☆今回ネタバレ部分は白文字になっていません 注意!!☆
物語の冒頭に登場するデパートの上から降りられなくなって一生を終えた象のインディラ、回送バスの中でお菓子を作ってチェスを教えてくれた優しい太りすぎのマスター、総婦長さん等、増長しすぎてしまった者達と、家と家の間の凄く狭い場所で出られなくなったままミイラになった~という伝説の妄想友達ミイラ、チェスの台の下、そしてチェスをする人形の非常に狭い箱の中に入るリトル・アリョーヒン、これらが不思議なバランス?で絶妙に描かれています。
そして、布巾を手放せなくなった優しい祖母、どんな家具でも手直し出来る祖父、後に知り合う肩に白い鳩がいつもいるミイラと名付けた女性・・・彼の側にいる人たちは、みんな優しい。
ただ、個人的には、産まれた時に上下の唇がくっついたのを手術ではがし、そこに脛の皮膚を移植したために、思春期になって毛が生えて来て・・という状態が、微妙にイヤで・・。剃ってしまうと生えて来たばかりの毛先がちくちくして、結局そのまま有る程度伸ばした状態でいるのだけれど、絡み合って上手くしゃべれない時があったり・・という描写とかが、少年だったとき偶然目撃してしまったプールで浮かんでいた死体の脇毛だけが動いていた・・ってのと通ずる、ざわっと来る感じが・・・
とにかくも、中盤くらいまでは、小川さんやっぱり最高! ちょっと変態で、ありえない世界なのに、品が良くて素敵!って思って5つ☆の勢いで読みました。
その後、天才プレイヤーになって有名になる話か?と思いきや、そうではなく、表舞台にたつ事は無く(試合時の体勢がルール違反になるので)、地下の秘密チェスクラブでチェスをプレーし、その後はチェス好きな人が集まる老人ホームで暮らすという、想像もしてなかった展開に。
予想外な方にお話が行ったことは、とても興味ある展開だったには違いないんだけど、ミーハーな私には、リトル・アリョーヒンのせっかくのチェスの才能、もっと表だった処で大成功して欲しかった気がして・・(スイマセン そうなっちゃうとありきたりな庶民過ぎる内容になっちゃう・・とは解っていつつも・・・)
アリョーヒンは勝負にこだわるわけではなく、チェスをする際の相手と自分の棋譜の流れの美しさ、みたいのを愛しているというか・・・そういう感じなんですよね。そういう点では、先日読んだマンガの「3月のライオン」とは決定的に違っている内容だったな
あと、とっても密やかに良い感じだったミイラとの関係を、突然リトル・アリョーヒンが黙って姿を消してしまったのが、ちょっと残念だったかな・・・。でも、ちゃんと手紙のやりとりも始まったから良かったけど・・・。
で、ラスト、こんな最後なんて、なんだかリトル・アリョーヒンが可愛そうというか、はかなげ過ぎて、、、。それでもラストのラストは、寂しいけれど、ほんわかするシメになっていて、良かったな・・と少し思えました。
トータル4つ☆
最後の方で、ミイラと手紙のやりとりをするようになります。そこで、手紙に人文字だけ書いている記号の意味がわからず、本を読み終わった後、調べてしまいました。その「e4」には、なにか凄い意味が隠されているのではないのか?と深読みしてしまったんです。しかし、「e4」 「c5」というのは、あらゆるレベルのプレーヤの間で、最も頻繁に指されるオープニングの一つだそうで そうだったのか~。「さあ、はじめましょうか・・?」て事に過ぎなかったんだな。
お話に出てくる、最も古い「チェスマシーン」1769年にハプスブルク家当主マリア・テレジアを歓待するために作られた「トルコ人」は、これ↓
(
猫を抱いて象と泳ぐ 立ち読み
「偶然の祝福」「博士の本棚」感想
妊娠カレンダー、貴婦人Aの蘇生、寡黙な死骸 みだらな弔い
薬指の標本 5つ☆ +ブラフマンの埋葬
「おとぎ話の忘れ物」と、「凍りついた香り」、「海」
「ミーナの行進」「完璧な病室・冷めない紅茶」感想
リトル・アリョーヒンの唇や小さいままの様子、考えるとゾッとしましたね。
チェス盤の下にもぐってる描写も痛そうで…
でも、小川さんの物語の世界好きです。
ひそやかな静けさに満ちた物語でしたね。
深い深いチェスの海に潜る、リトル・アリョーヒン
イラストで、こんな中にって少しショックでした。
でも絵で見られて、よかったです。
もう少し成長して、マスターみたいに誰かに教えてあげて欲しかったです。
赤朽ちはと、ゴールデンスランバーにTBさせていただきました。
たぶん、深夜操業をお気遣い下さったんですね。
忙しいので、この場合、適切です。ありがとうございます。
私も小川さんの小説が大好きです。
角田光代さんと小川さんは、なんか知らないけど、自分のツボに合うというか、ソソられるというか・・・
☆の評価とは切り離して、ファンなんです。
今回のこの小説も、どこかヨーロッパちっくでした。小川さんって品が良いんだけど、結構隠れSM的精神?みたいのが漂っている気がします。
>もう少し成長して、マスターみたいに誰かに教えてあげて欲しかったです。
ほんと、ほんと!!
私もそういう展開、読みたかったなぁ~~
赤朽ちはと、ゴールデンスランバー、その他、もっちろん、いつも本を読むたびに、藍色さんちにはおじゃまして、感想拝見していますよ
でも、ずっと前にTBさせて頂いた幾つかの本とか、藍色さんちで、TBがまだ承認が解かれていない状態を見て、こりゃ~凄いお忙しいんだろうなあ・・・と、遠慮させていただいておりました
「猫を抱いて~」を半分ぐらい読みかけていた時に、latifaさんのところをのぞいてみたら、ちょうど感想がアップされていたところで「おおっ! 同じタイミングだ!」と驚いていました。そして、自分の感想を書き終わってから、latifaさんのご感想を拝読しました。
正直、私はイマイチ、苦手なジャンルなのですが、でも、きっと、こういうストーリーが好きな人、いっぱいいるだろうなぁと思いました。
本を読んでいる間は仕事のスイッチを切って、スキッとしたいという感覚なので、なんか、救いの無い哀しい物語って、本当に、せつなくなっちゃうんですよ。
ところで、ちょっと古い話なのですが…2月9日夕刊の毎日新聞に出ている小川さんのエッセイはとってもステキでした。やさしてく、心和み、フフッと笑ってしまうような。機会があったら、図書館ででも、新聞バックナンバーチェックしてみて下さいね。
それでは、また!
はぁ~っ・・月曜から雨ですね・・。わたしんところは、まずバスに乗って駅に到着後電車なんですよ。バスが雨だと凄く遅れるので、待ってる間結構濡れちゃって、憂鬱です~ おりおんさんは、今日は座れたかな? こういう日は、みんなが傘を持っているから、電車内は立ってても座っていても、傘の位置に苦労しちゃいますよね
で、このお話!
最高傑作ってこたぁ~ないよな、って思いました。 王様のブランチで、あの良い感じのオジサマが、すんごい押してたんですけども・・・。
私は前半は凄く好きで、でも中盤から後半が、あまり好きな展開ではなく、読んでいて、悲しいなぁ~って感じで・・・。
小川さんの小説では「博士の愛した数式」もですが、「ミーナの行進」や「薬指の標本」が私は好きだったんですよ。
>2月9日夕刊の毎日新聞に出ている小川さんのエッセイ
教えてくださってありがとう
図書館で過去の新聞とか観覧出来るかな?トライしてみますね☆ 家はよみうりなのですよ~
今朝は冷たい雨でしたね。東海道は相変わらず混み混みでしたが…横浜到着間際に出口方向に移動していった方がいて、つり革ゲットしてホッしたのもつかの間、そのまん前の席の方が立ち上がり、座席もゲット! でも、私は、座ったら3秒後には熟睡してしまうので、座れると、本が全く進まないんです。
さて、小川さんのエッセイ、残念ながらネット上では読めないみたいです。私の勝手な勘では、結構、latifaさん好みだと思いますよぉ。しかも、挿絵がめちゃカワイイんです。私は、新聞記事をコピッて、折々、取り出して、もう10回ぐらい読み返してます。「ブラフマンの埋葬」「猫を抱いて象と泳ぐ」で、私的には、小川さんって相性悪いかもという気分になっていたのですが、このエッセイを読んで、一挙に、大好きになってしまいました。
そうかあ・・・つり革ゲットでさえも難しいのね・・・。まん前の人がすくっと立ち上がった瞬間って、神が~~って気持ちにいつもなっちゃうわ
あっと、ごめんなさい、書き方悪かったですね。ネットでは見れないだろうと最初からアテにしてませんでした。家の近所の図書館って、新聞が有る程度の期間、保存されているので、それを見てみようかな~と思ってたの。
うぐぐぐ・・・・。ブラフマンは私も全然駄目だったし、これも、お薦めってほどじゃないから、たまたま当たりが悪いのを2冊先に読んじゃったのかな~って気もするわ・・・。あっと、でも、博士~も読んだことあったんでしたよね
頭の中はどうなっているんでしょうかねぇ?
脛の皮膚の移植がまず可哀想でたまりませんでした。
もっと滑らかな部分を移植してあげればよかったのにね。
で、マスターが彼にチェスを教えたときに、もしチェステーブルの下に入らないで考える方法を教えていたら・・・と悔やまれてなりません。
アリョーヒン自身は彼の人生を不幸だなんて思っていないでしょうが、あの終わり方があまりに寂しくて・・・・(泣)
やっぱり小川さんの本は独特の魅力があるな~って思いました。
やっとこの感想を書いたけど、あと2冊の本の感想が溜まってるの。
うん、うん、私も「その道を極めんとする人」ってのが好きなの~
脛の皮膚をまたなんで・・?って思うよね・・。
でも、そういう設定自体が、小川さんらしい・・とも言えますよね
私ね、チェステーブルの下にはいったままの状態で、ぐんぐん強くなっていって、世に知られるチェスの達人になっていくのでは?なんて都合の良い事を想像してたら、、、やっぱりそういう体勢ではルール違反でダメだったのね・・・。残念だったわ・・・。
他の2冊は何なのかな~?また楽しみにしていますね。
私は読んだ本で感想にするのは半分くらいなの・・。(途中まで読んで挫折する本ってのもたまにあるし)全部感想を書いておいた方が良いよな・・って思うんだけど、つい書かずに終わっちゃうのもあるの・・