★今日は白文字部分は無く、ネタバレで書いていますので未読の方は注意して下さい★
すごい分厚い本。しかも上下2段。にもかかわらず、中盤まで、引き込まれて一気読みしてしまいました。特にQ学園の部分は、非常に面白かったです。面白いっていう表現はなんですが・・・。
これ、Q校って、あからさまに慶應の事ですよね?
勉強でトップを取りつづける事で折り合い?をつけているミツル。努力家だけどダサいと笑われる和恵(ソックスに刺繍のエピソードや、チアガール部の件は痛すぎる・・)など、私の回りにはいなかったタイプの深層心理がグッサリ描かれていて、非常に興味深かったです。
この本を読みながら、パーフェクトな美貌のユリコと、先日読んだ「感応連鎖」での美少女のエピソードで「他人の視線、他人が求める自分」によって存在価値を見出す?みたいな処が共通していました。
あと、女子を裸子植物と被子植物にわけて考える姉の思考回路が、道尾さんの「光媒の花」の中の「風媒花」の処をふと思い出しました。(こちらの方が先ですし、だからといって真似とか、そういうんでは全く無いです!)
和恵が、昼間はエリートOLだけど、エリートOLという一面性だけじゃなく、そんな優秀な人間なのにもかかわらず夜は売春をしているということで、優越感を抱いている処とか、Q出身者である自分、お嬢様で有名一流企業社員な自分を汚して復讐してやる・・(443p 会社の面子を潰し~)という当たりは、微妙に解る気がしました。
あと、年取った姉が指にQ校のリングをしていた・・・本人はもう意識はしてなかったみたいだけど、幼稚舎から来た子はそんな指輪はどっかにやっちゃってたけれど、途中から入って来た子達は、その指輪を大事にしたり、誇らしげにはめてQ大に通っていた・・というエピソードもキツイですねぇ・・・。
ただ、中盤以降、殺人犯の中国人のチャンのところとかは、そこまで沢山無くても良かったかな・・・って思いました。チャンの産まれ故郷や妹のエピソードなど・・・。
そして最後の方は、ミツルの母とじいちゃんが恋仲になるって展開がありえんだろ~とか思っちゃったし、ミツルが東大医学部に入って結婚し、その後オウムに入信し事件を起こし刑務所に入っていたり(ちょっと話が発展し過ぎ・・)、あのポン引きの教師の息子が、なぜかユリエの息子であるユリオと一緒にいて、そのユリオを姉が引き取って・・なんとラストには自分までもが道に立って声をかけるようになるって展開には、なんだかちょっとがっかり・・・。後半は、凄く安っぽくなっちゃった感じがしました。姉がユリオに手を出すって展開ならまだ解るけど・・・。前半5つ★、中盤以降がいまいちだったので、3つ★~トータル4つ★って処です。
この作品は、1997年に東京都渋谷区円山町で発生した「東電OL殺人事件」をもとに描かれた作品だったのですね・・・。今度その本も読んでみたいと思います。その殺された慶應出身のOLさんの写真を見ましたが、中の上というレベルのルックスで、後半の化け物呼ばわりされていた娼婦和恵のイメージとは全然違っています。
桐野夏生 2003-06-27
【本書の内容】
世にも美しい妹ユリコを持つ「わたし」は、ユリコと離れたい一心でQ女子高を受験して合格し、スイスに住む両親と離れて祖父とふたり暮らしを始める。エスカレーター式の名門Q女子高は厳然とした階級社会であった。―そして二十年後、ユリコと和恵は渋谷の最下層の街娼として殺される。
桐野夏生
「東京島」感想 +映画情報
・・・・・・・・・・・・
★追加★
「東電OL殺人事件」 佐野 眞一 2000-05
凄く分厚い本。しかしながら、殺されたOLについての部分は少なく、無実になったものの逮捕された男についてと、裁判についての部分が殆どだったので、がっかりしてしまいました。私は、そういう処を読みたかったわけじゃなかったので。(すいませんが、そのあたり全部読まず、ちょこちょこすっとばして読んでしまいました)
何故エリートの彼女が売春をするに至ったか?という部分は、誰にも解らないので、当然とはいえ闇のまま・・。また「堕落」という言葉を何度も使っていましたが、その言葉はどうも女性が読むとしっくり来ないですね・・。必ずしも売春=堕落じゃない様な・・。
その点、桐野さんのグロテスクは、フィクションではあるものの、凄く深く心理描写を描いていて、素晴らしかったんじゃないかな?って思いました。そもそも「グロテスク」は主人公が東電OL事件のモデルではなく、同級生の別の姉妹なんですよね。
ただ、こちらの「東電OL殺人事件」を読んで、グロテスクで書かれていた色々な事が本当だった事が解りました。父親は東大出の優秀な人で、お母さんは名家の出身だったんですね。
それと本当に3000円というお金で3人とした・・というのもびっくりでした。
東電時代、彼女の同僚の東大卒の女子が海外留学を射止めたこと。彼女は国家公務員試験にも落ちてしまい、違う部署に出向された事があったことも書かれていて、充分すぎる程高学歴で優秀なのにもかかわらず、上を上をとめざし過ぎたというか・・。
またモテなかったわけではなく、学生時代に彼女にモーションをかけた男子がいたのに彼女が乗り気にならなかったこと、潔癖だったこと、オフコースや、ニューミュージックが好きだったことなどが解りました。
すごい分厚い本。しかも上下2段。にもかかわらず、中盤まで、引き込まれて一気読みしてしまいました。特にQ学園の部分は、非常に面白かったです。面白いっていう表現はなんですが・・・。
これ、Q校って、あからさまに慶應の事ですよね?
勉強でトップを取りつづける事で折り合い?をつけているミツル。努力家だけどダサいと笑われる和恵(ソックスに刺繍のエピソードや、チアガール部の件は痛すぎる・・)など、私の回りにはいなかったタイプの深層心理がグッサリ描かれていて、非常に興味深かったです。
この本を読みながら、パーフェクトな美貌のユリコと、先日読んだ「感応連鎖」での美少女のエピソードで「他人の視線、他人が求める自分」によって存在価値を見出す?みたいな処が共通していました。
あと、女子を裸子植物と被子植物にわけて考える姉の思考回路が、道尾さんの「光媒の花」の中の「風媒花」の処をふと思い出しました。(こちらの方が先ですし、だからといって真似とか、そういうんでは全く無いです!)
和恵が、昼間はエリートOLだけど、エリートOLという一面性だけじゃなく、そんな優秀な人間なのにもかかわらず夜は売春をしているということで、優越感を抱いている処とか、Q出身者である自分、お嬢様で有名一流企業社員な自分を汚して復讐してやる・・(443p 会社の面子を潰し~)という当たりは、微妙に解る気がしました。
あと、年取った姉が指にQ校のリングをしていた・・・本人はもう意識はしてなかったみたいだけど、幼稚舎から来た子はそんな指輪はどっかにやっちゃってたけれど、途中から入って来た子達は、その指輪を大事にしたり、誇らしげにはめてQ大に通っていた・・というエピソードもキツイですねぇ・・・。
ただ、中盤以降、殺人犯の中国人のチャンのところとかは、そこまで沢山無くても良かったかな・・・って思いました。チャンの産まれ故郷や妹のエピソードなど・・・。
そして最後の方は、ミツルの母とじいちゃんが恋仲になるって展開がありえんだろ~とか思っちゃったし、ミツルが東大医学部に入って結婚し、その後オウムに入信し事件を起こし刑務所に入っていたり(ちょっと話が発展し過ぎ・・)、あのポン引きの教師の息子が、なぜかユリエの息子であるユリオと一緒にいて、そのユリオを姉が引き取って・・なんとラストには自分までもが道に立って声をかけるようになるって展開には、なんだかちょっとがっかり・・・。後半は、凄く安っぽくなっちゃった感じがしました。姉がユリオに手を出すって展開ならまだ解るけど・・・。前半5つ★、中盤以降がいまいちだったので、3つ★~トータル4つ★って処です。
この作品は、1997年に東京都渋谷区円山町で発生した「東電OL殺人事件」をもとに描かれた作品だったのですね・・・。今度その本も読んでみたいと思います。その殺された慶應出身のOLさんの写真を見ましたが、中の上というレベルのルックスで、後半の化け物呼ばわりされていた娼婦和恵のイメージとは全然違っています。
桐野夏生 2003-06-27
【本書の内容】
世にも美しい妹ユリコを持つ「わたし」は、ユリコと離れたい一心でQ女子高を受験して合格し、スイスに住む両親と離れて祖父とふたり暮らしを始める。エスカレーター式の名門Q女子高は厳然とした階級社会であった。―そして二十年後、ユリコと和恵は渋谷の最下層の街娼として殺される。
桐野夏生
「東京島」感想 +映画情報
・・・・・・・・・・・・
★追加★
「東電OL殺人事件」 佐野 眞一 2000-05
凄く分厚い本。しかしながら、殺されたOLについての部分は少なく、無実になったものの逮捕された男についてと、裁判についての部分が殆どだったので、がっかりしてしまいました。私は、そういう処を読みたかったわけじゃなかったので。(すいませんが、そのあたり全部読まず、ちょこちょこすっとばして読んでしまいました)
何故エリートの彼女が売春をするに至ったか?という部分は、誰にも解らないので、当然とはいえ闇のまま・・。また「堕落」という言葉を何度も使っていましたが、その言葉はどうも女性が読むとしっくり来ないですね・・。必ずしも売春=堕落じゃない様な・・。
その点、桐野さんのグロテスクは、フィクションではあるものの、凄く深く心理描写を描いていて、素晴らしかったんじゃないかな?って思いました。そもそも「グロテスク」は主人公が東電OL事件のモデルではなく、同級生の別の姉妹なんですよね。
ただ、こちらの「東電OL殺人事件」を読んで、グロテスクで書かれていた色々な事が本当だった事が解りました。父親は東大出の優秀な人で、お母さんは名家の出身だったんですね。
それと本当に3000円というお金で3人とした・・というのもびっくりでした。
東電時代、彼女の同僚の東大卒の女子が海外留学を射止めたこと。彼女は国家公務員試験にも落ちてしまい、違う部署に出向された事があったことも書かれていて、充分すぎる程高学歴で優秀なのにもかかわらず、上を上をとめざし過ぎたというか・・。
またモテなかったわけではなく、学生時代に彼女にモーションをかけた男子がいたのに彼女が乗り気にならなかったこと、潔癖だったこと、オフコースや、ニューミュージックが好きだったことなどが解りました。
桐野さんの作品はフィクションなんだけど、かなり真実に近いものなんじゃないかと思います。
第三者的に見れば充分に恵まれている人なのに、それに気づけなかったのは悲しいなぁって思います。
そうなんですね・・・。桐野作品は、まだ3冊くらしか読んだ事がなくて、でも、フィクションとはいえ、かなり色々調査して練り込んで真実に近いお話を書かれる作家さんなんですね。
今後もまた色々読んでみたい作家さんです。
ほんとですよね・・。第三者的に見れば、充分に賢くエリートで恵まれているのに・・。あまり上ばかり見るのも、なんですね・・・
忘れていた部分も多くて、ああそうだったわと記憶を整理している最中です。
事件自体、当時話題になったよね?
だから、すぐ手にとってしまった本なのよ。
こういう、エリートの学校特有のドロドロさが
実にリアルだったわ。
ここだけが、生きている世界すべてじゃあないのにね。競ったって、何の意味もないのにって今なら思うけれど、こういった選ばれた
世界に入ってしまうと、一種独特の
価値観が身に付いてしまうのかな。
まあ・・普通人なのでよくわからないけれど。
靴下の刺繍のエピは印象的だったわ。
わかるような気がするの。
・・佐野さんの本も同時に読んだのね。
ともにぶ厚い本なのに、凄い・・・。
でも興味ある題材だと、厚くてもサクサクいくよね~~反対に薄くてもダメなものは
読むのが遅くて~~~笑
そうっか~みみこさん、この本、昔に読んでいたのねー!!
で、ちょうど先日、香山リカさんの、、えーっと・・しがみつかない生き方だっけ?ベストセラーの新書を読んだら、そこにこの東銀OL事件のエピソードが引き合いに出されていて、びっくりしたわー。
その「しがみつかない~」は買う程じゃないけど、借りて読むのにはなかなか良い本だったよ
そういえば、全然話がそれるんだけど、いつも仕事で行く場所で、偶然一緒になる学生さんたちがいて(小学生~中学生くらいのお子さん)、女の子は綺麗でなんていうか、お嬢様って感じが凄くするのね。変な感じじゃなく、もうなんていうか・・・身からオーラが出てるというか・・・で、かたや男子校の男の子達は、やんちゃなんだけど、育ちが良いっていうかお金持ちの恵まれていて何も恐いもん無いみたいな無邪気さが溢れてて・・・。でもどこの学校なのか今の今まで知らずにいたの。先日それらの学校が、都内でスーパーセレブ学校だったことが解って、凄い納得しちゃったんだ~。入るのには頭はもちろんのこと、家柄も必要なカトリック系の学校だったみたいで、全くその学校の事知らない私でさえも、生徒を見ただけで、なんとなく解ったわ・・・