われ...。)と結婚してるはずですよ!
藤間の奥さんの話に出てくるある意味当時その男子に気があったのにも関わらずライブに行き損ねた小久保亜季に復讐というか思いっきり見返してますよね(笑)
スッキリしましたか?
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ちぇりぃさん☆ (latifa)
2015-09-15 10:29:18
ちぇりぃさん、こんにちは
うわぁー!!すごいですね、そんな古くからのファンだなんて。それじゃあ、彼の快進撃というか、数年前、ぐんぐんと売れてメジャーになっていった過程を、誇らしく喜ばしく、そしてちょっぴり寂しい様な複雑な気持ちで見ていらっしゃったのではないでしょうか!!

ちぇりぃさんが、この本を読んだら、さぞや感慨深いものがあっただろうと思います。いいなぁ!

そうそう、そうでしたね。高校時代のバンド好きの人の話、出て来ていましたね。
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